[東京 25日 ロイター] -セブン&アイ・ホールディングス3382.Tの村田紀敏社長は25日の会見で、ネットとリアル店舗を融合する「オムニチャネル」が経営の最重要課題としたうえで、今後5年かけて、1000億円程度の投資を行う考えを示した。
1000億円の内訳については「概算。ただ、1000億円を投資するくらいの腹積もりでやななければ難しい、覚悟の金額」と述べた。14年2月までは、スタート段階として、グループ内で理念を共有するという。
オムニチャネル構築に向けて、村田社長は「過去の経験をいったん捨てて、新しい時代を仮定し、消費者がどのようなものを求めるか想像することが大事。これまではモノを売ることを中心に考えていたが、買った後の行動まで想像して手を差し伸べる時代になる」とし、新たな消費の時代に入るとの認識を示した。
同社は25日、雑貨店「フランフラン」を運営するバルス(東京都渋谷区)との資本・業務提携を発表した。バルスが発行する第3者割当増資を引き受け30%を保有するほか、バルスの親会社であるバルスインターナショナルの株式26.67%を三菱商事8058.Tから取得。所有割合は間接保有を含めて48.67%となる。取得時期は2014年1月で、取得価格は約50億円。
村田社長は「ファッション性は、我々の弱いところかもしれない。デザインがバリューになる時代」とし、バルスが持つデザイン力、商品開発力に大きな期待を寄せている。今後、セブン&アイ傘下の百貨店やショッピングセンターへの出店や商品の共同開発などを進める。約1万6000店ある「セブンイレブン」の店内に、共同開発した雑貨のコーナーを作ることなども想定している。また、バルスの商品の流通にセブン&アイのネットワークを活用するなどの協力も行う。
バルスは「フランフラン」を中心に国内で152店舗を展開。海外には10店舗あるが、高島郁夫バルス社長は「第一段階は国内の掘り起し。ゆくゆくは海外でのシナジーも十分にあると思う」とした。
セブン&アイは、12月に入り、通販のニッセンホールディングス8248.T、バーニーズジャパンなどへの出資を発表。村田社長は「我々のM&Aに対する考え方は、戦略は共有・ブランドは独立」とし、こうした考え方の下でオムニチャネル構築に参加できる企業はあるとし、今後も、こうした提携などが広がる可能性を示唆した。
清水律子
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