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アングル:中国の大気汚染対策、「しわ寄せ」は上海に
2014年1月4日 / 03:52 / 4年後

アングル:中国の大気汚染対策、「しわ寄せ」は上海に

[北京 3日 ロイター] -中国政府による北京周辺での大気汚染対策に伴い、同国の鉄鋼生産の中心地である河北省では製鉄所の閉鎖が加速している。しかし一方で、上海の周辺地域では鉄鋼生産が拡大しており、上海が政府の環境対策の「しわ寄せ」を受ける可能性が懸念されている。

1月3日、中国政府による北京周辺での大気汚染対策に伴って河北省では製鉄所の閉鎖が加速しているが、上海の周辺地域では鉄鋼生産が拡大している。写真は上海上空を覆うスモッグ。昨年12月撮影(2014年 ロイター/Aly Song)

北京と隣接する河北省での環境規制の厳格化は、上海周辺の製鉄所だけでなく、セメント工場やガラス製造工場にとっても新たな成長機会となっている。

北京や河北省の都市では過去一カ月間の大気汚染は比較的改善したが、上海や東部沿岸部では汚染を示す指数が過去最悪を記録している。

上海でも昨年に鉄鋼生産量は10%以上削減されたが、隣接する江蘇省などでは小規模の製鉄所が生産を拡大している。国家統計局によると、2013年末時点の鉄鋼生産量は河北省では大幅に減少した一方、上海に近い江蘇、安徽、浙江の各省では拡大した。

マッコーリー・グループのアナリスト、グレアム・トレイン氏は「河北省で公害が減っても、今度は上海で増える。明らかなのは、中国の鉄鋼生産量は非常に多いということだ」と述べた。

環境問題の専門家らは、北京など中国北部の主要都市での大気汚染対策は、製鉄所やセメント工場、火力発電などの移転を意味するに過ぎないと指摘。移転先として有力なのは比較的経済発展が遅い内陸部で、上海に近い地域も含まれるという。

過去には、中国で最も汚染度の高い都市の一部は河北省にあり、省都である石家荘市では2013年の初め、大気汚染が悪化しすぎて指数が数値化できないこともあった。

<新たな総合計画>

中国政府は大気汚染問題の解決に向けた新たな総合計画を9月に発表。エネルギー消費に占める石炭の割合を減らし、原子力や天然ガスの利用を増やすとともに、汚染を引き起こしている老朽化した製鉄所やセメント工場、アルミ精錬所を閉鎖するなど幅広い対策を示した。

河北省も2020年までに粗鋼の生産量を8600万トン削減する方針を明らかにしている。これは昨年の生産量の約4割に相当する。

一方、河北省に次いで鉄鋼生産能力が最も高い江蘇省では、2012年の生産量は前年比8%増の7420万トンに上り、国内全体の10.35%を占めた。

<セメントなども生産拡大>

河北省では11月のセメント生産量が前月から20%減少。2013年1─11月では前年比1.82%減となった。一方、江蘇省では11月の生産が前月から8.3%増加し、1─11月では前年比8%増となった。

このほか、江蘇省と浙江省を含む長江デルタ地域での製造活動が、上海の大気汚染を悪化させる可能性も懸念されている。浙江、江蘇、安徽の各省では、2013年1─11月の銅・アルミニウム製品の生産量が2桁台の増加を示した。

中国政府系調査会社「安泰科」のアナリスト、FengJuncong氏は「需要拡大や堅調な経済を受け、銅・アルミニウム製品の生産は伸びている」と指摘。その上で「製造活動や製錬能力の拡大が、上海のスモッグ悪化の一因となっている可能性もある」と述べた。

(David Stanway記者、翻訳:本田ももこ、編集:宮井伸明)

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