April 15, 2014 / 9:57 AM / 4 years ago

しぼむ日本株売買、海外勢後退し国内勢にシラケムードも

[東京 15日 ロイター] -日本株の売買規模が減少中だ。日銀の追加緩和期待を材料にした海外短期筋の売買が後退する一方、国内勢も一段と様子見姿勢を強めている。社会保障や成長戦略など構造問題への取り組みの遅さに、国内勢にはシラケムードも漂う。

長期投資家の「不在」がボラティリティを高め、機関投資家などの手をさらに引かせる悪循環に陥ったと言える。

<海外短期筋が様子見に>

今週に入り、日本株の売買量低下がさらに目立ってきた。今年の東証1部売買代金のワースト3はいずれも4月に入ってからだが、15日は1兆5682億円と今年2番目の薄商い。前日14日は1兆6099億円と今年3番目の少なさだ。今年最低を記録した4日の1兆5663億円よりもわずかに多いだけであり、市場エネルギーが急激に縮小していることを示している。

売買量の減少にともない、日本株もリバウンド力が弱くなっている。15日の日経平均.N225は反発したが、終値は前日比86円高止まり。前週、約1100円下落した後にしては、ショートカバーや下値拾いの買いが少ない。「米株が反発したので買い戻しが入っているが、相場切り返しの動意は乏しく市場全体はスカスカ」(国内証券)という。

売買ボリューム減少の短期的要因は、海外短期筋が様子見に転じたことだ。日銀追加緩和期待を材料に、一部のヘッジファンドが先物などを買っていたとみられているが、黒田東彦日銀総裁が8日の決定会合後の会見でデフレ脱却に強気な姿勢をみせたと受け止められ、早期の追加緩和期待が後退。前週の日本株売りにつながったが、その売りも一巡したことで、市場の売買量が減っている。

日経平均も1万4000円付近で落ち着きを見せ始めているが、初めてライブ中継された黒田総裁の会見は、海外勢にも印象深かったという。安倍晋三首相と黒田日銀総裁が15日に昼食会談したが、市場では「弱い経済データが出るまでは黒田総裁の強気を変えることはできないだろう」(外銀)と声が多く、これまでのような「日銀トレード」は盛り上がらなかった。

<財政問題に強い警戒>

海外短期筋が手を引いてしまうと、商いがほとんどなくなってしまうのが、今の日本株市場だ。年金など海外の長期投資家は、今年も引き続き日本株を買い続けるとみられているが、ウクライナ情勢など海外要因が落ち着くまでは、動きにくい。

株価水準が年初来安値水準まで低下したことで、保有株に評価損が出た個人投資家は買いに動きにくくなっているほか、「機関投資家は相変わらずリスクウエートを気にして日本株投資に動こうとしない」(国内投信)という。

昨年中に約15兆円の日本株を買い越した外国人投資家に対し、日本の個人投資家は約9兆円、生損保は約1兆円、信託銀行は約4兆円を売り越した。年金の売買を経由している信託銀行の売りは少なくなっているが、日本株に消極的という国内勢の傾向は今年に入ってもほとんど変わらない。国内投資家の日本株離れはボリューム低下の長期的な要因だ。

日経平均の予想株価収益率(PER)は13倍台と歴史的にみて割安感もある。だが、構造改革のための政策が期待ほど進まないことで、国内投資家には「金融緩和と財政出動の後、何も変わらず、借金だけが残ったという、これまでと同じ道をたどるのかというシラケムードが漂っている」(大手証券トレーダー)という。

「懸念されているのは今回の消費増税だけではない。年金制度など社会保障改革は一向に進まず、消費者は将来の負担を警戒している。このままでは10%で消費増税は終わりとは思えないからだ」と岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏は指摘する。日本の財政問題は長期運用の投資家にとって最大関心事の一つだ。

    <高いボラティリティを嫌気>

    日本株のボリュームが再び高まるとすれば、やはり日銀の追加緩和だとみられている。ただ、すでに昨年の「異次元緩和」で、それまでの円高・株安環境はかなり修正されたため、前回ほどのインパクトには欠けるとの見方もある。

    また、円安になったとしても、来年になれば、前年比での円安効果がはく落するという問題は続く。永遠に追加緩和を繰り返すのは不可能だ。

    追加緩和自体のハードルが高くなっている。HSBCの香港在住の日本担当エコノミスト、デバリエいづみ氏は、7月の追加緩和というメーンシナリオの予想は崩していないものの、以前に比べ可能性は低くなってきたとみている。「消費増税を機に物価は上昇しており、ここに円安による輸入物価上昇がさらに加われば、家計の負担は大きい。賃金は上昇していない。消費者物価指数が日銀の想定より高くなれば、追加緩和は難しくなるだろう」と話している。

    国内材料が日銀緩和に絞られる中で、イベントを材料に動くヘッジファンドが、機をみて日本株を再び買い仕掛ける可能性もある。しかし、これまでのように追加緩和がなければあっさり売りに転じる公算は大きい。彼らは基本的にポジション・ニュートラルであり、長期的な売買ボリュームを増加させてくれるわけではない。

    世界主要株価指数のボラティリティ指数を比較すれば、日本の日経ボラティリティ指数.JNIVは23ポイント強でトップとなっている。国内の長期投資家の「不在」が、短期売買による相場の振れを増幅し、そのボラティリティーの高さが、さらに長期投資家を敬遠させるという悪循環の構図だ。成長戦略や社会保障改革など将来のビジョンを示し、国内長期投資家に帰ってきてもらうまでは、薄商いのなかで、海外勢の動きや海外材料に、過度に反応するぜい弱な相場展開が続くとみられている。

    (伊賀大記 編集:田巻一彦)

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