February 5, 2015 / 4:32 AM / 5 years ago

財政再建計画、高成長依存の「逃げ道」絶つべき=自民・河野氏

[東京 5日 ロイター] - 自民党の河野太郎・行政改革推進本部長は、ロイターのインタビューで、今夏までにまとめる財政再建計画について、高めの成長率を前提に計画を策定しても「絵に描いた餅」になりかねないとし、保守的な成長率を前提に計画を策定すべきだとの認識を示した。経済成長率を高めに想定して税収をかさ上げし、歳出・歳入改革の取り組みが後退することに河野氏は警鐘を鳴らし、過度な成長率依存による「逃げ道」は絶つべきだと強調した。

 2月5日、自民党の河野太郎・行政改革推進本部長(写真)はロイターのインタビューで財政再建計画について、保守的な成長率を前提に策定すべきだとの認識を示した。2011年6月20日撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

財政再建計画を確実に実施させるためには、計画を法律として制定するほうが望ましいと語った。

<3%成長前提の試算を疑問視、保守的な成長で再計算を>

政府は国と地方を合わせた基礎的財政収支(PB)を2020年度に黒字化するとの目標を掲げ、実現を担保するために、今夏までに具体的な財政再建計画を取りまとめる予定だ。

一方で、安倍晋三首相がPB黒字化だけでなく、債務残高対GDP比などの指標も含め「複合的にみていく必要がある」との発言を繰り返していることで、エコノミストの間では「財政調整より高い成長で問題解決を目指すべきとの立場」に警戒の声も浮上している。河野氏はこの過度な「成長」依存の視点に一石を投じた。

河野氏がまず問題視するのが、計画策定の前提となる内閣府試算の現実性の乏しさ。

昨年7月の内閣府試算では、2010年度後半以降に名目成長率3%後半の高い名目成長率が続くとしても、20年度にはGDP比1.8%、金額で11.0兆円の基礎的財政収支の赤字が残る。この時の税収見通しは69.3兆円。日本でこれまで最も税収が多かったのはバブル末期の1990年の60.1兆円で、推計はこれを9兆円も上回った。

名目成長率が低めの2%弱となると、PB黒字化に必要な対応額はGDP比2.9%、金額にして16.2兆円に達する。  

河野氏は「3%成長なんてそもそも難しい。2020年度まで3%成長を前提とする試算はおかしい」と異論を唱え、「税収弾性値を上げて税収が増えるという『バラ色』のようなことを言われても困る」とも語り、「現実的かつ保守的な試算を、いろいろなケースに分けてまずスタートさせるべきだ」と指摘。「高めの成長率を前提に議論しても、『絵に描いた餅』になるだけだ」と語った。

<債務残高は今でも減らせる、外為特会検証へ>

さらに、財政健全化のために河野氏は「PB黒字化の議論だけではダメだ。ストックをどう減らしていくかという議論をしなければならない」と強調。PB黒字化達成後の次の目標として、債務残高を安定的に減らしていくことに着手すべきだとも語る。仮に黒字化したとしても、金利上昇が国債費の増大要因となり発散するからだ。

もっとも、政府内で浮上している「債務残高対GDP比」目標ではなく、より直接的に、政府資産と負債の両建てとなっている外為特会を見直すことで、債務残高を減らすことができないかと提言する。「まず両建てになっているものから、削れるものは削っていくことをやるべきだ」とし、「債務残高は今からでも減らし始めることができるところがある」と語った。

そのうえで、ストック面からの目標設定では「欧州ではGDP比で計算し目標設定している国がある。それはわかる」と一定の理解を示しながらも、「(GDP比の目標では)すぐ経済成長率を高めれば(良い)という議論になってしまう。そういう『逃げ道』は避ける」と述べ、経済成長に期待しすぎる財政収支改善は、歳出削減や増税による歳入改革への取り組みを弛緩させるとした。

<本丸は社会保障改革、増税論議は避けて通れない>

歳出改革では、一般会計の3分の1を占めるまでに膨張した社会保障が「改革の本丸。避けて通れない」と繰り返し、高齢化による自然増の部分と、医療高度化による歳出増の部分に分けて、それぞれに上限を設定することも一案とした。

歳入改革では「議論せざるを得ない」としならも、租税特別措置の見直しや所得税引き上げなど選択肢はあるとし、2017年4月に消費税率を10%に引き上げた後、さらなる消費増税論議が議題になるかは言及を避けた。

<法定化で、コミットメントがより確実に>

計画策定にあたって河野氏はどれだけ具体的に決意をもって示すことができるかだと述べ、計画の実現をより確実にするには「法定化することが望ましい」と語った。

<自民特命委がきょう初会合、全党的議論にシフト>

河野氏は1月21日、こうした考え方を行政改革推進本部の提言としてまとめ、稲田朋美政調会長に提出した。自民党では、政調会長をトップに「財政再建に関する特命委員会」を新設。5日午後に初会合を開き、財政再建計画策定に向けた議論をスタートさせる。

河野氏は、箱根駅伝にたとえ、「1区から、2区の全党的組織にタスキを渡した」と述べ、全党的な議論を促した。自身も特命委のメンバーとして「伴走を続ける」構えだ。

*一部表現を修正しました。

吉川裕子 編集:宮崎亜巳

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