[ワシントン/東京 6日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は6日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のため訪れている米ワシントンで、「金融政策が絶対的な限界に来ているということではない」と述べ、G20では日銀が新たに導入した枠組みについて各国に説明する考えを示した。
G20開催前に記者団の取材に応じた。日銀は9月の金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロールや物価のオーバーシュート型コミットメントを打ち出した。
黒田総裁は「物価上昇が2%を超えて、ある程度そういう動向が続くまで金融緩和を続けるという、かなり強いコミットメントをした」と指摘。金融政策の限界説を否定したうえで、財政政策や構造改革とあわせて成長をけん引する必要があると語った。
一方、ドイツ銀行の財務不安を背景とした欧州の銀行問題をめぐっては、「ただちに欧州経済や世界経済にとって非常に大きな問題を引き起こすわけではない」との国際通貨基金(IMF)の見方を紹介した。
長引く欧州の不良債権問題は「早期に問題点を把握して処理することが必要」とする一方、「欧州連合(EU)やユーロ圏では金融機関の破たん処理などについて一定のルールを構築している」とし、早期の対処を期待した。
世界経済の成長鈍化への懸念が高まるなか、黒田総裁はIMFが世界全体の経済成長率を2016年が3.1%、17年は3.4%と予測したことに触れ、「だんだん成長が加速するという姿は変わっていない」と強調した。
そのうえで「いくつかのリスク要因があるので、それには適切に対応するということではないか」とも語った。
*内容を追加しました。
木原麗花 梅川崇
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