February 7, 2014 / 6:42 AM / 4 years ago

焦点:苦境の新興国市場、米中の板挟みで行方混沌

[ロンドン 5日 ロイター] -苦境に陥っている新興国市場は現在、思うように身動きが取れなくなっている。より正確に言うなら、世界の2大経済大国である米国と中国の間で板挟みになっている。

2013年の大半にわたって投資家は 米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和措置が縮小されるに従い、インドやロシア、トルコ、南アフリカの通貨や株式市場は暗礁に乗り上げると話していた。米量的緩和縮小が始まり、米国債利回り上昇と米ドル高を通じて世界の流動性が引き締まれば、緩和マネーの流入で押し上げられていた新興国市場は、資金の逆流に苦しむというものだ。

そして、それは現実のものとなった。緩和マネー流入によるバブル化の側面が強かった新興国市場の多くは、FRBによるテーパリング(量的緩和縮小)着手で2014年が幕を開けると、実際に大きく揺れた。

ただ、今年に入ってからの新興国市場からの一斉の資金逃避には、奇妙な部分もある。1月にはトルコリラやアルゼンチンペソ、ロシアルーブル、南アランドはいずれも急落したが、同時に米国債利回りも年初来で約0.5%ポイント低下したのだ。

FRBが債券買い入れ規模を縮小し、外国中銀の市場性証券類保有高が1月29日までの1週間で約200億ドル減少したことを考えると、米国債価格の上昇はいっそう注目に値する。

この時点で、テーパリングと新興国市場急落の因果関係は少し怪しくなってくる。

1月のテーパリング開始が、新興国や先進国の株式市場にこれほどの乱高下をもたらしたのだろうか。

もし金相場とスイスフランが同時に上昇したり、米株式投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(VIX指数).VIXが急上昇するなら、それは理にかなっていると言えるだろう。

それとも、新興国の金融ショックと自国通貨防衛のための利上げが、世界中で景気見通しを暗くさせるに十分だと言うのだろうか。

<米中間の板挟み>

そこで、注意は米国から中国に、より適切に言うなら、恐らく中国の「ハードランディング」に向くことになる。

クロスボーダー・キャピタルのマネージングディレクター、マイク・ハウウェル氏は「新興国市場は、FRBのテーパリングよりも『中国版テーパリング』の方をもっと心配すべきだ」と語る。

中国経済減速への懸念は昨年後半にやや後退したが、今年1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は半年ぶり低水準を記録し、サービス部門のPMIも5年ぶり低水準となるなど、足元景気が再び失速していることが示された。

中国統計局が発表する各指標だけでなく、ばら積み船運賃の国際市況を示すバルチック海運指数.BADIも、1月の1カ月間で半分の水準に急落し、中国の需要減退に警告を発している。

今年ここまでの米国債利回りの低下が、新興国市場の自動安定装置的な働きをした可能性がある一方、中国経済への懸念再燃がそれを相殺すべく浮上している。

シティのストラテジスト、デビッド・ルービン氏は「新興国が直面する2つの大きなリスクは逆さまになっている」と指摘。双方の影響のはざまで翻弄されることが世界経済の弱体化につながり、多くの新興国が輸出を通じて苦境から脱するのも一段と難しくなる可能性があるとしている。

同氏は「かつては非常に信頼性があって優れた成長モデルが、流動的になっている」と語る。

この問題は、簡単には解決しそうにない。もし旧正月明けの中国経済で回復が確認されれば、世界的なストレスは弱まり、米緩和縮小の継続で米国債利回りは再び上昇する公算が大きい。そうならなければ、いずれにせよ圧力は強まるだろう。

確かに、長期投資家の間では、新興国をめぐるパニックはほとんど見られない。彼らは、新興国は多くの先進国に比べて潜在成長力が高く、人口動態も財政状態も悪くないため、割安となった株式への投資は長期的には利益をもたらすとの考えを変えていない。

フランクリン・テンプルトンの新興国株式投資の責任者、マーク・モビアス氏は「長期的投資の状況は劇的には変化していない」と語っている。

少なくとも、現在の状況がなぜ1990年代後半とは違い、本格的な公的債務危機や金融システム危機を回避可能かを説明できる十分な理由はある。

しかし、世界的な投資家心理の冷え込みは、資本不足の新興国経済が抱える構造的かつ政治的な欠陥をさらに露呈させるだろう。そして少なくとも、1月だけで昨年1年間を超える純資金流出となった投資信託は、そんなに悠長なことは言っていられないはずだ。

選択肢の1つとなるのは、新興国内でも特に金利に敏感な「フラジャイル5」(トルコ、ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカ)の市場から、全体としては世界経済の成長に敏感な韓国やロシアや中国などの市場に資金を移すことかもしれない。

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