February 17, 2014 / 5:52 AM / 6 years ago

焦点:下振れた10‐12月GDP、今年度政府見通し達成困難に

[東京 17日 ロイター] -2013年10─12月の国内総生産(GDP)が年率1%の低成長にとどまり、市場の予想を大きく下回ったことで、4月の消費税率引き上げを乗り越える「日本経済の体力」に不安が広がっている。

2月17日、2013年10─12月のGDPが年率1%の低成長にとどまり、市場の予想を大きく下回ったことで、4月の消費税率引き上げを乗り越える「日本経済の体力」に不安が広がっている。写真は2012年10月、川崎市で撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

回復をけん引するはずだった民間消費や設備投資が思いのほか伸び悩み、回復が遅れている外需もいまだに浮上の兆しが見えない。頼みの公共投資は大きく減速し、人手不足を背景に5兆円の経済対策がタイムリーに執行できるのか懸念が浮上。政府や日銀の掲げる13年度の成長率見通しが達成困難との指摘が出ているほか、14年度についても下振れの可能性を指摘する声がマーケットで広がっている。

<13年度見通しは達成不能に>

アベノミクスが始まって1年、振り返れば成長率は徐々に尻すぼみになっている。2013年初の1─3月期が年率4.8%増と高成長で始まったものの、最後の10─12月期は1.0増%まで減速してしまった。

「これで政府・日銀が示している13年度成長率見通しの達成は、ほぼ無理だろうし、14年度もゲタが下がってしまい、日銀は成長率見通しを下方修正せざるを得ないのではないか」--。ソシエテジェネラル証券チーフエコノミストの会田卓司氏がそう指摘するように、少なくとも政府の2.6%と日銀の2.7%という13年度成長率見通しは、ほぼ達成不能と見られる。

中でも最も期待されていた個人消費は、所得が増加しても物価上昇で、その勢いが削がれてしまったようだ。雇用者報酬は名目の前年比で1.8%増加し、昨年4四半期で最も高い伸び率となっているが、物価上昇を加味した実質ベースでは、前年比0.7%しか伸びていない。

第一生命経済研究所・主席エコノミストの新家義貴氏は「物価上昇による実質所得の抑制などが重しになったとみられる」と指摘。このため駆け込み需要以外の消費はさほど強まっていないと見ている。

この先1─3月の駆け込み消費も、さほど強まらないとの見方が浮上してきた。SMBCフレンド証・シニアマーケットエコノミストの岩下真理氏は「2月以降の大雪の影響が非耐久財やサービスに出てくれば、駆け込みの強さが打ち消されるかもしれない」として、消費下振れの可能性を指摘する。

<外需下振れで政府目算狂う、新興国や中国に波乱材料>

政府・日銀のシナリオに最も打撃が大きいと見られるのが外需だ。2四半期連続のマイナス寄与となり、いまだ浮上の兆しがうかがえない。内閣府幹部も「当初のシナリオに比べて外需が下振れしている」として、輸出の見立てが狂ったと打ち明ける。

外需の寄与度が回復しなかった背景には、特殊要因も影響している。駆け込み需要で内需が好調だったせいで、輸入が大きく増加。他方で寒波の影響を受けた米国向け自動車輸出が12月に突然停滞し、輸出全体が予想外に落ち込んだ。

とはいえ、輸出自体の回復が予想以上に遅れていることは否めない。円安による輸出数量効果は、海外経済自体の回復の遅れでなかなか現れてこない。

今後は、北米向け輸出の回復と、東南アジア経済の立ち直りがカギとなる。ただ、生産の海外移転や電機産業の競争力低下により、輸出が伸びにくい構造ができ上がり、従来のような円安効果は期待しにくいという点を政策当局も認識している。

加えて日本の輸出の大きな受け皿となってきた新興国経済に様々なリスクが色濃くなってきたことも響いている。

米国の金融緩和縮小に伴う新興国からの資金流出は、足元で小康状態となっているものの、ヘッジファンドなどの投機筋が新興国の株や通貨売りを終了させた兆候はない。

アジア開発銀行研究所の河合正弘所長は「米国の金融緩和縮小は今のペースでいくと年内には終わる。その前にもう一度、ぜい弱な新興国に目が向けられれば、波乱があるかもしれない」と警戒する。

中国も、厄介な問題を抱えている。ここへきて、以前から問題となっている理財商品でデフォルト事例が出始めたが、河合所長は「投資家に損失を発生させないという不透明な破綻手続きが行われているようだ。これがかえってルールなき処理として投資家の疑心暗鬼を誘い、投資資金の流入を鈍らせかねない」と懸念する。

<公共投資実施へ大号令、進捗遅れの焦りも>

こうした民間需要の落ち込みを支えるはずの公共投資にも、不安がよぎる。安倍晋三首相は5兆円の経済対策が4─6月に効果を発揮できるよう指示し、財務省が補正予算における公共工事などの7割を6月末までに実施などと数値目標を設けたのも、実施までに相当な時間がかかることへの焦りの裏返しだ。

10─12月の公共投資は、昨年度の緊急経済対策の残りが遅れて出てきた分だが、すでにその昨年度分はピークアウト。代わって期待される今年度の補正予算で組まれた5兆円の経済対策についても、首相や財務相の号令とは裏腹に、政府内には従来と同様に「ゆっくりとしか実施されない」との声がある。

今年4─6月の公共工事の実施を占う1─3月の請負金額の動向に対し、内閣府幹部は、現場の実態を踏まえれば「1─3月に急に強くなるというのは現実的に考えにくい」との見通しを示している。

<増税除いた基調に注目、問われるアベノミクス効果>

増税前の駆け込み需要などから1─3月の成長率が加速し、4─6月は大幅な減速になることは、政策当局とマーケットともに織り込み済みだ。

「問題は、駆け込みによるアップダウンを除いた基調として、増税後も景気が持ちこたえることができるかどうか」(新家氏)だ。

市場では、その動向を左右する要素として、1)輸出や設備投資といった企業部門が動きだすのか、2)雇用や賃金が増加し個人消費の落ち込みをどの程度に抑制できるのか、3)金融市場が円安・株高トレンドを維持できるか──などを注視している。

2年目を迎えたアベノミクスは、4月以降に正念場を迎えることになるが、その評価がどちらに転ぶのか、今のところはっきりした展望は見えてこない。

中川泉 編集:田巻一彦

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