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インタビュー:自動車の売上高比率、3割に増加へ=ローム社長

[京都市 20日 ロイター] -ローム6963.Tの澤村諭社長は20日、ロイターとのインタビューで、2013年3月期に24.5%だった自動車向けの売上高構成比率が今後「毎年2ポイントぐらいの(ペースで)増加する」見通しを明らかにした。2017年3月期までに3割に達する見込みという。

12月20日、ロームの澤村諭社長は、2013年3月期に24.5%だった自動車向けの売上高構成比率が今後毎年2ポイントぐらいのペースで増加する見通しを明らかにした。都内で2010年4月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

同社は安定的な需要が見込める自動車向けを強化するとともに、海外メーカーとの取引を拡大。日系企業への依存度を抑え、早期に営業利益率を2ケタの水準に回復させる方針だ。

<海外顧客への営業強化>

かつて営業利益率30%以上の高い収益性を誇ったロームは近年、東日本大震災やタイの洪水などの影響を受け、業績が大幅に悪化。円高のあおりを受けた国内メーカーへの高い販売比率も仇となり、2013年3月期には上場以来初の営業赤字、2期連続の当期純損失を計上した。

「奈落の底に落ちた」と澤村社長が振り返る前期、ロームは創業以来、初めてとなる希望退職を実施。今年6月には茨城工場を閉鎖した。一連の構造改革の効果や需要の回復などで、14年3月期は業績回復を見込むものの、営業利益率は5.9%にとどまる見通しだ。

澤村社長は利益率の回復には「日系の民生(機器メーカー)依存体質から車載、産業機器分野にシフト」することに加え、「海外メーカーの構成比のアップ」が不可欠だと指摘する。

特に車載分野では、得意とする電源ICなどをはじめ、様々な部品の採用が広がるとみる。澤村社長は同分野において「欧州の営業人員を増強する」ことなどを通じ、海外の自動車関連メーカーとの取引を拡大させる方針。

同社の日系メーカー向けの売上高比率は6割強。海外メーカー向け売上高比率は約37%だが、3年内にこれを40%程度に引き上げる方針だ。米インテルINTC.Oなどがロームの部品を顧客に推奨するといった協業の枠組みも生かし、海外売上高比率を高める戦略。自社の競争力を強化する上でのM&Aも「選択肢としてある」という。

<中国スマホ向け堅調>

ロームは、国内企業との取引関係を密にしてきた分、海外メーカーが先行するスマートフォン(スマホ)やタブレット市場には「乗り遅れた」過去がある。ただ足元では中国のスマホ大手向けの「部品需要が旺盛に推移している」という。

澤村社長は、スマホ・タブレット市場は、伸び率が鈍化したとしても拡大する傾向には変わりないとした上で、得意とするセンサー部品や超小型部品で同市場での拡販を狙う考えを示した。

着脱が可能なウェアラブル端末についてもスマホ同様「超小型、省エネ部品が求められる」と指摘。同端末とスマホなどをつなぐ近距離通信用の部品などでも需要が見込めるとした。

長田善行

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