March 18, 2014 / 11:13 AM / 4 years ago

焦点:「ブラックホール」入りしたマレーシア機、背後に入念な計画か

[クアラルンプール 17日 ロイター] -マレーシアの首都クアラルンプールから中国の北京に向かう途中、消息を絶ったマレーシア航空(MAS)MASM.KLMH370便。操縦室から、トランスポンダと呼ばれる自動信号送受信機のスイッチを切った人物が誰であろうと、同機を技術的な「ブラックホール」に陥れた。

航空業界の専門家らは、パイロットか、あるいは専門知識を持った乗客とみられるこの人物が、入念な計画をもってレーダーとの交信を絶つ位置と時間を選んだとみている。

マレーシア当局はハイジャックや妨害の疑いがあるとしているが、前代未聞の航空機捜索活動が、赤道を挟んで南北の広大なエリアに拡大されるに至った一連の出来事を理解することが、動機を把握する鍵となるだろう。

マレーシア現地時間3月8日午前1時19分、操縦室にいる人物は、同国の地上管制に対し「了解。おやすみ(all right,good night)」と砕けた表現で話し、異変を示唆する様子は見られなかった。

その2分後、レーダー情報を送信するトランスポンダのスイッチが切断された。専門家はこの動きが、入念な計画を物語っている可能性があると指摘する。

米ボーイング(BA.N)の777型機を含むジェット機の操縦経験を持つアジア系航空会社の機長は「航空機を操縦していた人物が取った行動はいずれも考え抜かれたものとみられる」と語った。

一般的に、航空機を操縦していない方のパイロットが無線通信を行うが、トランスポンダのスイッチを切った人物が副操縦士かどうかは判明していない。

警察は機長と副操縦士の自宅を捜索し、すべての乗客の調査も進めている。

いずれにしても、トランスポンダのスイッチは、マレーシアとベトナムの管制がそれぞれ管轄する空域の間の微妙な位置を飛行中に切断された。

フライト・インターナショナルのエディター、デービッド・レアモント氏は「どちらの管制からも警告が発せられるのを遅らせようとしたことが予想される」と指摘する。

レーダーの専門家、ハンス・ウェーバー氏によると、航空管制はトランスポンダを通じた航空機との交信に二次レーダーを使用するが、一部のシステムでは一次レーダーも併用される。ただ、一次レーダーの信号は二次レーダーの信号よりも弱まるのが速いため、航空機の位置確認が困難だった可能性がある。

同氏は「トランスポンダのスイッチを切ったことは、この人物が高度な訓練を受けていることを示している」と指摘した。

<マニュアルにない操作>

捜査当局によると、8日午前1時07分から37分のある時点に、機体の状態を地上に送信するシステム「エーカーズ(ACARS)」も停止された。

ロイターが取材したパイロットらによると、エーカーズが停止されるのは普通ではないものの、それ自体が必ずしも同機に関する警報とはならず、乗客も異変に気付かなかった可能性があるという。

あるアジア系航空会社の機長は「通信システムは時々途切れるため、地上の職員らは初め、問題にしない可能性がある。何が起きたか探ろうとするまでにはしばらくかかるだろう」との見方を示した。

パイロットの1人は、運航乗務員のマニュアルに通信の遮断方法は載っていないとしており、通信を遮断するのは容易ではなかったとみられる。

    <入念な計画>

    トランスポンダが遮断された後、北東に向かっていたMH370便はマレーシア東側のコタバル沖上空から北西に針路を変え、軍のレーダーではペナン島北西約200マイル(約320キロ)地点で最後に確認された。

    パイロットらは、こうした針路変更の動きでさえ、徐々に行われた場合、すぐには警戒する要因にならなかった可能性があると指摘している。

    ロイターが取材したパイロットの1人は「航空機が向かっている方向を認識していない限り、誰もそうしたことに注意を払っていない」と語った。

    またパイロットらは、監視の行き届いた北側ルートの飛行では軍のレーダーで確認できる民間航空機の航路を進んだ可能性が最も高いとみている。

    軍のレーダーは機体を検知しても、特にそれが民間航空機の通常の飛行ルートを進んでいた場合、危険だと判断することはないだろうという。

    捜査当局は、憶測に影響されることはないとしているものの、業界関係者の間では、マレーシア機の異常事態が、専門的な技術や準備なしに起きたと見る向きはほとんどいない。

    あるベテラン機長はロイターに対し「誰がやったにしろ、この人物は航空機に関する知識が豊富で、入念な計画を立て、一次レーダーに検知されずに切り抜けることと多くの乗客を乗せた航空機の操縦に十分な自信がある強靱な神経の持ち主にちがいない」と語った。

    (Siva Govindasamy記者、Tim Hepher記者、翻訳:佐藤久仁子、編集:伊藤典子)

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