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焦点:海外筋主導のバズーカ2相場、株式市場は急な心変わり警戒も

[東京 14日 ロイター] - 日銀のサプライズ緩和を材料に日本株を買ったのは、やはり海外勢だった。買い越し額は2週間で3.5兆円と過去最高水準。ただ、中身をみると先物中心で現物株は半分程度と昨年4月の「黒田バズーカ1」当時と大きく異なる。

 11月14日、日銀のサプライズ緩和を材料に日本株を買ったのは、やはり海外勢だったことが明らかになった。買い越し額は2週間で3.5兆円と過去最高水準。都内で10月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

短期売買を得意とするヘッジファンドが買い主体とみられており、早い「心変わり」も警戒されている。

<「黒田バズーカ1」と「2」の違い>

ヘッジファンドの日本株に対する投資動向の「シグナル」として、市場の関心が高い米国の米ETF(上場投信)、ウィズダムツリー・日本・ヘッジド・エクイティ・ファンドDXJ.Pに資金が流入し始めた。

同ETFは為替ヘッジ付きのため、円ベースでの株価上昇の享受が可能。日本株買いと同時に円売りを仕掛ける傾向にあるグローバルマクロ系ヘッジファンドなどにとって、使い勝手が良いとされる。

大和証券の試算によれば、同ETFへの10月31日─11月12日の資金流入額は、概算値で6.83億ドルに膨らんだ。日経平均が13年末に向け株高基調を強める起点となった「昨年11月時に匹敵するかなり大きな規模の流入ペース」(大和証券・投資戦略部マーケットアナリストの熊澤伸悟氏)という。10月31日の日銀追加緩和を受け、急激な円安・株高を演出した投資主体は、ヘッジファンドなどの海外短期筋とみる市場関係者は多い。

短期筋主導の相場展開をさらに裏付けるのが、現物株と先物取引のギャップだ。東証・大取によれば、10月第5週(10月27─31日)と11月第1週(11月4─7日)の外国人投資家の買い越し額合計は、3兆5944億円。内訳では、現物1兆3055億円に対し、先物(日経平均先物・TOPIX先物のラージ・ミニ累計)が2兆2889億円と現物の1.7倍に膨らんでいる。

「黒田バズーカ1」が発表された13年4月第1週と第2週の合計では、現物を2兆3013億円買い越し、先物は1127億円の買い越しと、わずか5%弱にとどまっていたのとは対照的だ。

<セクターより指数先行の動き>

実際、足元の現物株のパフォーマンスは鈍い。日銀の緩和発表直前から8営業日後の上昇率(終値ベース)を比較すると、緩和メリットが大きいとみられている不動産株.IRLTY.Tはバズーカ1後に24.8%上昇した。

半面、バズーカ2後は14.2%の上昇にとどまっている。売買活発化の恩恵を受けると期待される証券株.ISECU.Tも前回は29.7%上がったが、今回は16.5%の上げ幅にとどまっている。

一方、日経平均先物の上昇をきっかけとする裁定取引が入りやすいファーストリテイリング9983.T、ソフトバンク9984.T、ファナック6954.Tの「日経平均寄与度御三家」の平均パフォーマンスは、バズーカ1時にはプラス1.4%だったが、バズーカ2ではプラス10.7%となった。指数先物の売買時に、影響力の大きいこの3銘柄を利用するのは、海外短期筋が得意とする手法だとみられている。

松井証券・シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「日銀がETF(上場投資信託)の買い入れ枠を従来比3倍の年間3兆円に増やしたことで、指数自体の上昇が見込みやすくなった」と指摘。これが短期筋によるインデックス買いを誘った1つの要因になったと分析している。

<鈍い長期投資家の動き>

海外短期筋主導の上昇相場で警戒されるのは、早期の反対売買だ。昨年末もイエレン米連邦準備理事会(FRB)副議長(当時)のハト派的な証言原稿などをきっかけに米金融緩和の長期化論が台頭。グローバルマクロの動きが強まり、日経平均が1万4000円水準から13年12月30日に高値1万6320円まで急上昇した。

だが、年が明けると日経平均は急落、元の水準に戻ってしまった。

グローバルマクロ系ヘッジファンドのトレード期間は、数週間から数カ月程度と比較的短い。長いスパンでの株高基調のカギを握るのは、海外年金などの長期投資家の動向だが「バズーカ2以降も、海外ロングマネーはほとんど入ってきていない」(ソシエテジェネラル証券・ディレクターの小原章弘氏)という。

UBS証券のエクイティ・ストラテジスト、大川智宏氏は「黒田バズーカ2以降、長期投資家を含む海外勢からの日本株に対する問い合わせは多いが、何が起こっているのかの把握にとどまっており、買いに動いている印象は乏しい。ロングマネーが本格的に日本に流入するには、いったん調整が必要」と述べる。

「バズーカ1相場」で、日経平均は1万2362円(13年4月3日終値)から1万5942円(同5月23日高値)まで3580円上昇した。

一方、「2」は10月30日終値の1万5658円から12日高値1万7443円まで1785円高にとどまっている。長期投資家の買いを呼び込み、一段の上値を目指すには、明確なストーリーが必要だが、解散・総選挙が取りざたされるなか、逆に不透明感が増す状況となっている。

杉山容俊 編集:伊賀大記

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