July 30, 2018 / 9:10 AM / 5 months ago

焦点:好業績の中国関連株が軟調、景気刺激策でも拭えぬ不安

[東京 30日 ロイター] - FA(工場の自動化)や建機関連など好業績銘柄が、決算発表後に売られるケースが相次いでいる。中国向けの受注減などが確認され、業績のモメンタム鈍化が意識されているためだ。「米中貿易戦争」の問題が横たわるなか、中国政府は景気支援策を打ち出したものの、投資家の警戒感を払拭するには至っていない。

 7月30日、好業績銘柄が決算発表後に売られるケースが相次いでいる。ファナックは通期の業績予想を上方修正したが、中国での事業環境を巡る会長の発言が株価を直撃した。都内で2016年撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

<市場を動揺させたファナック会長発言>

受注活動が減速してきた──。2018年4─6月期決算発表を受け、電話会見したファナック(6954.T)の稲葉善治会長兼最高経営責任者(CEO)の発言に、株式市場は動揺した。通期の業績予想を上方修正したが、中国での事業環境を巡る発言が株価を直撃。発表翌日の26日の同社株は3.65%安。その後も安値圏で推移している。

同社の中国受注高は前年同期比34%減。米アップル(AAPL.O)のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新機種発売に向け、前年同期に発生した中国部品メーカーからの特需の反動にとどまらず、自動車関連メーカーなどで設備投資を先送りさせる動きが、現地の一部で出たことが受注高の減少につながった。

27日に決算を発表したコマツ(6301.T)の4─6月期営業利益は四半期ベースで過去最高、通期の計画に対する進捗率も28.3%と好発進となった。しかし、翌営業日の30日の株価は2.73%安。市場の懸念はファナック同様、中国事業の先行きだ。

4─6月期の中国の建機需要(コマツマイニング除く)は55%増となったが、同社によると「想定に比べると少し弱い」(執行役員・経営管理部長、今吉琢也氏)という。中国の固定資産投資の伸び率鈍化などの懸念材料がある中で、市場動向については「今後とも注意深くみていきたい」(同)と慎重姿勢を示し、警戒売りにつながった。

<中国関連株には割高感も>

中国の4─6月期国内総生産(GDP)は、前年同期比6.7%増。1─3月期の6.8%増から若干減速したが、それほど悪い数字ではない。さらに中国政府は、財政・金融両面で景気刺激策を打ち出している。

中国国務院は23日、法人税減税や地方政府による特別債の発行加速などを通じ、一段と積極的な財政政策を推進する意向を表明。中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)も、銀行に対して小規模企業向けの貸出金利を第3・四半期に、第1・四半期と比べ「大幅に引き下げるよう」通達を出した。

もともと中国関連株は、割高感が強かった。予想PER(株価収益率)でも、コマツは13倍と日経平均並みだが、ファナックは25倍台。安川電機(6506.T)が19倍台などとなっている。「ネガティブ材料に反応しやすい株価水準だった」(国内投信)影響もありそうだ。

決算発表はまだ序盤だが、日本企業の業績モメンタムが目に見えて落ち込んでいるわけではない。SMBC日興証券によると、東証1部の3月期決算企業(除く金融、27日発表分まで集計)の4─6月期業績の進捗率は、純利益ベースで26.7%。「ここまでの決算の数字自体は悪いものではない」(別の国内投信)との声も出ている。

<貿易戦争や金融リスクに警戒>

ただ、いちよしアセットマネジメント・上席執行役員の秋野充成氏は「米中貿易戦争がすぐに片付くとは思えず、中国企業も投資にブレーキを踏んでしまう。中国の景況感の方向が見えない中では、市場も慎重にならざるを得ない」と話す。

受注減速は一時的なものなのか──。市場の不安はくすぶったままだ。設備投資などは経営者のマインドに大きく影響される。米中貿易戦争を警戒して投資が控えられれば、日本企業のFAや建機関連の受注にも大きな影響が出かねない。

中国国務院が打ち出した景気支援策についても慎重な見方が出ている。みずほ証券・シニアエコノミストの吉川健治氏は、金額面で見て「『積極的な財政政策をさらに積極化する』という文言を盛り込むが、『真水を増やす』などの具体策がない。党主導の政策運営との確執があるのだろう」とみる。

中国には過剰債務というリスクがくすぶっている。過度な財政出動や金融緩和はそれらのリスクを膨らます恐れがあるため、政策の規模拡大は慎重にならざるを得ない。

吉川氏は「中国政府がシャドーバンク規制や地方政府の隠れ債務への調査に乗り出す一方で、インフラ投資の鈍化が強まるなど、景気が悪化している」と指摘。政策運営の「バランス感覚」が失われ、人民元や中国経済への下押し圧力が強まれば、金融リスクの顕在化につながりかねないと分析している。

長田善行 編集:伊賀大記

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