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焦点:日銀マイナス金利が始動、イールド押し下げ効果に自信
February 16, 2016 / 1:49 AM / 2 years ago

焦点:日銀マイナス金利が始動、イールド押し下げ効果に自信

[東京 16日 ロイター] - 日銀のマイナス金利が16日から始動する。1月29日の正式発表後、折からの世界的な市場変動で一時、大幅に株安・円高が進行。市場の一部ではマイナス金利の副作用を声高に指摘する動きも出ているが、日銀はイールドカーブ全般を押し下げ、それによって緩和効果が出ると強調する。

 2月16日、日銀のマイナス金利が始動した。1月29日の正式発表後、折からの世界的な市場変動で一時、大幅に株安・円高が進行。市場の一部ではマイナス金利の副作用を声高に指摘する動きも出ているが、日銀はイールドカーブ全般を押し下げ、それによって緩和効果が出ると強調する。写真は都内日銀本店前で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

2013年4月の量的・質的金融緩和(QQE)導入直後も国債価格は急変動後に落ち着いた。今回はどうなるか、市場の注目度は高い。

<実質金利低下、主たる波及メカニズム>

日銀の黒田東彦総裁は12日の国会で、1月29日に導入を決めたマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の効果について問われ、イールドカーブ全体の低下が実現しているとし「所期の効果が表れている」と評価した。

日銀ではマイナス金利の導入当初から、その直接的な狙いについて、イールドカーブの起点となる短期金利の引き下げで金利全体の低下を促す一方、日銀による物価2%目標達成に向けた強い決意を示すことによってインフレ期待を引き上げ、実質金利を低下させることを「主たる波及メカニズム」(黒田総裁)と説明している。

その意味では、導入決定直後から金利全般が低下。9日には長期金利JP10YTN1=JBTCが初のマイナスとなるなど、リスク回避による国債需要の高まりを除いても、名目金利を押し下げる効果は日銀の目論見通りといえる。

<翌日物マイナス金利、市場の見方交錯>

もっとも翌日物金利がマイナス0.1%まで下がるかどうか、市場では見方が交錯している。金融機関の間でマイナス金利で資金を貸し借りするインセンティブが少ないため、「メガバンクがあえてマイナスで取りにいかないと成立は難しいのではないか」(国内市場関係者)との声が出ている。

また、一部の金融機関のシステムでは、マイナス金利の入力ができないまま16日を迎えていると見られ、そうした点もマイナス金利の広がりに対する懸念材料となっている。

翌日物金利がマイナス0.1%まで下がらなければ、思惑でこれまでマイナス圏に下がってきた中期ゾーンの金利が反転上昇し、イールドカーブがむしろスティープ化する展開も、一部の市場関係者の間で懸念されている。

これに対して日銀内では、翌日物と異なり、より長い金利は経済・物価情勢を反映するため、イールドカーブが急激にスティープ化することはないとの認識が出ている。

一方、日銀が重視ているインフレ期待とマイナス金利の関係でも、市場では冷めた声が出ている。例えば、市場のインフレ期待を示す指標である物価連動国債から算出するブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、マイナス金利導入前のプラス0.5%程度から足元は同0.2%程度で推移している。

ただ、日銀内ではBEIは目安の1つに過ぎず、その他のアンケート調査やエネルギーと生鮮食品を除いた日銀版コアコアCPI(消費者物価指数)をみれば、物価の基調はしっかりしているとの立場を維持している。

<銀行株下落、いずれ修正と予想>

また、市場関係者の一部で注目されているのが、銀行株の下落だ。15日の市場で急反発したものの、依然として最近の下げを取り戻していない。

しかし、日銀ではマイナス金利導入に際し、当座預金残高を3階層にして金融機関収益への影響に配慮した点を強調。市場が冷静に客観情勢を織り込んでいけば、過度の銀行株下落は、時間の経過とともに修正されていくとみている。

また、最近の株安・円高現象に関しては、中国など新興国経済の不透明感と原油安に、米利上げペースや欧州の銀行問題など悪材料が重なった「外生要因」が、大きく作用しているとみている。

マイナス金利導入による金利の低下は、内外金利差やポートフォリオ・リバランスなどを通じて、株高・円安方向に影響を与え、市場の動揺が鎮静化するにつれ、その色彩が濃くなると展望している。日銀内には、もし1月29日に追加緩和を決断しなければ、今以上に株安と円高が進展していた可能性があるとの声も聞かれる。

<残る複数のリスク要因> 

もっとも、市場の不安定な状態が長引くこと自体が企業と家計のマインドや支出行動に悪影響を与える可能性があり、日銀は警戒感を持って動向を注視している。

さらに原油価格動向も引き続き気掛かり。日銀の物価見通しは、原油価格が先行きに緩やかに上昇していくことが前提となっている。15日には原油先物が一時1バレル30ドルまで上昇したものの、先行きは不透明だ。原油価格が低水準で推移すれば、実際の消費者物価の低迷が長引き、人々の物価観に影響を及ぼしかねない。

黒田総裁は12日の国会で、戦力の逐次投入とは「その時点で必要なだけの金融緩和なり引き締めを行わずに、政策対応を繰り返すこと」と説明した。

日銀がこれからどのような政策判断を下していくのか。その動向を見極める上でも、16日からの短期金利から長期金利までのイールド全般の動きから目が離せない。

伊藤純夫、竹本能文 編集:田巻一彦

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