[21日 ロイター] - 全米リアルター協会(NAR)が発表した9月の中古住宅販売戸数は、季節調整済みの年率換算で529万戸と前月から1.9%減少し、価格の伸びは5カ月ぶりの低さとなった。住宅ローン金利の上昇が住宅市場の回復を鈍らせていることを示唆した。
ロイターがまとめた販売戸数のエコノミスト予想は530万戸だった。
8月分も当初発表の548万戸から539万戸に下方修正された。
9月の販売戸数は前年同月比では10.7%増加したものの、増加率は5カ月ぶりの低さにとどまった。
価格中央値は前年同月比11.7%上昇の19万9200ドルと、これも5カ月ぶりの小幅な伸びとなり、住宅市場の回復鈍化を示唆した。
NARは、住宅価格やローン金利が上昇してきたのに対し賃金はほとんど上がっておらず、住宅の値ごろ感が薄れているとし、中古住宅販売は恐らく7月か8月にピークに達したと分析。首席エコノミストのローレンス・ユン氏は「今後も住宅ローンの上昇が見込まれ、値ごろ感は向こう数カ月間に一段と薄れるだろう」と指摘した。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「住宅市場の回復はやや失速しているが、このところ経済全体が若干減速したことを踏まえれば意外ではない」としたうえで、「住宅市場は年内、やや不安定な状況となる可能性がある」との見方を示した。
住宅市場をめぐっては、8月の住宅販売保留指数が3カ月連続で減少し、10月の建設業者指数も2カ月連続で低下するなど、ローン金利の上昇が回復の重しとなっていることを示す指標がこのほかにも出ている。
米連邦準備理事会(FRB)が年内に債券買い入れの縮小に着手するとの観測を背景に、住宅ローン金利は5月以降、急速に上昇し、30年物ローンの固定金利は1%ポイント上昇した。
*内容を追加しました。
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