April 10, 2014 / 7:58 AM / 6 years ago

コラム:米シェール革命で世界のエネルギー逆流=ジョン・ケンプ

John Kemp

4月9日、シェール革命と自動車の燃費向上のおかげで、米国は世界に対する石油供給者としての座を石油輸出国機構(OPEC)から奪っている。写真は米カリフォルニア州モンテレー・シェールで昨年4月撮影(2014年 ロイター/Lucy Nicholson)

[ロンドン 9日 ロイター] -シェール革命と自動車の燃費向上のおかげで、米国は世界に対する石油供給者としての座を石油輸出国機構(OPEC)から奪った。

米国の原油および石油製品輸入は、差し引きで見て過去5年間に半減した。これはサウジアラビアの1日の原油輸出量に匹敵する規模だ。

米エネルギー情報局(EIA)によると、2014年初めの純輸入高は日量520万バレルで、2009年初めの1120万バレルから減少した。

米国では長年、原油輸出が禁止されてきたため、米国産シェールオイルは(カナダ向けの少量を除き)1バレルたりとも輸出されたことがない。

しかし原油輸入の減少とガソリンやディーゼル油など石油精製商品の輸出拡大を通じ、米国の産油量増加が世界市場に影響を及ぼしていることに変わりはない。

米国の製油業者や石油商社は、原油輸入を外国産から安い国内産に切り替えると同時に、輸出できない国内産原油を精製商品に変えて輸出することにより、禁輸措置に乗じた裁定に成功している。

米国の原油および石油精製商品の輸入総量は2013年に平均日量980万バレルと、ピークだった05年の1370万バレルから縮小している。

この間、石油精製商品の輸出は日量110万バレルから360万バレルに増えた。ディーゼル油の輸出は倍増し、ガソリン、液化石油ガス(LPG)、石油コークスの輸出はいずれも大幅に増加している。

<逆流>

EIAが最近公表した報告書によると、米国に対する原油の3大供給国であるカナダ、メキシコ、サウジはそろって販売高を維持している。

しかし中東、西アフリカ、中南米にある他の国々からの輸入は絞られ、これら諸国はアジアに新たな市場を見出さざるを得なくなっている。

石油商品を見ると、米国は欧州からのガソリン輸入を大幅に削り、中南米その他の地域に対するディーゼル油とLPGの主要輸出国として台頭してきた。

北米のエネルギー革命は世界のエネルギーの流れを反転させた。20世紀は概ね「東から西へ」と流れていたが、今や「西から東へ」が主流だ。

<安定的供給>

シェール革命はまた、石油の供給源を中東、アフリカ、中南米から、テキサス、オクラホマ、ノースダコタといった米国の諸州へと移行させた。前者は投資と生産を政府が厳しく管理しているのに対し、後者は民間セクターが生産を引っ張っている。

北海やアラスカ、旧ソ連で新油田が稼働し始めた1980年代半ば以来、世界の石油供給の分散化がこれほど進んだのは初めてだ。

分散化は安定性の向上を伴う。過去3年間、リビア、シリア、南スーダン、イランといった国々からの供給が日量数百万バレル単位で失われても、価格や原油供給はほとんど影響を受けず、世界の石油市場は難局を切り抜けてきた。

<シェール新時代>

米国がシェールオイル生産の伸びを維持できるのか、また地上と地下の環境が米国と大きく異なる他の国々もシェール革命を真似できるのかについては、一部アナリストから疑問が出ている。

ノルウエェーの石油大手スタトイルの開発統括者によると、他の国々で米国に匹敵する質のシェールオイルを探す試みは、これまでのところ失望に終わっている。

しかしシェール革命は始まったばかりだ。水圧破砕法(フラッキング)および水平堀りといった技術と地震調査の有効利用を組み合わせることにより、米国のシェールオイル生産者はコスト削減と掘削計画の効率化を進めている。油田の生産性はまだ向上を続けている。

他の国々では専門家集団と設備の不足、環境保護団体からの反対が開発を阻み続けている上、起業家精神に富む小規模な石油生産者や、鉱物権益の民間保有という、北米のシェールブームを支えた立役者も不在だ。

いずれの障害もしかし、克服できれば大幅な増加につながる。可能性は途方もなく大きい。シェール技術は成熟の度を増している。技術は普及し始めている。そして金融的なインセンティブは強い。

米国でシェールオイルが物事を一変させたことは既に、他国の政治家や石油企業にも強い影響を及ぼしつつある。原油価格が1バレル=100ドル超を維持するなら、2020年までに中国、ウクライナ、南アフリカ、英国、アルゼンチンその他の国々で新たなシェールオイル開発が進みそうだ。

生産技術の進展が世界の石油市場を作り替えようとしている。1970年代から2000年代までの40年間が中東とOPECの時代だとすれば、次の20年間は北米とシェールの時代となろう。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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