February 27, 2014 / 3:57 AM / 4 years ago

コラム:ビットコインは「Mt.Goxの死」を活かせるか

Felix Salmon

[26日 ロイター] - 昨年の11月、筆者はビットコインが退屈なものになるのを待っていると書いたが、それは間違いなくまだ先のようだ。東京を拠点とするビットコイン取引所「Mt.Gox(マウント・ゴックス)」の突然の停止により、メディアでは「ビットコインの将来に暗雲」や「マウント・ゴックスの崩壊はビットコインの破滅」などの見出しが躍った。一方、今回の騒動が実際には、ビットコインの成長過程で起こり得る最良な「必然」の1つだという反論も噴出した。

実際のところ、結論を出すには早過ぎる。マウント・ゴックスは、ビットコインの世界で特異な存在だった。ビットコイン創生期から存在し、当初から利用者の間では不満の声が上がっていた。常に運営上の問題を抱え、あまりに不透明な機関だった。もしビットコインが本格的に流通していくとするなら、遅かれ早かれ、マウント・ゴックスの死は確実に必然だった。ただ同時に、マウント・ゴックスは長年にわたり、ビットコインの世界においては「汚れたシャツの中では一番きれい」であり、歴史的にビットコインの取引では大きなシェアを占めていた。それが、機能停止に陥ったときにも大量のビットコインを抱えていた理由の1つだ。

うわさによれば、74万4408ビットコインが「何年も気付かれなかった鍛造性に絡む窃盗」により失われたという。つまり、数億ドルが盗まれたということだが、マウント・ゴックスが億単位の損失に何年も気付かずにいるほど無能だったと信じるのはかなり無理がある。彼らは静かに、自分たちを取引所としてだけでなく、オンライン決済サービスとして売り込んでいた。マウント・ゴックスをオンライン決済サービスとして利用する人の数が、盗まれていたビットコインの数を上回っている限り、サービスは継続できた。しかし、いったん歯車が狂い始めると、マウント・ゴックスが数日で崩壊するのは必然だった。それは本質的には、ねずみ講と変わらない。

ビットコインの歴史では、2011年7月に「マイビットコイン」という決済サービスから7万8739ビットコインが盗まれたのが過去最大の詐欺事件であり、マウント・ゴックスの失敗は、文字通りケタ違いに大きい。昨年10月には、ビットコインを使用して違法薬物などが密売されていたとされるインターネット市場「シルクロード」が摘発され、17万1955ビットコインが消えたが、マウント・ゴックスの崩壊は、それと比べても規模がはるかに大きい。それらを踏まえれば、マウント・ゴックスの終了は、われわれが知っていたビットコインの終了でもあると言って差し支えないだろう。

われわれは今、ビットコイン2.0の世界に足を踏み入れたのだ。それはベンチャーキャピタルの支援を受けた資本力のある企業がつくる世界であり、「信頼と責任」や「包括的な消費者保護」がうたわれる世界だ。もちろん、こうした約束のすべては以前も、マウント・ゴックスさえもしてきた。

実際のところ、コインベースなど次世代ビットコイン業者が、自分たちは先駆者たちに比べてはるかに強固だと言うなら、私は彼らを信用する。しかし、規制当局や一般社会が彼らを信用するとは思っていない。

どんな既存機関も信用できないため、ビットコインは信用できるというパラドックスを心から愛する暗号マニアは少ないながら存在する。

規制当局者は、そうした人たちとは違うと考えていいだろう。また、ビットコインの背景にある数式を理解できない普通の人々や、自分でビットコインの安全を確保する力がない人、そして、それゆえにビットコイン建ての富を貯めておく何らかの機関を信用する必要がある人も、そうした暗号マニアとは違う。

マウント・ゴックスの終わりをビットコインにとって恵みとするためには、ビットコインに新たに足を踏み入れる人たちが必要だ。マウント・ゴックスは一度も信用しなかったが、例えばコインベースなら信用してもいいというような人たちだ。ウィンクルボス兄弟やバリー・シルバート氏、ベン・ホロウィッツ氏などのビットコイン信奉者たちは、マウント・ゴックスの終了を祝福するだろう。そして、今回の騒動をむしろ、ビットコインの成長性と信頼性について一般社会や規制当局を説得する材料として使おうとするだろう。大きな疑問は、彼らを信じる人がいるかどうかだ。今のところ、筆者はそれが起きているという証拠を目にしていない。一般市民の感覚からすれば、マウント・ゴックスはビットコインそのものだった。われわれの大半のように、早い段階でビットコインに手を出さなかった人は今回、あたかも銃弾を逃れたように感じている。そして、前よりは辛うじて安全になったとしても、今ここで交戦地帯に足を踏み入れる特別な思い入れもない。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています

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