March 17, 2014 / 9:17 AM / 4 years ago

中国減速におびえる日本株、人民元変動幅拡大は円高要因の声

[東京 17日 ロイター] -日本株がズルズルと軟化している。ウクライナ情勢や消費増税の影響が読めないこともあるが、最大の貿易相手国である中国の景気減速懸念も大きな背景だ。

構造改革に伴う「痛み」とはいえ、理財商品や社債のデフォルト(債務不履行)が信用収縮を引き起こすかもしれないと警戒されている。人民元の変動幅が拡大され、元安が進めば中国の輸出を促進する可能性もあるが、短期的な円高要因にもなりかねない。

<最大の貿易相手国・中国のリスク>

週明け17日の日本株市場は見た目以上に内容が悪かった。日経平均.N225は0.35%(49円)安にとどまったが、TOPIX.TOPXは0.84%安。米国で新規株式公開(IPO)を実施する中国の電子商取引会社アリババ・グループの筆頭株主であるソフトバンク(9984.T)が大幅高となり、寄与度の大きい日経平均を押し上げたが、東証1部の値下がり銘柄数は1511と8割を超えた。

東証1部売買代金も1兆8680億円と薄商いが続いている。前週末に500円近く下げたため、ショートカバーが入りプラス圏に浮上する場面もあったが、買いは乏しく、反発力は弱い。

海外勢を中心とした先物売りに押される展開が継続。年度末が近付く国内機関投資家は不透明感が強い中で動けず、個人投資家も売り姿勢でマザーズなど新興株市場は1部市場より軟調だ。

ウクライナ情勢、天候回復後の米経済動向、そして消費増税の影響など日本株をめぐる不透明要因は多く、買い手控えの要因となっているが、中国の景気減速も大きな懸念要因だ。「日本の最大の貿易相手国は中国。中国経済に大きな影響をアジアを含めると輸出は7割以上を占める。中国経済の減速は日本経済に大きな影響を与えるとして、海外勢の日本株の売り要因になっている」(準大手証券ストラテジスト)という。

昨年、輸出先シェアは5年ぶりに米国に抜かれたが、その差は米国18.5%、中国18.1%とわずか。輸入は21.7%と依然トップで、貿易総額ではシェア20%と依然として最大だ。

また、昨年の日本の輸出額は、円ベースでは前年比9.5%増の69兆7877億円と3年ぶりの増加となったが、円安効果が大きく、日本貿易振興機構(JETRO)が貿易統計をドル建て換算したところ、日本の対世界輸出は7193億ドルと前年比10.2%の減少だった。

その中でも中国の寄与度はマイナス1.9%と最大。JETROでは中国の経済構造改革に伴う内需の伸び悩みなどが影響したと分析している。

中国政府の今年の成長率目標は7.5%と、それでも先進国を大きく上回るが、同国が景気減速すれば、消費増税で弱った日本経済の足元を直撃するのは間違いない。

<変動幅拡大、日本には功罪>

中国人民銀行が、人民元の対ドル相場の変動幅を拡大させた点について「足元で進む元安の現状追認であると同時に、元安による輸出拡大を狙っているのではないか」(国内投信ポートフォリオマネージャー)との見方が市場では多い。

2月の輸出が18.1%減と急落したのは、春節や昨年の水増しなど特殊要因によるとの指摘もあるが、市場では「春節は毎年あること。輸出が伸び悩んでいるのは確かだろう。経済が弱ってきたときに輸出拡大で経済を刺激しようとするのは、どの国も同じだ」(大手証券)との声も出ている。

    中国経済が持ち直せば、日本にもプラスだ。中国製品と競合している日本製品は少ないため、人民元安が日本製品の競争力を低下させる影響は小さいとみられている。

    とはいえ、日本にとって元安の進行は円高要因にもなりかねないため、微妙なところだ。韓国ウォンや台湾ドルなどアジア通貨は人民元につれ安しやすい。「成長力の違いから言って長期的には元高・円安」(マネースクウェア・ジャパン市場調査室の山岸永幸氏)との見方は多いが、ウクライナの問題でリスクオフの円買いが再び強まってきている中だけに、短期的な円高材料として使われる可能性がある。

    <信用収縮の懸念>

    こうした景気減速は、現在、中国が進めている構造改革に伴う「痛み」とも言える。あくまで政府の「コントロール」下に置かれた景気減速であり、成長率が政府目標を下回りそうになれば、景気対策を打つとの安心感もある。

    ただ、景気減速がコントロール不可能におちいる可能性もゼロではない。シャドーバンキング(影の銀行)などを締め付ける政策は、信用収縮を起こす可能性があるためだ。個人が資金を回収し始めれば、それを止めるのは容易ではない。

    1─2月の固定資産投資は前年同期比17.9%増となり、増加率が市場予想の19.4%を下回った。2月の新規人民元建て融資は6445億元となり、1月の1兆3000億元から半減した。

    SMBC日興証券・金融経済調査部エコノミストの肖敏捷氏は「銅価格の下落は資金調達のための担保需要というよりも、住宅や設備などマクロ的な需要の鈍化が要因だとみている。固定資産投資や新規融資などが伸び悩み始めており、クレジット・クランチにも警戒が必要だ」と指摘する。

    上野動物園のパンダは「おめでた」とはならず、中国国営中央テレビ(CCTV)が15日に放映した特別番組では、ニコン(7731.T)が欠陥商品を販売し、アフターサービスで中国消費者を公平に取り扱っていないと指摘された。中国からみでポジティブなニュースが少ない中、日本株の上値が重くなっている。

    伊賀大記 編集:田巻一彦

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