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焦点:法人税逃れ問題、欧州各国の対応に急速な前進は望めず
June 14, 2013 / 6:18 AM / in 5 years

焦点:法人税逃れ問題、欧州各国の対応に急速な前進は望めず

[ブリュッセル/ロンドン 13日 ロイター] - 欧州各国の首脳は法人税逃れの問題に厳しい姿勢で臨むと発言しているが、彼らは景気が低迷する中で大企業との関係が悪化する事態を恐れて、対応はわずかな前進にとどまる見通しだ。

6月13日、欧州各国の首脳は法人税逃れの問題に厳しい姿勢で臨むと発言しているが、彼らは景気が低迷する中で大企業との関係が悪化する事態を恐れて、対応はわずかな前進にとどまる見通しだ。写真はキャメロン英首相。6日撮影(2013年 ロイター/Neil Hall)

スターバックス(SBUX.O)やアップル(AAPL.O)、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)などの大企業が相次いで既存の法律下で法人税を最小限に抑える手法を使ったことで、キャメロン英首相は、6月17・18日開かれる主要国(G8)首脳会合でこの問題を議題とする方針を示した。経済協力開発機構(OECD)もこの問題に対処する枠組みを来月に打ち出す予定で、20カ国・地域(G20)でも協議されることになる。

議員や当局者は、法人税逃れの問題への対応がゆっくりとしたペースでしか進まないと予想している。ルクセンブルグやアイルランドなどの小国は、外国からの投資を呼び込んでいる低税率の税制を変更することに強く抵抗している一方、英国とドイツは大企業が逃げ出すことを心配しており、欧州内でも意見が割れている。

額面通りに受け取れば、世界的な政治の方向性は明らかだ。OECD租税政策・財務行政センターのディレクター、パスカル・サンアマン氏は今週、英上院で「合法ではあるものの好ましくない慣行がある場合、法律を改正する必要がある」と述べた。

また最近、政治サイドが対応に動くと約束していることは、欧州連合(EU)欧州委員会で長年、この問題を周知させるのに苦労してきたシュメタ委員(税制・関税同盟・会計検査・不正対策担当)にとっては歓迎すべき動きといえる。

シュメタ委員は「わたしは、あらゆる角度から法人税逃れ問題に対処する手法を計画してきた。加盟国はこれに最後まで従う必要がある。これは国家の税制の抜け穴を埋めるほか、税法の悪用防止条項を一段と厳格化し、透明性を向上させ、租税回避地を厳しく取り締まるという話だ」と説明した。

もっともシュメタ委員の取り組みはこれまでのところ限定的な成功にとどまっており、この問題で前進することの難しさが示されている。同委員が打ち出した、免税額を算出する標準手法を含めた「共通連結法人税課税標準(CCCTB)」はほとんど進展が見られない。アイルランドなどはCCCTBが単一のEU税率に結び付く事態を懸念している。

<大きな抵抗>

欧州議会は、法人税逃れ問題対策の公約化には懐疑的であり、ドイツや英国が税制改革に真剣かどうか疑問視している。

欧州議会の経済・金融問題委員会のボウルズ委員長(英自由民主党)は、銀行が義務付けられているように企業が国別に活動の詳細を公表すべきだと考えている。

こうした改革は、欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)や英野党の労働党も支持している。バルニエ委員は、それぞれの国に税金をいくら支払ったかの開示を企業に義務付けることで、企業が体面を気にしてさらに税金を支払うようになると期待している。バルニエ委員は「アップル、グーグル、アマゾンなど最近報道された企業を含む大企業は、税金をいくら、誰に支払ったかの開示を義務付けられるべきだ。これは法人税逃れへの対処で重要な一歩だ」と述べた。

だがボウルズ委員長は「国別に報告を義務付ける取り組みに対しては、大きな抵抗に直面している」と述べ、改革に反対している国としてドイツ、ルクセンブルグ、英国を挙げた。

国際的な合意がなければ、税制が異なる国の間で企業は最も有利な国を選ぶことができる。PwCで税制政策部門を率いるメアリー・モンフライズ氏は「国際的な合意に達することが重要だ。そうでなければ、各国が個別に対応するよう迫られるが、それは好ましい結果とはならないだろう」と述べた。

同氏によると、G8とOECD、G20の会合をにらんで期待が非常に膨らむ中で、実際に生じ得るのは、達成可能度とそのスピードをめぐる相応の失望になるという。

    英政府の法人税逃れ問題への取り組みの決意に疑問が突き付けられたのは、4月に英国とフランス、ドイツの財務相が銀行の透明性向上への取り組みを発表するため、ダブリンで会談した際のことだった。翌朝、さらに深い議論をEU各国の財務相が開始した際、オズボーン財務相は既に会場から姿を消し、代わって副大臣が参加したのだ。

    英政府は、最低6%の実効税率も認めるほか、外国子会社に対する免税措置を提供するなど、法人税を引き下げる方針で、法人税逃れへの対応で税制改革を唱える人々は英国に批判的になっている。

    一方でルクセンブルクは改革の進展を注視している。同国のフリーデン財務相は、公正さの観点から税制の見直しを支持すると表明しながらも、「われわれは世界経済が機能し続けることを確認するとともに、企業が特定の業務をどの国で行うかを選ぶことを認めなければならず、成長を促進するために税金面での競争が必要だ」と主張した。

    同相は「今後起こるのは、漸進的な変化であり、恐らくは既存の諸規則を厳格化して運用する動きだ。大幅な改正が行われるとは思わない」としている。

    G8首脳会合に続いて、来週にはルクセンブルグでEU財務相会合が開かれる。だが法人税逃れ問題は焦点から外れると当局者は予想している。

    ある当局者は「貧しい納税者を犠牲にして多国籍企業が巨額の資金を持ち逃げしている問題は、今回は議題とはならないだろう。各国の大臣は結果を出せる分野に焦点を当てる意向であり、(法人税逃れ問題は)その1つではない」と話した。

    (John O‘Donnell、Huw Jones記者)

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