January 22, 2014 / 5:07 AM / 6 years ago

焦点:ダボス会議は多くの課題に直面、米金融政策や日本の改革など

[ダボス(スイス) 21日 ロイター] -22日から始まる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)には、米国のルー財務長官や日本の安倍晋三首相、黒田東彦日銀総裁、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のカーニー総裁、欧州連合(EU)欧州委員会のバローゾ委員長といった面々に加えて、中国から「上級指導者」も出席が予想される。

1月21日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が22日から始まるが、米金融政策や日本の改革など多くの課題に直面している。スイスのダボスで撮影(2014年 ロイター/Denis Balibouse)

彼らを取り巻く環境を一見したところでは、過去最低水準の低金利と潤沢な流動性、成長加速という組み合わせによって世界経済の回復は持続するはずだ。

世界最大規模の米経済の先行きも明るさを増し、米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和縮小に着手。昨年は混乱をきたした金融市場だったが、投資家は今では緩和縮小への備えは万全であるかに思われる。

だがFRBの緩和縮小は、過去に例のない規模の紙幣増刷局面から抜け出すという大冒険であることに変わりはない。政策運営面で判断を誤れば、世界経済全体の復活を脅かしかねない。

もっともこれは各国の政策担当者が向き合っている政策上のジレンマの1つにすぎない。全般的なリスク要因としては米国の経済成長の想定比での鈍さや、欧州のデフレ、日本における構造改革の欠如、中国の不良債権問題などが挙げられ、ほかにも出てくるのは間違いない。

ドイツ銀行のエコノミスト、マイケル・スペンサー氏は「FRBは金融正常化を通じて信用バブルの発生を避けようとしているのに対して、中国は金融改革を実行して信用バブルに終止符を打つ努力をしている。いずれも持続的な経済成長に脅威となり得る」と指摘した。

今年を見渡すと、政策課題に関しては日本と中国の方が大きいとはいえ、リスクが高いのは米国と欧州かもしれない。

投資家は欧米経済について多くの良いニュースを既に織り込んでおり、欧州株は先週5年半ぶりの高値になった。つまり実際の成長率が予想に届かなければ、市場が衝撃を受けて世界経済の回復軌道を揺るがせてしまう恐れがある。

パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のシニア・ポートフォリオマネジャー、アンドルー・ボサムワース氏は「相場調整のきっかけとなる可能性があるのは、経済成長が市場が織り込んだよりも弱いと判明することだ。株式でみると市場はかなりバラ色の経済環境を前提に動いてきた」と述べた。

<デフレは鬼>

欧米の政策担当者にとっては、物価が想定通りの展開になっていない局面で政策への期待感をうまく保たせることが課題といえる。

FRBの一部当局者は、物価上昇力が弱いのは米経済の回復が見た目ほど確固とした状態ではないという意味では、と懸念している。成長と雇用創出はインフレを伴うはずだからだ。

こうした不確実性を踏まえると、FRBとしては量的緩和の終了が近づいても利上げはなおずっと先だということを、消極姿勢の消費者に納得してもらう必要がある。

SGHマクロ・アドバイザーズのサッサン・ガラマニ最高経営責任者(CEO)は「FRBが次に取り組むべき問題は、テーパリング(緩和縮小)ではなく、金利とガイダンスに関するものだ」と話す。

もしFRBが市場のコントロールに失敗すれば、市場金利の上昇が急速になり過ぎて、米国とその他の地域の回復を阻害しかねない。そうなると米国のファンドが高利回りに魅せられて本国に回帰するため、新興国から資金が流出するだろう。

米国では物価上昇の弱さが悩みかもしれないが、欧州では実際に物価が下がり始める可能性もある。

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は先週、「インフレが魔物だとすれば、デフレは断固闘うべき鬼だ」と発言している。

一方、ECBのドラギ総裁は昨年ダボスで、物価下落が長期化するデフレと、競争力向上のために一部の国で進行している必要な価格調整を区別する姿勢を示した。

しかしPIMCOのボサムワース氏は「これらの国で求められている対内的な価格調整がデフレに変化するというのがリスクだ」と主張した。

ユーロ圏の物価上昇率は0.8%とECBが目標とする2%弱よりもずっと低い。ギリシャでは約マイナス2%で推移している。

またイタリアの場合、現在の物価上昇率は0.7%だが、もし政府が膨れ続けて国内総生産(GDP)の130%に上っている公的債務の抑制に真剣に取り組めば、物価上昇も成長も消えてなくなり、債務返済が一段と難しくなりかねない。

ボサムワース氏は「われわれはデフレリスクだけに目を向けることはできない。その背後には債務の持続性という問題が連なっている」と警告する。

<アベノミクスは約束果たす時>

日本の政策担当者はデフレとの闘いである程度の成果を収め、財政出動と金融緩和、経済改革を合体させた「アベノミクス」のおかげで2013年前半の成長率は先進7か国(G7)で最高に達した。

それでもアジア以外の一部政策担当者は、アベノミクスについて、特に長期的な潜在成長率引き上げを狙った改革の進展が遅れている点から、リスクの高い政策の組み合わせとみなしている。

ロイターが先週実施したエコノミスト調査では、日本企業は今年大幅な賃上げに踏み切りそうになく、物価上昇率は日銀の目標である2%よりずっと低い伸びにとどまる、というのがコンセンサスだった。

安倍首相が期待する持続的な成長に不可欠だとみられているのは、企業が増益分を賃金に上乗せする動きだが、いくつかの目を引くケースを例外として企業側は慎重な姿勢だ。

日本の高齢化や人口減少や膨大な公的債務への対応についても、安倍首相はまだ約束した長期的な改革を打ち出していない。

ただ日本は他の地域と異なり、米国の緩和縮小からの悪影響は免れる。それどころか輸出業者は米金利上昇に伴うドル高の恩恵を受けるだろう。

SGHのガラマニ氏は「日本の金利市場は米金利市場に追随していないので、日本企業は米金利上昇で打撃を受けないが、ドル高はプラスに働く。つまり米国の影響という点ではかなりの良いとこ取りになる」と説明する。

恐らく日本よりもっと重要なのは、中国が経済を崩壊させずに過剰な与信を取り除くことができるかだろう。

中国の金融政策が急激に引き締められている兆しは乏しいものの、ここ数カ月の短期金利と国債利回りの上昇は、人民銀行(中央銀行)が過剰債務を減らそうとする決意を物語っている。

ベレンベルク銀行のエコノミスト、ロバート・ウッド氏は「もう何年もの間、中国では金融危機が差し迫っているとのうわさが出回ってきた。しかし中国はこれらの問題に対処可能だ。政府は成長が持続的で政治的に危険な大量失業を引き起こさない限り、GDP成長率の低下を受け入れる構えであるように思われる」と述べた。

(Paul Carrel記者)

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