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世界株安、ウクライナ懸念受け:識者はこうみる
2014年3月14日 / 03:22 / 4年後

世界株安、ウクライナ懸念受け:識者はこうみる

[東京 14日 ロイター] -東京株式市場で日経平均は大幅続落。12日の393円安を上回り、今年3番目の下げ幅となった。ケリー米国務長官の発言などを巡ってウクライナ情勢に対する警戒感が高まり、海外投資家を中心にリスク回避の動きが広がった。

3月14日、市場ではウクライナ情勢をめぐる懸念が高まり、株などのリスク資産を売る動きが加速している。写真は2009年11月、都内で撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

ドル/円は101円後半でもみあった。正午すぎに日経平均先物が下げ基調を強めると、101.60円まで下落。しかし、日経平均が一時500円を超える下げとなるなかでもドル/円は値を保った。

市場関係者の見方は以下の通り。

●「リーマン前夜」になる不安、金融収縮による円高も

<東海東京証券 チーフエコノミスト 斎藤満氏>

クリミア半島での住民投票をめぐる情勢の緊迫化と、中国が景気減速下にもかかわらず民間債券のデフォルトを許容する姿勢を打ち出したことが、金融市場に混乱をもたらすことへの不安が高まっている。

クリミアの住民投票をめぐり、米国がロシアに対して制裁を発動するような事態に至れば、金融の収縮につながるだろう。

また、経済が悪い中で、中国がシャドーバンキング(影の銀行)の監視強化にとどまらず、デフォルト容認姿勢まで打ち出したこともリスク要因だ。今後、当局が過剰な債務をどのようにハンドリングするのか、不透明感が残る。

金融市場ではこうしたリスク要因がトリガーとなって「リーンマン・ショック前夜」になりかねないとの懸念が広がっており、リスク回避のセンチメントを深めている。

こうした環境の下では、資金が米国に還流し、ドル高・米国債高をもたらす一方で、円も買い戻されやすい。

また、リスク資産圧縮の一環として、日本株売り/円売りヘッジの巻き戻しという円高の経路もある。

4月には日米首脳会談も控えているが、これが新たなリスクファクターとなる可能性があるため、ドル/円では下値リスクに警戒が必要だろう。

●株安/金利低下続けばドル/円は上値重い

<あおぞら銀行 市場商品部 為替マーケットメイク課長 諸我晃氏>

クリミア半島で16日に予定されているロシアへの編入の是非を問う住民投票を控え、その前はドル/円の大きな買い戻しは難しそうだ。前日の海外市場ではドル、円がいずれも買われたが、株がかなり下げて米金利も大きく低下したのでドル/円でも円買いが先行した。米経済指標が悪くないとしても、金利や株の環境が変わらないとドル/円の上値は重くなりそうだ。

ドル/円の向こう3カ月の予想レンジは100―105円程度。現在のリスクオフのポイントとしては、ウクライナだけでなく中国もある。ウクライナ情勢が最悪の事態を避けて小康状態を保つようであれば、リスクを取りやすい環境になるとみている。中国ではシャドーバンキング問題などが懸念されて上海株が軟調な状況が続いている。この問題がソフトランディングすることが確認できてくれば、ファンダメンタルズ的にドル/円は上を目指せるだろう。

最悪のリスクシナリオが現実になれば100円割れの局面も考えざるをえないが、現時点では日本の貿易赤字や米国の景気状況からみて200日移動平均線が控えている100円前半はキープできるとみている。

●短期的には円買い圧力、目先3カ月のドルは98─105円

<上田ハーロー 外貨保証金事業部 次長 森宗一郎氏>

ウクライナ情勢が不透明なため、リスク回避の円買い圧力がかかりやすい。クリミアでロシア編入の是非を問う住民投票が実施されれば、米国と欧州連合(EU)は「重大な措置」を発動させるとしている。短期的にはリスク回避で円買いとなる可能性がある。

向こう3カ月のドル/円は、98─105円のレンジを見込んでいる。ウクライナ情勢がさらに緊迫化したり、中国の景気減速が加速したりした場合は、リスク回避の動きが加速する。ただ、米国は地政学リスクが欧州に比べて低い。米経済指標で寒波の影響がはく落し、景気回復が確認されれば、金利上昇に伴ってドルが買われやすい。ドル買いと円買いが交錯する展開が続きそうだ。

