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米雇用統計後の株急落、利益確定の背後に構造変化も
2014年4月7日 / 07:02 / 4年後

米雇用統計後の株急落、利益確定の背後に構造変化も

[東京 7日 ロイター] -3月米雇用統計後の米株安は単なる利益確定売りではない可能性があるとして、市場で警戒する声が出ている。下落率をみると、最近上昇していた銘柄よりも、軟調だった銘柄の下げの方が大きかったためだ。足の速い資金が逃げ出しているとの指摘もある。

4月7日、3月米雇用統計後の米株安は単なる利益確定売りではない可能性があるとして、市場で警戒する声が出ている。写真は都内の株価ボード。1月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

米株がいったんピークを打ったとすれば、米金利も上昇しにくくなる。日本株へのシフトも期待されるが、円安が伴わなければ、日本株の上値は重くならざるを得ない。

<米株はファストマネーの退却か>

3月の米雇用統計はそれほど悪くなかったというのがエコノミストのほぼ一致した見方だ。非農業部門雇用者数は19万2000人と市場予想の20万人をやや下回ったが、1─2月の数値が上方修正されたことで、むしろ寒波の影響は大きくなく、米雇用の改善傾向が続いているとの認識が定着しつつある。

だが、前週4日の米株は急落。雇用統計が発表された直後は買われ、ダウ.DJIとS&P.SPXは一時、最高値を更新したが、買いが一巡すると一気に崩れた。ダウは159ドル安、ナスダック.IXICは2.6%安と、2月以来の大幅な下げを記録した。

米雇用環境が堅調であるにもかかわらず株安が進んだのは、高すぎた市場の期待値に届かなかったことで、利益確定売りが出たため、との見方もある。ダウやS&Pは過去最高値圏にあり、短期的な過熱感があった。欧州株などは全般的にしっかりしており、世界的にリスクオフムードが広がったわけではない。

ただ、4日の米株市場で売られた銘柄をみると、通常の利益確定売りのパターンとは違う傾向が出ていた。単なる利益確定売りであれば、最近、上昇していた銘柄への売りが強まるのが一般的だ。だが、4日の米株市場では直近、上昇していた半導体関連株などよりも、最近軟調だったバイオテクノロジー株やモメンタム銘柄の下落率が高かった。

ナスダック・バイオテクノロジー株指数.NBIは2月につけた最高値から約18%下落していたが、4日の市場ではインデックスを上回る4.1%の下落。最近、軟調だった電気自動車大手テスラ・モーターズ(TSLA.O)や交流サイト(SNS)大手のフェイスブック(FB.O)などモメンタム銘柄(短期的な人気を集める一種の材料株)も一段安となった。バイオ株については「昨年相場を押し上げたファストマネーが抜けてきている」(国内証券米担当者)との声もある。

大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は、「先週末の米株は買いポジションの偏りの反動で大きく下落したとは言い難く、中期的に上昇してきた銘柄の本格的な下落の継続に見える」と指摘。特にテクノロジーグループがピークアウトすると、全体もピークアウトすることが経験的には多いと警戒感を示す。

<上がらない米金利、円安も一服>

S&P500銘柄の4四半期(14年第1―第4・四半期)の予想株価収益率(PER)は15.4倍と歴史的にみて、それほど高いバリュエーションになっているわけではない。しかし、割安感も乏しくなっている。

トムソン・ロイターの調査によると、米S&P500採用企業の2014年第1・四半期決算は前年同期比1.1%の増益になる見通し。第1・四半期の1株利益について改善もしくは市場見通しを上回る予測を公表した企業は18社だが、悪化もしくは市場見通しを下回る予測を示した企業は112社だ。8日のアルコアを皮切りに本格化する米企業決算を確かめたいとのムードが投資家を手控えさせている。

雇用統計を受けて米国債利回りも低下している。こちらは強い米雇用の数字が出ると前のめりに期待していたポジションが巻き戻されたとの見方がもっぱらだが、米10年債利回りは節目の2.8%を今度も超えることができなかったことで、低金利状況がしばらく続くとの予想も増えてきた。

米株がピークアウトし、米金利の上昇が押さえ気味となれば、ドル/円の上値は重くなり、日本株への追い風も弱くなる。米株から日本株へのシフトも期待しにくい。

週明け7日の東京株式市場で、日経平均.N225は250円を超える下げ幅となった。日経平均は3月27日の安値から3日高値まで約937円上昇しており、米株安と円高で利益確定売りが出ている可能性もあるが、東証1部売買代金は1兆6658億円と今年3番目の薄さ。「売りが大量に出ているわけではない。買いが引いている感じだ」(大手証券トレーダー)という。

日銀追加緩和などサプライズがあれば別だが、消費増税の影響が見極められるまでは国内材料にも楽観的になりにくい。米経済は期待通り、順調な回復を示しているほか、日米株ともにバリュエーションはそれほど高くないため、大崩れはなさそうだが、市場が織り込んだ期待感が大きいだけに、日米株やドル/円の上昇は一服する可能性もある。

(伊賀大記 編集:北松克朗)

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