June 5, 2013 / 11:22 AM / 7 years ago

今後10年の平均で名目3%・実質2%成長目指す=成長戦略素案

[東京 5日 ロイター] - 政府は5日夕、産業競争力会議を開き、甘利明経済再生担当相が成長戦略の素案を提示した。素案では、今回の成長戦略を含む三本の矢の実施で、中長期的に2%以上の労働生産性の向上を実現する活力ある経済を実現するとし、今後10年間の平均で名目成長率3%程度、実質成長率2%程度の成長を実現することを目指すと明記。

6月5日、政府は産業競争力会議を開き、甘利経済再生担当相が成長戦略の素案を提示した。写真は2010年4月、都内で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

その下で10年後には1人当たり名目国民総所得(GNI)が150万円以上拡大することが期待されるとした。

このほか、成長への道筋を示す具体的な施策として、3年間でリーマン・ショック前の年間70兆円の民間投資を回復するとしたほか、公的資金について、運用、リスク管理体制などのガバナンス、株式への長期投資におけるリターン向上のための方策などについて有識者会議で検討し、秋までに結論を得るとした。また、新事業を創出するため、開業率が廃業率を上回る状態にし、米国・英国レベルの開・廃業率10%台(現状約5%)を目指すとした。

また、健康長寿産業を創るとし、健康予防・生活支援関連産業の市場規模を2020年に9兆円(現状2兆円)に拡大するほか、医療品、医薬機器、再生医療の医療関連産業の市場規模を2020年に12兆円(現状9兆円)に拡大する。

農林水産業に関しては、2020年に6次産業の市場規模を10兆円(現状1兆円)とし、農林水産物・食品の輸出額を1兆円にする。また農業・農村全体の所得を倍増させるとした。

エネルギー産業では、2020年に約26兆円(現状8兆円)の内外のエネルギー関連市場を獲得する。

経済連携では、2018年までに貿易のFTA(自由貿易協定)比率70%(現状19%)を目指すとし、2020年までに中堅・中小企業の輸出額の2010年比2倍を目指す。

さらに2020年に30兆円(現状10兆円)のインフラ輸出を実現するとしたほか、海外の医療技術・サービス市場の1兆円を獲得するとした。

雇用に関しては成熟分野から成長分野に労働移動を進めるとし、今後5年間で失業期間6カ月以上の人を2割減少させ、一般労働者の転職入職率9%を目指す。

素案では、今回の成長戦略は何を目指すのかを明示し、必要なステップ(法改正や予算・税制措置など)をいつまでに終わらせるかを工程表という形で可能な限り明らかにした点で、従来の成長戦略と違うと指摘。早期に実現するものについては8月末までに詳細を明らかにし、準備が整い次第、実行に移すとしている。

さらに、大きな政策群ごとに達成すべき「成果目標」(KPI)を示し、成果目標レビューを行う。

GNI目標に関連しては、拡大が必ずしも個人の賃金上昇に直結しないが、終了後会見した甘利経済再生相は「(個人に)より多く跳ね返ってくるように、企業には、労働分配にしっかり目配りをしてほしいとの要請はしている。企業収益が雇用者報酬に跳ね返ることが経済の歯車を回すということを認識してもらうために、今後もしっかり取り組む」と説明。前提となる名目3%成長についても「日本の基礎体力からすると決して高すぎる目標ではない」と語った。

<首相「企業の活力、解き放つ」>

安倍晋三首相は会議の席上、この日昼の講演で指摘した民間投資を喚起して賃金増などにつなげる「成長の好循環」に再び言及。「好循環を回す鍵は規制制度改革。医療、エネルギー、インフラ整備など、規制で民間投資が制約されている世界を大胆に開放する。日本人や日本企業が持つ想像力や突破力を信じ、その活力を解き放つことが安倍内閣の仕事だ」と強調した。

サッカーの日本代表がワールドカップ出場を決めたことにも触れ、「(サッカー代表は)世界のひのき舞台に立つ。私たちも今こそ世界の真ん中で活躍できる、そういう日本を作るために努力していきたい」と述べた。

<民間議員、素案を高評価>

民間議員を務める新浪剛史ローソン(2651.T)社長は会議の終了後、今回の素案について「突っ込んだ内容。ポイントを突いたもの」と高く評価。「80点ぐらいはつけられる。会議では辛口のことを言ってきたが、初めて評価されていいのではないかと発言した」と明らかにした。

みずほFG(8411.T)の佐藤康博社長も「大きなインパクトを世界に与える内容。個別(案件)では、痛みを伴っていないなどと批判があるが、全体をよく見て欲しい。非常に大きな決意と意思が述べられている」と述べた。

この日午後の東京株式市場では、安倍首相が成長戦略の講演を終えた後に日経平均が急落。前日比で500円を超える下げとなった。しかし、民間議員は成長戦略への失望感との見方を否定。「あまりに売るのが早過ぎる。(事前から発表後に売ることが)決まっていたのだろう。これから出てくる具体的な成長戦略には、海外にも期待してもらえる」(新浪社長)、「今のマーケットの乱高下は成長戦略への評価ではない。成長戦略をわかりやすく説明すれば、失望売りが進む事態にはならない」(佐藤社長)と自信を示した。

甘利担当相も会見で「成長戦略をしっかり実行していく過程で、体力がつき、足元のふらつきは収まる」と述べ、株安との連動性を否定した。

(石田仁志、基太村真司 吉川裕子;編集 山川薫)

*会見の内容を追加しました。

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