January 31, 2014 / 8:22 AM / 6 years ago

「フラジャイル」な相場、根深い新興国問題にくすぶる不安

[東京 31日 ロイター] -マーケットが安定感を取り戻せない。新興国問題を嫌気した売りは一服しているが、問題は根深く不安がくすぶるなか、わずかな材料にもすぐに崩れてしまう。

1月31日、マーケットが安定感を取り戻せない。写真は2010年5月、都内の株価ボード(2014年 ロイター/Michael Caronna)

新興国が輸出から消費主導の経済構造に転換するには、相応の時間が必要だ。米国など先進国経済の順調な回復が確認されるまでは「フラジャイル(ぜい弱)」な相場展開が続く可能性がある。

<一筋縄でいかない新興国問題>

「フラジャイル(fragile)5」と呼ばれ、通貨売りを浴びせられている新興国(ブラジル、トルコ、南アフリカ、インド、インドネシア)には共通点がある。経常収支の赤字だ。赤字を埋めるためには、資金が必要。これまでは直接投資と証券投資により資金が海外から入ってきており、赤字返済に充てることができたが、ここにきて証券投資が減少。今後もファイナンスできるかという懸念が通貨売りにつながっている。

証券投資が減少しているのは、新興国に対する成長期待が低下しているためだ。成長期待が低下しているのは、やはり中国経済減速への不安だという。シャドーバンキング対策にみられるように中国が構造改革に本格的に取り組み始めたが、構造改革には時間がかかる。しばらく中国の成長率は低くならざるをえず、新興国経済もスピードダウンするとの見方が広がっている。

1997年のアジア通貨危機当時より、新興国の経済体制は変動相場制の採用や自国の資本市場の整備などでしっかりしてきている。外貨準備も新興国全体では増えている。一方で、中国の存在感はグローバル経済の中で格段に大きくなっており、中国経済の減速が新興国経済を圧迫するとの懸念が強い。

さらに先進国の経常収支改善が、新興国の経常赤字拡大につながっているという皮肉な面もある。11月のユーロ圏の経常収支は235億ユーロの黒字と過去最大。米国はまだ経常赤字だが、第3・四半期は948億ドルと4年ぶりの小ささだ。

先進国経済が順調に拡大すれば、新興国にとっては輸入も回復し、メリットが及ぶ。だが、下振れした12月米雇用統計や中国指標で、世界経済の「パイ」拡大に対する投資家の自信が揺らいでいる。

「リーマンショック以降、先進国は大幅な経常赤字を受け入れる余裕がなくなり、緊縮財政で内需を押さえ、金融緩和で通貨安を促し輸出を促進させてきた。その半面で一部の新興国は経常収支が悪化。今回の問題につながっている」と、T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏は話す。

解決策の一つは新興国が構造改革を実施し、効率的で持続性のある経済体制を構築することだ。具体的には独占・寡占企業をつぶし、規制緩和を実施、内需を振興させることだが、既得権益の抵抗を押し切って改革を進めるのは容易ではない。

また、内需が増えすぎれば、経常赤字を拡大させてしまう。新興国の問題解決は一筋縄ではいかず、先行きを不透明にさせている。

<日本の問題にオーバーラップ>

31日の日経平均.N225は続落。前場は買い戻しが入り反発して始まったが、後場は特段の材料がないまま、一時200円安まで下げ幅を広げるぜい弱な展開。米株が反発し、ドル/円も102円台後半とやや円安方向に振れているにもかかわらず、買い戻しの勢いは鈍かった。不安はやはり新興国問題にあるという。

「新興国問題を懸念した売りは一服しているが、状況が改善したわけではなく、不安がくすぶる。リスクオフによる円買いが警戒され、企業業績も足元の改善だけでは買いが入りにくくなっている」と楽天経済研究所シニア・マーケットアナリストの土信田雅之氏は指摘する。本格化する企業決算では好業績も多いものの、外部要因に左右される展開だ。

とはいえ、新興国が抱える問題は日本の構造問題にもオーバーラップする。新興国が景気減速にもかかわらず、高いインフレに苦しめられているのは、これまでの金融緩和と財政拡大のツケが回ってきているからだ。

一方、日本も2014年度予算案は過去最大規模、金融緩和は「異次元」だ。アベノミクスの2本の矢がフル回転し、経済を押し上げているが、肝心の第3の矢・成長戦略には、まだ市場の評価が得られていない。

「アベノミクスの3本の矢のうち、最も重要なのは3本目の矢だ」(フィデリティ投信グローバル株式チーフ・インベストメント・オフィサーのドミニク・ロッシ氏)。2本の矢で時間を稼いでいるうちに、構造改革や成長戦略を進めておかないと、いつ日本も新興国のような問題に襲われないとも限らない。

消費主導の経済への転換も1986年に提示された「前川リポート」以来、一向に進まない。アベノミクスでやや緩んだとはいえ、将来や年金など社会保障への不安から消費者はお金を貯め込んだままだ。同様に企業が抱えるキャッシュは200兆円を超える。昨年の貿易収支は過去最大の赤字となり、10─11月は経常収支も赤字化した。

新興国問題が一巡すれば、日本株は再び上昇基調に戻るとの見方は多いが、「消費増税のショックを乗り切れるかはまだわからない」(三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの濱崎優氏)と慎重な声も少なくない。

伊賀大記 編集:田巻一彦

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