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米ファースト・リパブリック銀が破綻:識者はこうみる

[東京 1日 ロイター] - 米カリフォルニア州金融当局は1日、経営不振の中堅銀行ファースト・リパブリック・バンクを公的管理下に置き、資産をJPモルガン・チェース銀行に売却すると発表した。米銀の破綻はシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行に続くもので、過去約2カ月で3行目となる。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●業界にリスク対処の備えある

<ガベリファンドのポートフォリオマネージャー、マクレー・サイクス氏>

ファーストリパブリック銀行はJPモルガン・チェース銀行の強力な手に委ねられることになり、JPモルガンは自身が成長分野と位置付けるウェルスマネジメントのさらなる規模拡大から利益を得ることになる。

資産売却に複数の入札があったことは、銀行のバランスシートのデュレーションリスク増大から生じる将来の問題に対処するため、業界全体に潜在的に備えがあることを示している。今回は、信用を巡る状況がよりマクロ的に変化していた2008年のような事態が起こるとは想定していない。

●JPモルガン、危機時リーダーの足場固める

<パイパー・サンドラーのマネジングディレクター、R・スコット・シーファーズ氏とリサーチアナリストのフランク・ウィリアムズ氏>

今回の買収は金銭的なメリットがあるが、JPモルガンが混乱期における業界のリーダーとしての地位を固めることで、評判に関わるメリットが大きい。

JPモルガンは2回の危機(金融危機時のベアー・スターンズとワシントン・ミューチュアル買収と今回のファースト・リパブリック買収)を通じ、業界のリーダーとしての地位を確立した。すでに神経を尖らせる顧客の預け先となっていたが、今回の買収によって問題のある金融機関を排除し、懸念緩和に再び寄与している。

唯一の懸念材料は予見できない今後の状況だ。「大きすぎてつぶせない」状況がなお政治的な懸念材料である中、JPモルガンがさらに大きくなることで、ある時点で何らかの反発に直面しても不思議ではない。

 5月1日、米カリフォルニア州金融当局は、経営不振の中堅銀行ファースト・リパブリック・バンクを公的管理下に置き、資産をJPモルガン・チェース銀行に売却すると発表した。写真はサンフランシスコの同行支店で4月28日撮影(2023年 ロイター/Loren Elliott)

●FRB利上げのしわ寄せ

<グレートヒル・キャピタルの会長兼マネジングメンバー、トーマス・ヘイズ氏>

破綻がシリコンバレー銀行(SVB)のみにとどまっていた時は経営陣を責めるのは簡単だった。しかし破綻のパターンが見えてきた今、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが急激に過ぎ、そのしわ寄せがきていることは明らかだ。

市場は今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げを織り込み済みだが、週末の動向からみて、より慎重なガイダンスを行い、市場のメッセージを尊重すると思われる。

次回の利上げを最後に、「休止」があっても不思議ではない。市場は、度重なる銀行破綻によってFRBの今後の政策対応に迷いが生じているはずとみるだろう。

●利上げとん挫せず、議長発言に注目

<コンペアブローカーのチーフアナリスト、ジャミール・アマド氏>

銀行部部門の信頼は一段と弱まった。金融市場がデフェンシブな状態は続くと予想しておかなければならない。安全資産が模索される中、ドルや円などが注目されるだろう。

今回のファースト・リパブリック銀行を巡る動きで、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で予想されている利上げがとん挫する公算は小さい。ただ、銀行部門で見られている明確なストレスについて連邦準備理事会(FRB)がどのように考えているか、パウエル議長の発言が注目されるだろう。

●想定内の展開、悪影響限定的との安心感に

<大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和氏>

米当局が経営不振の中堅銀行ファースト・リパブリック・バンクを閉鎖し、同行の資産をJPモルガン・チェース銀行に売却することで合意したと報じられたが、時間外の米株先物はほとんど動いていない。週末辺りから想定されていたシナリオの範囲内であり、さほど深刻に捉えられている様子はない。

何のフォローもないまま破綻するより、引き継がれることで負のスパイラルは限られるとの安心感につながるのではないか。業界の雄であるJPモルガン・チェースが乗り出したことも安心材料になりそうだ。

ただ、きょうの日本株は上昇した後だけに、目先はその反動をどうこなすかが焦点になりそうだ。国内の連休を前に利益を確定したい投資家もいるため、上値は重くなるかもしれない。

●売却合意で最悪シナリオは回避

<三井住友銀行 チーフ・マーケット・エコノミスト 森谷 亨氏>

米ファースト・リパブリック・バンクFRC.Nが、JPモルガン・チェース銀行に売却されることで合意に至ったことは、市場に一定の安心感を与えるだろう。無秩序な破綻が最悪のシナリオであったが、それは避けられた。ただ、大手銀行による買収は市場のメインシナリオであり、ドル/円などマーケットの反応は限定的になっている。

ファースト・リパブリックよりも、預金保険対象外の預金比率が大きい米地銀はないとみられ、今回の件をきっかけとした、金融システム不安は広がらないとみている。ただ、小さくても米銀の破綻が続けば、大手金融機関と言えども、すべてを抱えこむわけにはいかなくなる。その点は警戒されよう。

*動画を付けて再送します。

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