July 3, 2013 / 7:08 AM / 7 years ago

コラム:弱い円安・株高相場の「復元力」、中国経済が重石に

田巻 一彦

7月3日、ドル/円が100円を回復し、日経平均も1万4000円前後まで戻し、円安/株高相場の復元力に期待が集まっている。ただ、中国経済が重石となっている。都内で2010年5月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 3日 ロイター] - ドル/円が100円を回復し、日経平均.N225も1万4000円前後まで戻し、円安/株高相場の復元力に期待が集まっている。ただ、今後の展開はグローバルなリスクオン取引の広がりにかかっている。中国経済の調整を起点に商品価格や資源国通貨には力強さが見えず、リスクオン相場のエンジンは出力が弱そうだ。当面の円安/株高のテンポはゆっくりにならざるを得ないだろう。

<ドル/円が100円回復>

3日の東京市場では、ドル/円が100.86円と4週間半ぶりの高値を記録した。最近の米経済指標が総じて堅調なため、米連邦準備理事会(FRB)が想定よりも早く資産買い入れ(量的緩和)を縮小するとの観測が強まったという事情が、背景にある。

日経平均も3日に一時、1万4100円台を回復した。この4日間に1000円を超す上昇となり、5月23日以降の下げ局面から再び、上げ相場に転じつつあるとの声が広がっている。

自動車株の動きが典型的だが、日本株には円安に振れると株価は上昇しやすくなる銘柄が多い。ドル/円が100円まで戻り、今年初めのような円安/株高という好循環相場が、7月以降に再来することを期待する見方が増えているようだ。

<一段の円安/株高に不可欠な世界的リスクオン相場>

ただ、円安と株高がここから進むには、グローバルにリスクオン相場となることが不可欠の条件だ。

懸念されていた6月末の中国における理財商品の償還をめぐる混乱が起きず、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和政策の出口戦略発動に対する不安感も、足元では鎮静化する動きを見せている。

リスクオフ相場に傾く大きな要因となる米中の2つの要因が、いったん後退したことで、リスクオン相場が再スタートするのではないかとの思惑が、直近の市場で広がってきている。

<中国GDP、7%割れ予想の声も>

しかし、これから本格的に再開されるであろう「リスクオン相場」のエンジンは、かなり出力が小さいと予想する。

その大きな要因は、中国経済の調整が多くの市場関係者の予想を上回って深刻な規模になる可能性があるためだ。

中国国家統計局が1日に発表した6月製造業購買担当者指数(PMI)は50.1となり、前月の50.8から低下。新規受注サブ指数は50.4となり、5月の51.8から大きく下げた。

3日発表の6月非製造業購買担当者景気指数(PMI)は53.9となり、5月の54.3から低下した。建設分野の活動が減速し、9カ月ぶりの低水準となった。

中国経済ウォッチャーの中には、今年第3四半期ないし第4四半期に中国の国内総生産(GDP)が7%を割り込む可能性が高まっているとの見方が出ている。

<商品価格に下げ圧力、マネーの受け皿機能果たせず>

中国経済の調整規模が大きくなれば、資源価格を中心にコモディティ価格に下げ圧力が強くかかることになる。代表的な指数であるロイター・ジェフリーCRB指数.TRJCRBは、足元で下げ止まったものの昨年7月以来の低水準を脱していない。

これまでのリスクオン相場で、マネーの中心的な受け皿になってきたコモディティ市場に元気が出てこないと、リスクオン相場がプラス方向の回転を加速させることができない。

足元では、エジプト情勢の影響で原油価格が上昇しているものの、資源価格と資源国通貨は6月末まで低迷し、リスクオン相場の中心的な機能を果たしているとはとても言えない状況だった。

<円キャリー取引、盛り上がり欠く可能性>

このように見てくると、これから本格的に始まると予想されるリスクオン相場のエンジンは、出力が過去に比べると相当に弱々しい水準で低迷する可能性が高いのではないか。

コモディティ市場や資源国通貨、資源国の株価が大きく拡大しないとなると、円キャリーで資金を調達しても、持って行く目ぼしい先がなく、円キャリー取引も盛り上がりに欠ける展開になりそうだ。

円キャリー取引が今年の春先のように拡大しないなら、米出口戦略の発動が予想されても、大幅かつハイテンポな円安を望むのは、かなり難しいと予想する。

<株高テンポもスローか>

東京市場では、金融相場から業績相場への転換に期待をかける声が少なくない。だが、これまで見てきたように、日本にとって最大の輸出先である中国経済の調整はかなり大規模かつ長期化の兆しが出ており、中国依存度の高い企業にとって、業績拡大のハードルは相当に高くなるだろう。

また、株高の切り札とも言える円安のテンポも、今年春までのような目を見張るほどの勢いは期待できそうもない。

となると、ここから先は株価も一歩一歩着実に根固めしていくという「亀の歩み」のようなスローテンポで、ジワジワと上値を目指す可能性が高いと予想する。

<心配な真夏のリスクシナリオ>

とはいえ、スローでも円安/株高が進めば、これは「よいシナリオ」であると考える。今はテールリスクであるものの、無視できないのがいくつかのショック襲来だ。

中国における理財商品をめぐる資金の流れには、水面下に隠れたままで実態が判明していない部分が多いと言われている。中国の金融市場で何らかのショックが発生するリスクをやはり意識すべきだろう。

また、米出口戦略に関し、市場の予想よりも早くアナウンスする可能性もやはり否定できない。そのケースでは、資金の流れが逆流してリスクオフ相場に急変することもあるのではないか。

最近は悪材料で注目されることが少なかった欧州では、ポルトガルのポルタス外相が辞任を表明。与党が過半数割れする危機に直面し、国債利回りの上昇を引き起こしている。

ブラックスワンは、だれの目にもとまらないところで羽音を立てていることが多い。今年の夏こそは、ショックシナリオとは無縁でいたいと考えている。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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