May 31, 2013 / 6:03 AM / 5 years ago

焦点:魅力低下する米高配当株、米国債利回り上昇で

[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米S&P総合500種指数.SPXは今年に入ってからの5カ月間で16%強上昇した。相場を押し上げたのは高い利回りを求める投資家だった。

5月30日、米S&P総合500種指数は今年に入ってからの5カ月間で16%強上昇した。相場を押し上げたのは高い利回りを求める投資家だった。写真はニューヨーク証券取引所で、同日撮影(2013年 ロイター/Brendan McDermid)

中央銀行が金利を低水準に押し下げたことで、公益や通信など低成長ながらも配当の高いセクターに投資妙味が生じた。値上がりの可能性がある上、国債よりも高い利回りが得られるからだ。

これらのセクターはここ数カ月にわたって株式相場の上昇をけん引してきたが、米国債利回りが今週に入って1年1カ月ぶりの高水準に上昇したのに伴い、そうした局面も終わったようだ。米経済の先行き見通しが改善した上、米連邦準備理事会(FRB)が資産購入プログラムを縮小させるとの観測から、投資家は高配当株への投資から手を引いている。

S&P総合500種指数は年初から4月末までに12%上昇した。相場をけん引したのは、同期間に17.1%上昇した生活必需品.SPLRCSのほか、18.4%上昇した公益株.SPLRCUとヘルスケア株.SPXHCだった。S&P総合500種は5月に入ってからは3.9%上昇、年初来では16.5%近く上がっている。

中銀が国債購入を通じて利回りを低く抑えたため、投資家は株式と並んで社債や高利回り債を物色。それでも世界経済の不確実性から投資家はリスク資産の中でも「比較的安全な」資産を探している。

S&P総合500種に組み入れられた銘柄全体の配当利回りは2.4%。この中で投資家は利回りが比較的高いセクターに引き付けられていた。セクター別の配当利回りは、通信が4.6%、公益が4%、生活必需品が2.7%となっている。

5月もS&P総合500種は上昇を続けたが、公益株は9.2%下落、生活必需品株は0.2%下げ、通信は5.2%のマイナスとなった。

レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルのチーフ投資ストラテジスト、ジェフリー・ソート氏は、多くのポートフォリオマネジャーが市場全体の動きを警戒し、公益と生活必需品などディフェンシブ銘柄に投資したため、これらのセクターが歴史的に見て割高になったとの見方を示した。

<割高なバリュエーション>

高配当銘柄が多く含まれるディフェンシブ株は実際、無配の銘柄と比べて割高になっている。トムソン・ロイターのデータによると、S&P通信株指数.SPLRCLは12カ月後の業績予想に基づく株価収益率(PER)が18.29倍。S&P公益株指数.SPLRCUは同PERが15.84倍となっている。

2000年初頭以降、通信セクターのPERは平均で16.70倍、公益セクターは平均で13.46倍だった。

一方、景気敏感セクターの業績予想に基づくPERは、工業株が14.59倍、ハイテク株が13.11倍と、いすれも長期平均を下回っている。S&P総合500種全体では14.36倍となっている。

フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランドー氏は「投資家はこれらのディフェンシブ株を目いっぱい買い上げたことに気付いた。彼らは現在、経済成長が改善するであろう今年下半期を見据え、ディフェンシブ株より大幅に割安な多くの景気敏感株に目を向けている」と述べた。

高配当銘柄に投資するファンドに対して投資家は、昨年ほど旺盛ではないにせよ、今年も依然として安定した投資意欲を示している。しかし、グロース・アンド・バリューの運用戦略に回帰する投資家も増え始めている。

リッパーのデータによると、昨年は高配当株ファンドに147億4000万ドルの資金が流入。グロース・アンド・バリュー戦略で運用するファンドは233億9000万ドルの流出だった。ところが今年に入って5月22日までの期間では、高配当株ファンドは72億8000万ドルの流入、グロース・アンド・バリュー型ファンドにはこれを上回る133億1000万ドルが流れ込んだ。

高配当株に投資する上場投資信託(ETF)はここ数日値を下げており、Iシェアーズ・ハイ・ディビデンド・エクイティ・ファンド(HDV.P)は過去10日間で1.9%下落した。

米国債利回りは29日、FRBが早期に量的金融緩和を縮小するとの観測を背景に1年1カ月ぶりの高水準に上昇した。無リスク資産である国債の利回りが上昇すれば、保守的な運用姿勢の投資家にとって株式の魅力は低下する。

実際に景気が下期に改善し、FRBが資産購入プログラムを縮小するとの観測が強まるか、あるいは実際にFRBが縮小に踏み切れば、高配当株からの資金移動は加速する可能性がある。

ただ株式全体として見れば、長期的には力強く上昇するかもしれない。UBSファイナンシャル・サービシズのシニア・ポートフォリオマネジャー、ブラッド・リプシグ氏は「仮に景気循環株へのローテーションが景気回復の前兆であるなら、ローテーションは続くはずだ。景気が軟化するのなら、動きが反転するだろう」と指摘。「ただ『株式以外の金融商品』から株式へと回帰する、ゆっくりとした険しいローテーションは何十年も続くはずだ」と話した。

(Chuck Mikolajczak記者)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below