April 11, 2014 / 7:47 AM / 6 years ago

「減益シナリオ」に警戒強まる、日本株の押し目買いにためらい

[東京 11日 ロイター] -日本株の急落は、2014年度の「減益シナリオ」への警戒感が一因だ。消費増税や新興国経済の減速による影響により、国内企業業績が圧迫されるとの見方が広がっている。日銀の追加緩和期待は後退、米金利も上がらず、円安のサポートも弱くなった。

4月11日、日本株の急落は、2014年度の「減益シナリオ」への警戒感が一因だ。消費増税や新興国経済の減速による影響により、国内企業業績が圧迫されるとの見方が広がっている。写真は都内証券会社の株価ボード。昨年12月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

減益になればバリューション面で割安とは言いにくくなるため、投資家は押し目買いにためらいがちだという。

<ユニクロ・ショック>

日経平均.N225は断続的な大幅安が続き、新興国不安が広がった2月の急落時にも割り込まなかった1万4000円ラインを11日、ついに下回った。オプションSQ(特別清算指数)算出にともなう売りが600億円程度出たとの観測もあり、特殊要因が入っている可能性もあるが、押し目買いは鈍く、大台割れのまま取引を終了した。

終値で日経平均は昨年10月の水準まで下落。日銀追加緩和期待の後退によるイベントドリブン型ヘッジファンドなど海外短期筋のポジション巻き戻しというだけでは説明が難しにくい水準まで落ち込んでいる。「ヘッジファンドなど短期筋のショートが増えてきた」(大手証券トレーダー)ほか、追い証が発生した個人投資家の処分売りも出ているとみられている。

これまでのレンジを割り込ませた新たな売り要因は、2014年度企業業績の減益シナリオだ。今年度は10%程度の増益という予想がほぼ市場共通の認識だったが、消費増税の影響や新興国経済の減速に警戒感が強まっているほか、円安の「バッファー」も小さくなってきている。可能性はまだ小さいとはいえ、減益も視野に入れなければならなくなったことで、投資家は「押し目買いを入れにくくなっている」(国内投信)という。

これまで想定外だった「減益シナリオ」が現実味を増したのは、ファーストリテイリング(9983.T)が示した減益予想も一因だ。同社は10日、2014年8月期の連結当期純利益見通しを前年比2.6%減の880億円に下方修正。1.8%増の増益予想から一転して減益見通しとなった。柳井正会長兼社長は、消費税増税の影響について、駆け込み需要もほとんどなく、落ち込みもないと述べたが、下方修正の主因は国内ユニクロの伸び鈍化予想だ。

前日までに発表された小売り企業の2015年2月期業績見通しは増益が多く、市場の「増益シナリオ」が崩れたわけではない。ユニクロは8月決算で2月は中間期だ。消費増税の影響が年後半に薄れれば、来期以降の業績回復も期待できる。しかし、小売り企業の代表的な銘柄の減益予想はサプライズ感が強く、「市場参加者の脳裏に、今まで想定していなかった減益シナリオのリスクが浮上してきた」(立花証券・顧問の平野憲一氏)という。

<過度な悲観には警戒>

輸出企業など3月期決算企業の業績予想発表はこれから。現時点の日経平均225銘柄の一株利益は1028円と過去最高水準で、法人企業統計でみた損益分岐点比率も低下傾向にある。「1ドル100円さえキープできれば、増益シナリオが崩れることはない」(大和証券投資戦略部チーフストラテジストの成瀬順也氏)との見方は根強い。

日銀追加緩和期待は後退したが、寒波の影響から脱した米経済は今のところ堅調だ。三菱東京UFJ銀行・市場企画部チーフアナリストの内田稔氏は「新興国の株価は非常に堅調。新興国のドル建ての国債と米国債とのスプレッドも縮小傾向にある。全般的なリスクオフという地合いではない」と指摘。101円前半は買い場という見方が強まってもおかしくないと話している。

また2月の鉱工業生産で在庫指数は0.8%低下。企業が駆け込み需要の反動に備え、できるだけ在庫を押さえるように行動している姿が浮かぶ。また外需面では新興国経済の減速が警戒されているが、2月の機械受注で外需は前月比2.4%と3カ月連続の増加となった。米経済が堅調であれば、世界経済を下支えてくれるとの楽観論は維持されている。

三井住友アセットマネジメントのチーフエコノミスト、宅森昭吉氏は「過去の学習効果が働いており、消費増税の駆け込み需要の反動に対し、企業は慎重に行動している。在庫調整は起きないだろう。機械受注の外需も好調で、今後輸出の伸びも期待できる。過度な悲観は現時点では控えるべきだ」との見方を示している。

<消えにくい業績不透明感>

ただ、中国やブラジルなど新興国の景気減速に対する市場の警戒感はさらに強まってきた。ウクライナ情勢も再び緊張感が増している。欧州はディスインフレ懸念が強く、日本も消費増税の影響がある。米経済だけで今年の世界経済を支えられるかは依然不透明だ。

日経平均の予想株価収益率(PER)は現在、13倍台後半。歴史的にみて割安感が漂うレベルだ。4月末から始まる決算発表時の会社側の業績予想で慎重な数値が出たとしても、最終的に市場予想通りに1割増益となるならば、一株利益は1130円に上昇。PER14倍で1万5820円になる。

しかし、1割減益となれば一株利益は925円に減少。PER14倍で1万2950円水準となり、割安感は薄れてしまう。アナリスト予想が強気を維持したとしても、会社側予想が減益であれば、「やはりショックで売られる」(大手証券ストラテジスト)との見方もある。会社側の業績予想が期末に向けて徐々に改善してくるとしても、それを確認できるのは9月中間期以降だろう。

ベイビュー・アセット・マネジメント運用第一部長の佐久間康郎氏は「アナリストが会社予想に合わせるかどうかは別問題のため、会社側の慎重見通しが必ずしも株価の下落要因になるわけではない。ただ経営者から消費増税の影響を警戒するコメントが出てくると、短期的に嫌気される可能性がある」と指摘。大型株の割安感が強まっているため、下値は売り込みにくいが、需給や心理的な要因で一段安となることは否定できないとし、日経平均の下値は1万3000円程度と予想している。

(伊賀大記 編集:宮崎大)

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