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日銀総裁会見:識者はこうみる

[東京 18日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は18日の金融政策決定会合後の会見で、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比が2023年度にかけて1%程度の上昇率にとどまると予想される中、「現在の金融緩和を修正する必要は全くない」と述べた。その上で、日銀は2%の物価安定目標を達成するまで現在の緩和策を粘り強く続けていく考えを改めて示した。

 日銀の黒田総裁は18日の金融政策決定会合後の会見で、消費者物価指数の前年比が2023年度にかけて1%程度の上昇率にとどまると予想される中、「現在の金融緩和を修正する必要は全くない」と述べた。写真は2019年12がt、都内で会見する黒田総裁(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

市場関係者の見方は以下の通り。

●物価目標達成前の政策修正を強く否定

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア・マーケットエコノミスト 六車 治美氏>

黒田東彦総裁は、利上げは全く議論していないと述べ、市場の一部で高まっていた政策修正期待を強く否定した。今後の経済や物価の状況次第で認識も変わるとは思うが、少なくとも今日の段階では、安定的な物価2%目標達成前に政策修正する可能性はかなり低いというメッセージが伝わってきた。

足元の為替状況も悪い円安ではないとしており、政治サイドから明確な政策修正を求めるような「助け舟」が出ない限り、早期の政策修正は難しいだろう。

円債にとっては買い材料となる発言内容だったが、米金利が急上昇しており、素直に買い戻しが強まる感じではない。

●株価にプラス、引き締め明確に否定 警戒打ち消す

<りそなアセットマネジメント 運用戦略部チーフ・ストラテジスト 黒瀬浩一氏>

従来からの見解に大きな変化はみられなかったが、目先の株式相場にはプラスに作用するのではないか。

市場では金融引き締めの観測が流れていたが、総裁はこれを明確に否定した。少なくとも日銀の執行部は引き締めを考えていないことが確認された。ここ数週間、市場が警戒していたマイナスの要素を打ち消したかたちだ。

日銀の金融政策の現状維持が発表された直後の株価上昇からも、株価にポジティブな様子がうかがえる。きょうの午後は、原油高による米金利上昇で米株先物が軟調になって日本株も連れ安になったが、これがなければ少なくともプラスで取引を終えていただろう。

一方、オミクロン株感染が長引くケースに対する総裁の警戒感は薄い印象だった。仮にデルタ株のような悪影響が広がれば収まりかけた供給網の混乱が再燃しかねず、物価を巡る状況も変わるリスクがある。感染動向の先行きには、引き続き注意が必要だろう。

●物価次第で円安に対する日銀の見解に変化も

<JPモルガン証券 チーフエコノミスト 鵜飼博史氏>

日銀の決定会合の内容が公表された後、為替市場ではドル高/円安方向に振れた。マーケットの一部では、将来の政策変更が示唆されるのではないかという警戒感が和らぎ、ポジションを変えた市場参加者がいたのではないか。

円安については、トータルでみれば日本経済にとってプラスだとみている。ただ、仮に今後一段と円安が進行した場合、輸出企業にとってはプラスだが、輸入物価の上昇は消費者に幅広く影響が出てしまう。そうした消費者の声や政治的な圧力と結び付き、今後、日銀の円安に対する見方が変わる可能性はあるのではないか。

一方、きょう公表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価が2%まで上昇するという展望ができないことが示された。これは、近い将来における金融政策の変更を示唆しないということを意味している。黒田総裁の記者会見でも、今後も粘り強く金融緩和を続けることが強調され、大きなサプライズはなかった。

今後、2%の物価目標達成に向けて1)中期的なインフレ期待が上昇すること、2)賃上げなどを通じて消費者の値上げ許容度が変わること――が注視され、この2点を日銀は見極めていくだろう。

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