April 10, 2014 / 7:12 AM / 4 years ago

コラム:米株に垣間見える「バブル」の兆候

Rob Cox

[ニューヨーク 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国株の一部、とりわけインターネット企業株がバブルの領域に入ったことを知らせる危険信号は、最近の相場下落を経てもなお驚異的に高いバリュエーションだけではない。

沸騰する新規株式公開(IPO)市場において、内部関係者を利する議決権の薄い株式や企業統治を投資家が喜んで受け入れているという事実は、資本を出す側と使う側のバランスが崩れていることを示唆している。

歪曲化された計算方法に基づく株式時価総額を併せて考えれば、いずれ避けられない逆風が訪れた際、問題を大きくする原因が蓄積されている恐れがある。

最近のような形で公開される株式を最も適格に言い表す言葉は「追従株」だ。

この株式は、ウォール街やシリコンバレー、中国の起業家の後をぞろぞろとついて歩く機会以上のものは与えてくれない。ボックス、グラブハブ(GRUB.N)、モーリス、バーチュ・ファイナンシャル、微博(ウェイボー)(WB.O)、そして恐らくは時価総額1000億ドル超の巨大企業アリババ・グループ・ホールディングスIPO-ALIB.NなどのIPO株を買う投資家は、伝統的に普通株保有者に与えられてきた議決権を返上せねばならない。

これは株式保有におけるパラダイムシフトであり、次の株価下落局面を2000年代初頭のハイテク株バブル崩壊に比べてもさらに厄介なものにしかねない。企業統治上の最も顕著な問題が、複数のクラスに分かれる株式構造だ。中国の新浪(SINA.O)の子会社である微博はニューヨークでクラスA株を公開する。これはIPO後も新浪が保有を続けるB株に比べ、議決権が3分の1にとどまる。

ボックスに比べればそれでも可愛いものだ。ボックスはアーロン・レビー氏が創設したオンライン・ストレージサービス企業で、クラスA株の議決権はB株のわずか10分の1。これではレビー氏とその支援者らは、自らの経済的利益が縮小してかなり経ってから意思決定を下すことが可能になるはずだ。

こうした株主構造はハイテク業界において珍しくない。グーグル(GOOGL.O)は先週、創業者の支配権をさらに盤石なものとする3番目のクラス株を創設したばかり。フェイスブック(FB.O)は2012年のIPOで2種類のクラス株を設け、創業者マーク・ザッカーバーグ氏の影響力を固めた。しかし、こうした考え方は「グレーター・サンフランシスコ」地域を超えてさらに広がっているように見える。金融の黒魔術に精通した専門家2人が、こうした慣行の裾野を広げつつある。

ケン・モーリス氏の名を冠した投資銀行モーリスは2種類の株式を自慢げに導入した。B株には1株当たり10もの議決権が付く。さらには、これらの「超議決権株式」は創業者が97%支配する法人の下に集約されることになる。こうした支配権の取り決めにより、モーリスは上場企業でありながら取締役会の過半数を外部取締役とする必要はないし、報酬および企業統治委員会に外部取締役を入れる義務もない。

バーチュ・ファイナンシャルのIPOはこれをさらに一歩進め、株式を4種類とした。報道によると、マイケル・ルイス氏の著書「フラッシュ・ボーイズ」によって超高速取引が最近大いに話題を集めたことで同社のIPOは延期された。しかし実施されれば創業者ビンセント・ビオラ氏は、新たに投資家向けに公開する株式の10倍の議決権を持つクラスD株により、意のままに支配権を振るえるだろう。

IPOの目論見書によると、支配権には「取締役会の選定、定款および付則の修正、事実上すべての資産の合併もしくは売却の承認」が含まれる。バーチュの監査人が2013年の財務報告の内部統制について「重大な弱点」を指摘したにもかかわらず、こうした複雑な企業構造を通しているのだ。

しかしこうした卑劣な企業統治は二重、ひどい場合には四重の株式構造を持つ企業に限られたことではない。レストラン向けに出前サービスのウェブサイトを運営するグラブハブを例に取ろう。同社株は先週の上場初日に31%も跳ね上がった。

    同社の定款はうるさい株主の影響を遮断するため、うんざりするほど多くの付則が盛り込まれている。敵対的買収の防衛手段である「ポイズン・ピル(毒薬条項)」から、株主が臨時総会を招集する権利を制限する条項、取締役の改選時期をずらす「スタガード・ボード」といった旧弊な規則まで、さまざまだ。

    この構造なら、株主が1年に選出できる取締役は取締役会の3分の1にとどまり、不満を抱いた株主の抵抗を阻害できる。法律事務所フライド・フランクによると、S&P500種総合指数の構成企業中、昨年時点でこうした規則を設けていたのはわずか11%と、2005年の52%超から減少している。

    実際、グラブハブなどの社は投資家の時間を巻き戻し、物言う投資家や株主を代表する人々が数十年かけて確立してきた権利を取り上げたことになる。これら企業のビジネス自体は、多くの場合革新的なものだ。しかし、こと株主民主主義という観点に立てば、時代に逆行している。

    今のところ株主は気にかけていないようだ。彼らは成長を求めており、ボックス、微博、モーリスといった企業はそれを提供してくれる。しかしこれら企業の事業と幹部が成熟期に入ったり、創設者のビジョンを実現できなかった暁に、株主はそれについて強く口出しができないのを悔やむことになるだろう。

    *筆者は「ReutersBreakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

    *このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのために「ReutersBreakingviews」のコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

    *4月9日に配信した記事の見出しと写真を修正しました。

    0 : 0
    • narrow-browser-and-phone
    • medium-browser-and-portrait-tablet
    • landscape-tablet
    • medium-wide-browser
    • wide-browser-and-larger
    • medium-browser-and-landscape-tablet
    • medium-wide-browser-and-larger
    • above-phone
    • portrait-tablet-and-above
    • above-portrait-tablet
    • landscape-tablet-and-above
    • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
    • portrait-tablet-and-below
    • landscape-tablet-and-below