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岸田改造内閣、旧統一教会巡り7閣僚交代:識者はこうみる

[東京 10日 ロイター] - 岸田文雄首相は、第2次改造内閣の陣容を固めた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題などを巡って支持率が低下する中、教会との関係を認めた7閣僚を含め、全19閣僚のうち14ポストを入れ替えた。松野博一官房長官が同日午後に閣僚名簿を発表した。皇居での認証式を経て発足する。市場関係者のコメントは以下の通り。

 8月10日、岸田文雄首相(写真)は、第2次改造内閣の陣容を固めた。写真は4月都内での代表撮影(2022年/ロイター)

●統一教会口実に首相の影響力拡大

<法政大学大学院教授(現代政治分析) 白鳥浩氏>

岸田文雄首相としては内閣支持率が下落するなか早急な対処を考えたのだろう。支持率下落の要因は、世論が割れている安倍晋三元首相の国葬と、安倍元首相銃撃事件で炎上している旧統一教会の問題だ。

 ただ実力者はいろいろな団体と関係があるので、今回決まった閣僚も3人は旧統一教会と関係があると言われている。自民党はどこかの時点で、旧統一教会との関係はどこまで許されるのか、何らかのガイドラインを示す必要がある。

岸田政権はワクチン接種のスピード感などで菅政権と比較されることも多い。菅政権で閣僚だった加藤勝信氏と西村康稔氏を入閣させることで、菅政権との比較を封殺させる狙いがあるとみられる。

また昨年の総裁選で戦ったライバルの高市早苗氏と河野太郎氏を閣僚に取り込んでいる。安倍派では、萩生田光一氏を同派閥重鎮の下村博文氏や塩谷立氏の頭ごなしに政調会長として登用しており、安倍派を分裂させる仕組みに見える。統一教会を口実に岸田首相の影響力を拡大するよく考えられた人事だ。

党役員では岸田首相と近い谷垣グループの遠藤利明氏を総務会長に入れ、安倍派の萩生田政調会長が勝手に動かないような仕組みとなっている。かなり練られた人事にみえる。

●白黒はっきりさせる政策に転換か

<ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏>

外交はタカ、国内はハトという布陣だ。経済安全保障担当相に高市早苗政調会長を充てるなど安倍派への配慮が感じられる。これまで岸田文雄首相は何もしないと言われてきたが、保守派層の支持を基盤に、その政策への支持が30%であっても、白黒はっきりつける姿勢に変わるのではないか。

防衛相に浜田靖一氏を起用したことは、バランサーとしての役割を期待しているとみている。焦点は防衛費だが、防衛相の経験があるほか、無派閥であり、党内の意見をうまく調整し、現実的な落としどころを見出すのではないか。

●高市氏の経済安保相起用、日米協力推進か

<りそなアセットマネジメント チーフ・エコノミスト 黒瀬浩一氏>

経済安全保障担当相に高市早苗政調会長を起用したのがポイントだ。安倍晋三元首相の死去で米中に対する日本の立ち位置に不透明感が強まったが、政権として日米の協力体制を進めていく意思表明と受け止めることができる。すでに具体化しつつある半導体など、分野を決めて協力体制を敷いていくことになりそうだ。

マクロ経済政策は、鈴木俊一財務相などが留任となったことで現在の路線がしばらく継続されよう。法人税増税など財政再建に踏み込めるかは、年後半の経済次第ではないか。

●主導権発揮で首相に課題、気を使い過ぎ

<政治評論家(元時事通信解説委員) 原野城治氏>

安倍晋三元首相の国葬や今回の内閣改造をみると、岸田文雄政権は決定は早いが、もう少し自分の路線を鮮明にした方がよいのではないか。

例えば、自民党の甘利明前幹事長の系列にある小林鷹之経済安保相を閣僚から外す一方で、山際大志郎経済再生相は留任させるなどバランスを欠いている。いろいろなところに気を使いすぎて今後首相が主導権を発揮しにくいのではとの懸念を感じる。

安倍派は(相対的に若手の)萩生田光一経産相を政調会長に就けたことで、派閥の遠心力が働くだろう。国葬を境に、安倍派の分裂騒動、さらなる党内抗争を誘引しかねない火種をかかえた人事と言える。

林芳正外相は党内保守派から攻撃が強まる可能性がある。防衛族の浜田靖一氏を防衛相に起用し、岸信夫防衛相を安保担当首相補佐官に就けるが、やや中途半端な印象だ。

憲法改正を本当に実現するのであれば、来年の秋など、確認の意味の総選挙で信を問う必要があるが、今回の組閣からは、岸田首相がそのように考えているとはみえにくい。

つまり、場当たり、つじつま合わせ改造内閣。やるべき政策、問うべき憲法問題などをう回したのは安易な危機回避型だ。

旧統一教会が記者会見を内閣改造の日に合わせてきた。重ならないように調整するのが自民党幹事長の仕事のはずだができていない。旧統一教会の根は深く、やがて火を噴くかもしれない問題などを抱えて、挙党一致、党内融和は遠い。

日本を取り巻く経済・外交上の課題は山積している。防衛費拡充をうたっているが、 田中角栄内閣では狂乱物価による金利上昇で当時の第4次防衛力計画整備を実現できなくなった。似たような状況となる可能性がある。

●統一教会払拭、防衛など実務の布陣

<政治評論家(自民元幹部職員) 田村重信氏>

旧統一教会の問題で世間の批判を受け内閣支持率が大幅に低下し、支持率を食い止めることが、党役員・内閣改造人事の時期を早めた大きな理由で、統一教会と関係のある7人の現職閣僚外したのが特徴だ。

結果的には、経済、安全保障、少子化など課題が山積するなかで、外相は林芳正氏留任、防衛相は浜田靖一氏など、具体的な政策を推進するのに必要なそれなりな布陣になっている。

防衛相を経験している浜田氏の再登板は意義が大きい。現行憲法下で何ができるか熟知しており、敵基地攻撃能力の保有には疑問を持つなどバランス感覚もある。一般的に安保に詳しくない人ほど元気の良い発言をしがちだが、実際に詰めると(憲法制約などで)できないことが多い。

高市早苗政調会長を閣僚にした代わりに、安倍派の萩生田光一経産相を政調会長にするなどバランス感覚もある人事。統一教会払拭だけではない、先を見据えた良い人事にみえる。政調会長は閣僚3人分に相当する重職で、安倍派への配慮が感じられる。

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