September 19, 2013 / 7:10 AM / 6 years ago

コラム:FRBの緩和縮小見送り、判断は正しいが理由は的外れ

ジェームズ・サフト

9月18日、米FRBの緩和縮小見送りは正しいだが、やり方は間違っており、理由も的外れだった可能性が高いと指摘する声も。写真はバーナンキFRB議長(2013年 ロイター/Gary Cameron)

米連邦準備理事会(FRB)は正しいことをしたが、やり方は間違っており、理由も的外れだった可能性が高い。

FRBは18日、過去数カ月の借り入れコストの急激な上昇や予想される予算法案をめぐる協議の難航などを挙げ、月額850億ドルの債券買い入れの継続を発表した。大方にとって意外な結果で、この3カ月間にバーナンキFRB議長の言葉を聞き、信じていたすべての人々にとってかなりの驚きだった。議長は優れた技量を発揮し、債券買い入れ縮小に向けて市場の準備を整えてきたのだ。

FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で「過去数カ月に金融状況の引き締めが見受けられ、継続すれば経済および雇用市場の改善ペースを減速させる可能性がある」と緩和縮小見送りの判断について説明した。

真面目な話、FRBはわれわれに「テーパリング(緩和縮小)」を信じ込ませた挙句、われわれが信じたから緩和縮小を見送ると言ったのだ。いったいどうすればいいというのか。

私はFRBが金融市場のボラティリティを人為的に抑制していると批判する一派に属するが、予想外の行動でボラティリティを高めるよう促す意図はなかった。望んだのは資産にそれ自体の価値を見出させよということだった。

確かにFRBの決定は正しかった。物価安定と最大雇用というFRBの2つの使命に照らすと、そのいずれも目標から遠い。FRBも認めるようにインフレ率は低過ぎるし、エネルギー価格は高下しているが、インフレ率をFRB目標の2%に回復させるほどの需要は見られない。リスクはむしろ逆方向だ。

雇用も金融引き締めを正当化するような状態にはない。議長が失業率は常に最良の指標ではないと述べたのは良い。失業率は、なかなか職が見つからない人や高齢者が計算から抜け落ちることで押し下げられている。議長が労働参加率に言及したのも良いことだが、労働参加率の正常化が前提条件になるならばテーパリングまで相当な時間が掛かるかもしれない。

つまりテーパリングの経済的根拠は、量的緩和のリスクが便益を上回るのではないかという疑念以外に見当たらない。この夏の指標が素晴らしいものではなかったのもしかり、FRBのメッセージを人々が信じたことで住宅ローン金利が上昇し、住宅市場の回復が鈍ったのもしかりだ。

すべてごもっともなのだが、FRBがそもそもテーパリングという考えを持ち出さなければ良かったと思わざるを得ない。

<失敗への保険>

もう1つの大きな問題は、FRBがテーパリングの見送りと迫りくる予算協議を直接結びつけたそのやり方だ。

バーナンキ議長は「政府機関の閉鎖、あるいは債務上限の引き上げができないという状況になれば、金融市場や経済に重大な結果を引き起こすだろう。FRBは経済が軌道に乗り続けるように、あらゆる手を尽くす方針だ。こうした行動が経済の減速を招くのなら、考慮する必要がある」と述べた。

議長の分析は正しいが、他の政府機関が自らの職務を果たせないことに対して保険を掛けるような政策を採るのがFRBの職務あるいは役割なのだろうか。議員や指導者らに対し、難局に対峙せずそのまま進めと許可を与えていることにならないだろうか。

われわれがこの10年間で学んだのは、FRBの政策手段は一握りしかなく、これらの手段は一握りの目的にしか適合しないということだ。私はFRBが橋を掛けたり、税を集めたりできるとも、そうすべきだとも思ないし、政界で生じた問題をFRBが解決できるとも、解決すべきだとも思わない。

では、これから何が起こるのか。

FRBは年末に向けて緩和縮小を実施するかもしれないが、その機会は限られるだろう。10月のFOMCは議長会見が設定されておらず、次のチャンスは12月となるが、これはバーナンキ議長退任の直前となる。

FRBがテーパリングに着手する可能性はあり、予想通りイエレンFRB副議長が後継議長に指名されるなら、それ自体が移行に伴うボラティリティをある程度まで抑えるだろう。

より厳しい質問は経済が順調に展開するかどうかだ。量的緩和は中止するよりも、拡大したり延長する方がずっと容易なことが明らかになりつつある。

[18日 ロイター]

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています--

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