●ウクライナ情勢を懸念した短期的なリスク回避

<野村証券エクイティ・マーケット・ストラテジスト 伊藤高志氏>

ウクライナ情勢を中心に国際的なリスクが高まり、ヘッジファンド等が条件反射的に日本株への売りを出したと考えられる。国際分散投資を行う投資家にとって、日本株は先進国の中で比較的リスクの高い資産とみなされているため、振れ幅が大きくなりやすい。週末でもあり、売りが先行したとみられる。オバマ米大統領とロシアのプーチン大統領が簡単に折り合える状況ではなく、問題は長期化する懸念もある。ただ、VIX指数などを見る限り、海外投資家がパニックになっているわけではない。きょうの株安については、短期的なリスク回避だろう。

一方、日本株の下落は消費税率引き上げという独自要因もある。悪材料を事前に織り込む動きと言えるが、株価が下落して割安感が出てくれば、年金資産などによる買いも入るとみている。日経平均はすでに当面の安値水準に到達したと考えている。今後3カ月の予想レンジは1万4400―1万6000円。

●株安進めば緩和期待高まる、日経1万4000円は維持

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

株安の背景は、前日発表された一連の中国経済指標の下振れと、ウクライナ情勢に対する警戒感の高まりだ。きょうのケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相との会談で、16日のクリミアでの住民投票が延期、ないしは取り止めになるかどうかが注目され、週末にかけて緊張感が強まっている。ただ、住民投票が実施される可能性が高い。

住民投票ではクリミアのロシア編入が承認されるだろう。住民投票後にロシアが軍隊の一部を撤退させるなどの解決の糸口を探るようなスタンスを示せば、きょう、あすにも一触即発との緊張感が後退し、下げ過ぎた株価はいったんリバウンドを試すとみている。

今後、地政学的な問題がどうなっていくか予見しづらいが、基本的にはウクライナ内での分断統治という形になっていくのではないか。緊張固定化となればマーケットのかく乱要因にはならなくなっていくが、問題が解決するわけではなく、懸念はくすぶり続けるだろう。

米ロの会談がうまくいかなかった場合、短期的に緊張が高まる可能性はあるが、日経平均が1万4000円を下回ることはないとみている。前日の米経済指標は好調で、米景気の持ち直しが株価を支えるほか、国内では株安を受けて4月以降の追加緩和期待が否応なく高まっていく。緩和含みで日経平均1万6000円との目線はまだ残っている。

●米株安に乗じて日銀追加緩和を催促

<アムンディ・ジャパン シニアストラテジスト 高野雅永氏>

株式市場では日銀の追加緩和に対する期待がもともと強かったが、前回の黒田東彦総裁の会見を受けて、早期の追加緩和期待がいったんしぼんでいた。そうした中、前日に米株が大幅下落したことから、それに乗じる形で日銀の追加緩和に対する催促が強まったと言えるのではないか。

最近の日本株はボラティリティが高く、外部環境に大きく振らされる傾向にある。例えば中国の指標が発表された場合でも、上海総合指数より日経平均の変動率が高いということがある。きょうの下げの一番の要因は、やはりウクライナ懸念の高まりを背景にした円高ということになるだろう。

本来、ウクライナ問題が金融市場に与える影響は限定的なはずだ。同国のデフォルト懸念はほとんど回避され、仮にデフォルトに陥っても連鎖する範囲は限られている。ただし、クリミアの住民投票をめぐっては、軍事衝突に発展することもあり得るため、緊張はなかなか後退しないだろう。また、ロシアの株・通貨・債券はトリプル安に見舞われる可能性もあり、そうなれば世界的なリスクオフが強まり、影響が波及してくることも考えられる。5月にはウクライナ大統領選挙が予定されており、イベントリスクはなかなか払しょくできない。

日本株の方向性を決めるのは、もはや中央銀行であり、日銀の追加緩和がなければ本格的な上昇は考えにくい。しかし、4月の消費増税以降、仮に1万4000円を割れる水準まで下落することになれば、日銀追加緩和に対する市場のプレッシャーはさらに高まることになるだろう。中長期的なレンジについては、楽観的にみている。

*内容を追加しました。

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