[21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は21日、5月3─4日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げが「検討される」と述べた。
市場関係者の見方は以下の通り。
●市場は景気リスク再織り込み、グロース株に打撃
<ブライト・トレーディングのトレーダー、デニス・ディック氏>
FRBによるかなり長期の緩和策で、申し分のない良好な相場が続いてきたため、市場参加者はFRBが反対方向に動き、ややタカ派的になる状況がどのようなものか忘れてしまっていた。インフレが手に負えない状態になっており、抑制する必要がある。これは人為的に経済減速を招くことになる。無論、株式にとって良いことではなく、金利が上がり、特定の企業は成長が鈍化する。既にそのようなことが起きている。ウクライナ戦争が続いており、どのような影響があるのかは全く分からない。
市場はリスクを改めて織り込みつつあり、高バリュエーション、高株価収益率のグロース・ハイテク株のような銘柄が最も打撃を受けている。高金利環境では将来的な利益が目減りするため、そのような銘柄の価値が低下するからだ。
●5月の50bp利上げ支持を確認
<ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイク・オルーク氏>
次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp)利上げをパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長も支持しているという確認を誰もが待っていた。議長は明らかにそういう印象を与えた。市場は、議長が市場の見方を確認するのでなく何か(異なること)を言ったのに反応したというわけではない。
金利の観点から見れば、成長関連株がより大きな困難にさらされ、そうした状況は今年を通じて続くだろう。利上げサイクルが始まってまだ1回しか引き上げは行われていない。市場は追加利上げを見込んでいるが、全て織り込み済みなわけではない。
投資家が唯一確信しているのは、当分の間は引き締め政策が続くということだ。
●景気後退回避は容易でないと示唆
<インガルズ&スナイダー(ニューヨーク)のシニアポートフォリオストラテジスト、ティム・グリスキー氏>
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はリセッション(景気後退)の回避は容易ではないと示唆した。これは目新しいことだ。市場はしばらくの間、景気後退の可能性があることを受け入れてきた。FRBがようやくそれを認めたことで、株式市場の圧力は幾分和らいだ。
FRBが認めたことはひいては、その可能性の回避や、市場が本当に恐れているいかなる深刻な景気後退の回避にも一段と注力する可能性を示しており、市場にとって安心材料だ。
パウエル氏が景気後退を招くことなくインフレを抑制しようとしていると言いながら、それは容易ではないと認めた上で最善を尽くすとしているのは興味深い。
パウエル氏は景気後退は避けられない結果ではなく、可能性があると考えている。
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