July 30, 2019 / 9:45 AM / 23 days ago

「躊躇なく」の文言、従来より金融緩和に前向き=黒田日銀総裁

[東京 30日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は30日、金融政策決定会合後の記者会見で、「物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく、追加的な金融緩和措置を講じる」との文言を公表文に入れたことについて「かなり踏み込んだ言い方。金融緩和に向けてかなり前向きになったとは言える」と述べた。こうした文言を公表文に入れた背景には、保護主義を中心に海外経済のリスクが高まっており、それが日本の経済・物価に与える影響により注意が必要な状況になっているためだと説明した。

 7月30日、日銀の黒田総裁は「物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく、追加的な金融緩和措置を講じる」との文言を公表文に入れたことについて「かなり踏み込んだ言い方。金融緩和に向けてかなり前向きになったとは言える」と述べた。日銀本店で撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<物価モメンタム損なわれるリスク、未然に防ぐ>

総裁は「経済は海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。物価は、固有の不確実性に加え、経済の下振れリスクが顕在化して物価に影響を与える可能性にもこれまで以上に留意が必要な情勢にある」と指摘。そのうえで「物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるリスクの顕在化を未然に防ぐため必要と判断する場合には、ちゅうちょなく政策対応する方針であることをさらに明確にすることが適当と判断した」と説明した。

従来は「モメンタムが損なわれる場合には、ちゅうちょなく追加緩和を検討する」としていたが、「損なわれる恐れが高まったら」としたことで「さらに一歩進めて、より明確に日銀としての金融緩和への対応を示した」と述べた。さらには「予防的と言ってもいいかもしれない」とした。

総裁は「海外経済の下振れリスクは大きく、最近の保護主義的な動きが世界経済や国際金融市場に及ぼす影響の不確実性は高まっている」とし「経済の下振れリスクが顕在化して、物価に影響を与える可能性についても、これまで以上に留意が必要な情勢にある」と指摘した。

近い将来の追加緩和を示唆したのか、との質問に対しては「時間的にすぐということを必ずしも意味していない」としながらも「モメンタムが損なわれる恐れが高まる場合にはちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」と公表文の文言を繰り返すことで、緩和に対する姿勢の強さを強調した。

<追加緩和手段はいくつもあり得る>

物価のモメンタムについて、総裁は、需給ギャップのプラスが続くことと、企業や家計の予想物価上昇率が重要なポイントと説明。足元では需給ギャップはプラスの状況が続いているほか、予想物価上昇率も横ばいで安定していることなどから「足元でモメンタムが損なわれる恐れが高まっているとは言えない」とした。そのうえで「海外経済を中心としたリスクが高まっている状況。これが長引けば、日本経済にも下振れリスクがさらに高まり、そのもとで物価安定目標に向けたモメンタムが失われる恐れが高まる可能性がある。そうなったら、ちゅうちょなく追加緩和を検討する」と述べた。

金融緩和手段については、短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速などがあり「それらの組み合わせや応用もあり得る。現在の枠組みを前提に考えることになる。引き続き、主として、実質金利や資産価格のプレミアムを通じて、政策効果が発揮されることになる。追加的な手段はいくつもあり得る」と述べた。 

足元でイールドカーブがフラット化しているが「もう少しスティープになった方が正常」との考えを示したものの、追加緩和時にどのような措置をとるかについては「その時の経済・物価・金融情勢を十分考慮して、副作用にも十分目配りして、適切な追加策を講じる」と述べた。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は30―31日に開く会合で10年半ぶりの利下げに踏み切る見込みにある。総裁は「当然、世界経済、国際的な金融資本市場の動向は議論になり、それらを踏まえて日本の経済・物価・金融情勢を議論し、決定を行った」と述べた。

また、こうした他国の金融緩和策が為替市場などに与える影響については「短期的に金融市場や為替が動く・動かないよりも、適切な政策を通じてそれぞれの国・地域が持続的に成長し、物価が安定することは、世界経済・日本経済にとってプラス。それは、金融・為替にとってマイナスになることはない」と述べた。

<世界経済の年後半回復シナリオ、若干後ずれ>

世界経済の年後半の景気回復シナリオについて、総裁は「基本的なシナリオは崩れていないが、ピックアップしていく時期が若干後ろにずれている可能性はある」との見方を示した。

足元では、内需がしっかりしていることが日本経済を下支えしているものの、米中貿易摩擦などが長引き、世界経済の回復テンポがさらに遅れたり、スローダウンすると「製造業だけでなく、内需にも影響が出てくる恐れがある」と指摘した。

10月に予定されている消費増税の影響については、すでに政府が様々な措置を講じており、家計のネット負担額が小幅なものにとどまることなどから「14年の引き上げ時と比べると小さなものにとどまると、今でも考えている」と述べた。ただ、消費者マインドなどによって影響は変化することから「引き続き、注意深く点検する方針に変わりはない」とした。

*内容を追加しました。

清水律子 編集:内田慎一

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below