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黒田日銀総裁、利上げ観測をけん制:識者はこうみる
2017年3月24日 / 06:05 / 8ヶ月後

黒田日銀総裁、利上げ観測をけん制:識者はこうみる

[東京 24日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は24日都内で開かれたロイターのイベント「ロイターニュースメーカー」で講演および質疑応答に応じ、長期金利目標で現行のゼロ%程度を引き上げる理由はないとして、米利上げからの連想で市場で思惑がくすぶる利上げ観測をけん制した。

3月24日、日銀の黒田東彦総裁は都内で開かれたロイターのイベント「ロイターニュースメーカー」で講演および質疑応答に応じ、長期金利目標で現行のゼロ%程度を引き上げる理由はないとして、米利上げからの連想で市場で思惑がくすぶる利上げ観測をけん制した(2017年 ロイター/Toru Hanai)

市場関係者の見方は以下の通り。

●低金利政策をコミット、ドル/円を支援

<あおぞら銀行 市場商品部部長 諸我晃氏>

米国からの円安けん制が警戒されているが、黒田総裁は講演で、各国の金融政策は為替レートをターゲットにしていないということにあらためて言及した。ドル/円にとっては下支えの材料になりやすい。

現状のイールドカーブを維持し、世界的な経済情勢の好転を活かしていくべき局面だとも述べた。低金利政策にコミットする姿勢といえ、世界の金利が上昇(訂正)する環境下では、こちらもドル/円の支えになるだろう。

●政策にぶれないことは市場に安心感

<日本アジア証券エクイティ・ストラテジスト 清水三津雄氏>

今までの発言の繰り返しだが、日銀のスタンスにぶれがないということは非常に良い。米国が利上げをしようと、日本は長短金利操作付き量的質的金融緩和を継続するという姿勢を変わらず打ち出したことは、市場に安心感をもたらした。

ETF(上場投資信託)買い入れについては、日銀が株価を下支えしているとの指摘もあるが、基本的にはリスクマネーの提供なので大いに評価できる。

トランプ政権運営をどう見ているかについても質問があったが、鍵となる通商政策もまだ出てきておらず、評価は下せないのだろう。日銀は今までどおりの政策を粛々と行うだけだ。

●強気スタンス維持、ETF減額観測をけん制

<ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏>

長短金利操作付き量的・質的金融緩和は現時点で考え得る最善の枠組みだ、などとする発言からは、従来通りの黒田総裁の強気なスタンスがうかがえる。一方で、経済・物価については、下振れリスクの方が大きいともコメントしている。この点では自信のなさも見え隠れする。

物価目標に関しては、任期中に2%に達するかは分からない、とも話している。本音では難しいと考えているのだろう。だが、現実を見据えているという言い方も可能。市場とのコミュニケーションという意味では、前進したと見ることもできる。

また為替と金利差の関係を巡っては、相関がある時とない時があるとの認識を示している。金融政策を通じ、結果的に円安になることがあっても、これは円安誘導ではないといった米国に対してのメッセージを発信しているように見受けられる。

株式市場では一部で、日銀によるETF(上場投資信託)の買い入れ減額の可能性を指摘する声も出ていた。黒田総裁としては、トランプ相場で株価が堅調に推移しても、買い入れ額を減らすつもりはないのだろう。一連のETFの買い入れに関する発言からは、市場の減額観測をけん制する狙いがあるととらえることもできる。

●長期金利目標引き上げ現実的でない

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

国内外の金利はある程度連動するわけだが、日銀の金融政策は、金利が上がりやすい状況において金利をあるべき水準よりも低く抑えることによって緩和効果を発揮する。その意味では、今はイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の緩和効果を発揮する局面だと思う。「海外金利の上昇に応じて、長期金利目標を引き上げることはない」との黒田東彦総裁の発言につながったと受け止めている。

日銀が掲げる2%の物価安定目標の達成の道筋がまだ見えないこともあり、当面、長期金利の目標を引き上げることは現実的ではないという点を再確認できた。

「日銀が長期金利コントロールできなくなる事態考えられない」との発言からは、金利が上がる方向について、「指し値オペ」などYCC政策は、強力な金利上昇抑制手段であり、ある程度の持続性もあるということだろう。

また、「国債が品薄になれば国債買い入れの金利押し下げ効果より大きくなる」とも発言しており、品薄になれば、1単位あたりの押し下げ効果が大きくなるとみているようだ。

●YCCへのコミットメントを改めて表明

<SMBC日興証券 為替・外債ストラテジスト 野地慎氏>

黒田総裁は講演で、イールドカーブ・コントロール(YCC)に対するコミットメントを改めて示した。

総裁は、米金利上昇、ドル高、原油価格の上昇でヘッドラインのインフレが上昇し、実質金利が低下し、結果的に日銀の緩和度合いが強まったとしても、それはあくまで一時的なものであるとの捉え方を明らかにした。

その上で、「一時的な要因」には影響を受けずに、日銀は現状のイールドカーブを維持するという意向を表明した。

総裁は22日、参院財政金融委員会での答弁で、大規模な金融緩和を手仕舞いする出口戦略として、現状でマイナス0.1%を適用している日銀当座預金の引き上げや、日銀が保有する国債の売却などを検討する考えを示した。

こうした議論は欧州中央銀行でもなされており、日銀もグローバルな情勢に配慮して、議論はするとの姿勢はみせておく必要がこの発言につながったとみている。

しかし、足元でジリジリと円高が進んでいる環境に鑑みて、出口戦略や資産売却について言及すれば、市場で円高の憶測を招く可能性があるため、きょうは控えたと考えられる。

日銀の黒田東彦総裁は24日都内で開かれたロイターのイベント「ロイターニュースメーカー」で講演および質疑応答に応じ、長期金利目標で現行のゼロ%程度を引き上げる理由はないとして、米利上げからの連想で市場で思惑がくすぶる利上げ観測をけん制した。一方、国債買い入れは今後減額しても金利押し下げ効果が高まると説明し、緩やかな買い入れ減額を示唆した。(ナレーションなし)

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