July 4, 2014 / 7:23 AM / 4 years ago

リスクオンにうってつけの米雇用統計、金利急上昇には警戒も

[東京 4日 ロイター] - 6月米雇用統計を受けて株高・円安が進んでいる。雇用改善を示しながら、インフレ懸念は強まらないというリスクオンにはうってつけの内容だったためだ。

しかし、順調な景気回復で米利上げの時期が徐々に近づいているのも確かだ。金融緩和継続を織り込み過ぎれば、その後の金利上昇も急激になる可能性があり、警戒感も出ている。

 <リスクオン、2つの前提条件が継続>

「非の打ちどころがない内容」(第一生命経済研究所副主任エコノミストの藤代宏一氏)。異例の木曜日発表となった6月米雇用統計は非農業部門の雇用者数が28万8000人増加と市場予想(21万2000人増)を大きく上回り、米雇用環境の改善を印象付けた。

一方、時間当たり賃金は0.06ドル増加と前年同月比で2.1%増から2.0%増に伸びが鈍化。賃金インフレ圧力が高まる兆候をみせなかったことで、米金融緩和の継続観測も消えなかった。米10年債金利は一時2.69%まで上昇したものの、終値は2.64%と前日の2.63%とほとんど変わらない水準で引けた。

景気改善と金融緩和、足元の金融(流動性)相場を支えている2つの前提条件が強化もしくは維持されたことで、米ダウ.DJIは1万7000ドルを初めて突破。米金利の上昇は限定的だったが、リスクオンの環境の強まりで、ドル/円も102円台前半に上昇、日経平均.N225は1万5500円の心理的節目に接近した。

「米市場が休場で海外勢の買いに勢いはないが、来週以降、海外投資家が戻ってくれば、日経平均は1万6000円を目指す動きも期待できる。いずれにせよ国内材料が乏しいので、海外次第の相場展開だ」(大手証券の株式トレーダー)という。

<米景気、改善スピードが高まらない可能性>

ただ、景気が改善、金融緩和も継続(低金利継続)という状況がいつまで続くかには、不透明感も漂う。景気が改善すれば金利は上昇するのが通常であり、低金利が続くなら景気はそれほど改善しないことを示す。

どちらにさや寄せするかだが、まず景気がそれほど改善しないかもしれない可能性がある。賃金が上昇しなければ、消費も伸びない。1─3月期米国内総生産(GDP)の2.9%という落ち込みは寒波の影響だけではないとの指摘も多い。

三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は、米国の労働参加率がなかなか伸びてこない点が気になると指摘する。「下落してはいないため、悪いとまでは言わないが、伸びに力強さが足りない。時間当たり賃金もなかなか上がってこない。 本当にこのペースで今後、ますます雇用関連の指数が改善していくのかというのは注意が必要だろう」と述べている。

また米経済のどこかに「Slack(緩み)」が隠されており、長期的な成長力が落ちているとの見方もある。ベビーブーム世代が大量に退職するなかで、米国も高齢化問題を抱えている。移民のパワーで克服するとの楽観論もあるが、高齢化はリスクの低い国債需要を高める。いまの米低金利はそれを反映している可能性もある。もしくは中国など新興国の経済減速が米国にも影を落としているとの指摘もみられる。

米景気の改善が緩やかであれば、米金利は上昇せず、円安は進みにくい。世界経済の回復スピードも落ちるため、日本株は下がらないにせよ、上がりにくいという展開が続きそうだ。

    <米金利上昇、日本株にとってのベストシナリオ>

    もう1つは、米金利が上昇するシナリオだ。債券がバブル的に買われているのであれば、年後半にかけて米景気が改善傾向を強める中で、金利が跳ね上がる時期が到来する可能性がある。

    「10年超の米長期金利はなかなか上がってこないが、2年債など手前の金利は年初から上昇している。市場は利上げを織り込んでいないわけではない。ただ、米経済は年後半、順調に回復する見通しであり、10年債も3%に向けて上昇する」とBNPパリバ証券チーフ債券ストラテジストの藤木智久氏はみる。

      日本株にとっては、この米金利上昇シナリオがベストだ。米金利が上昇し、対ドルで円安が進めば、輸出株の影響が大きい日本株にとってはプラス要因となる。年初、多くの投資家が期待していたシナリオがようやく実現することになる。 

    メリルリンチ日本証券チーフストラテジストの神山直樹氏は「昨年末に日経平均が1万6000円を超えた時の米金利は3%に乗せており、米金利が上昇してくれば日本株も一段高に向けて歩みを進めることになる」との見方を示す。

    ただ、このシナリオも、米株が金利上昇をうまく消化し、急落しないという前提付きだ。昨年5月にバーナンキ前FRB(米連邦準備理事会)議長が、テーパリング(米量的緩和縮小)を示唆したことで、マーケットが大混乱に陥ったことは記憶に新しい。金融緩和の長期化を過度に織り込む形で、株式などリスク資産に過剰流動性が流れ込み続ければ、その反動も大きくなるため、警戒が必要だ。

    (伊賀大記 編集:宮崎大)

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