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ブログ:トヨタ社長、タクシーへの想い
2013年11月19日 / 03:57 / 4年後

ブログ:トヨタ社長、タクシーへの想い

杉山 健太郎

写真は2008年、川崎で客を待つタクシーの列(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

今週開幕する東京モーターショーに、トヨタ自動車(7203.T)はタクシーのコンセプトモデルを出展する。題して「JPN TAXI Concept(ジャパンタクシーコンセプト)」。タクシー専用車がモーターショーに出展される例をあまり聞かないが、豊田章男社長の想いがそうさせたのではないかと、私はひそかに思っている。

豊田社長とタクシーの関係を紹介する前に、少しトヨタの乗用車の歴史について触れておきたい。

トヨタの乗用車生産は、1936年の「トヨダAA型乗用車」までさかのぼる。世の中は、二・二六事件や阿部定事件などが起き、世界ではベルリンオリンピックで初めての聖火リレーが行われたころだ。

当時の日本は自動車普及率が低く、乗用車ユーザーも、タクシーやハイヤーの業者がメーン。今でこそトヨタは日本のタクシー市場で7割のシェアを獲得しているが、そのころは、米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)やフォード・モーター(F.N)の車が広く用いられていた。

そんな中、純国産車の量産を目指したのが、日産自動車(7201.T)の鮎川義介やトヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎らだった。喜一郎は、1935年にトラックの「G1型トラック」を完成。翌36年に初の量産乗用車となる「トヨダAA型乗用車」を発表した。

「AA型」は累計1400台あまり生産され、タクシーなどに使われた。トヨタの自動車の歴史は「タクシーとともに歩んできたと言っても過言ではない」(ジャパンタクシーコンセプトを手がけた製品企画本部の粥川宏氏)ほど、タクシーと深い関係にあるのだ。

さて、豊田社長とタクシーの関係に話を戻したい。豊田社長は、あるインタビューで、小学生の頃の夢がタクシーの運転手だったことを明かしている。「タクシードライバーは人を運ぶ。でもそこには物語があり、それを運んでいるのだと思う」──。なかなかロマンチックである。

豊田少年は、タクシーの運転手にこそならなかったが、のちに国際C級ライセンスを取得。レースや試乗などで自らハンドルを握り、トヨタが世の中に出す車の「味付け」をしている。トヨタがプロのドライバーが乗るタクシーによって、車の信頼性や耐久性に磨きをかけてきた歴史があるとするなら、豊田社長は、今、サーキット場でかつてのタクシードライバーの役割を果たしている。

エピソードをもう一つ。2010年の第1回「トヨタアワード」だ。「もっといいクルマづくり」にこだわる風土の醸成を目指して創設された社内表彰制度だが、豊田社長は、数あるモデルの中から、社長賞にあたる「モリゾウ賞」に「クラウンコンフォート/コンフォート」を選んだ。

コンフォートはタクシーや教習車として使われているロングセラー。タクシーに乗らない人でも、1度は見かけたことがあるはずだ。豊田社長は、このモリゾウ賞に際して、こんな言葉を社内報に寄せている。

「長年酷使しても壊れないという、トヨタの品質や耐久性、信頼性を高めてきたシンボル的な商品。華々しい注目は浴びないが、社会にとってなくてはならない存在。そんな名脇役だからこそ、最初のモリゾウ賞を贈りたい」。

豊田社長のタクシーに対する特別な想いが伝わる言葉でもある。今回の「ジャパンタクシーコンセプト」について、どんな想いでモーターショーへの出展を決めたのか。機会があったら豊田社長に聞いてみたい。

(東京 19日 ロイター)

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