April 18, 2014 / 11:58 PM / 4 years ago

焦点:汚職高官追放に「聖域」なし、中国主席が腹心登用で権力固め

[北京 17日 ロイター] -中国の習近平国家主席は、汚職の疑いのある高官を追放し、息のかかった人材や改革志向の官僚を共産党の要職に付けようとしている。政府や軍の関係者が明らかにした。

複数の関係筋によると、習氏は汚職高官を排除することで、権力基盤を固めるとともに、一党支配の継続に不可欠だとする経済・司法・軍事改革が実現できると考えている。

習氏の計画は広範囲にわたり、浙江省出身で進歩的な考えを持つ約200人を上級職に昇進させる計画だという。浙江省は、習氏が2002年から2007年まで党委員会書記を務めた場所だ。

関係者の1人は「汚職撲滅運動は目的を達成するための手段だ。その目的は、改革を推し進めるため、腹心や志を同じくする者たちを要職に昇進させること」と話した。

汚職撲滅を目指す習氏は、最高指導部の元メンバー周永康・前共産党政治局常務委員に対する調査を指示。周氏をめぐる疑惑は、過去60年で最大の汚職スキャンダルだとされている。

ロイターは3月30日、周氏の親族や側近、部下ら300人以上が昨年末から拘束されたり、調査を受けたりしたと報道。中国政府は周氏に関するコメントは一切出していない。

今年に入って習氏と内々に会話を交わしたという関係者によると、改革の実行について習氏は、国営企業や党の長老、「太子党」と呼ばれる高官子弟らの反対によって「非常に難しい」とこぼしていた。国営企業や太子党は、多くの特権を享受しており、事実上独占状態の業界もある。

司法改革については、習氏は党による司法への介入権限を縮小したものの、国民の不信を払しょくするには一段の措置が必要だと専門家はみている。

また、習氏があらゆる分野で改革を進めている一方で、人権活動家らは、大きな政治改革は習氏の念頭にはないと強調。実際、当局は国内メディアの支配を強め、著名ブロガーらの監督を強化している。

<浙江省から採用>

関係者によると、習氏には、自身の出身校である清華大学を卒業した改革派役人を登用する計画がある。しかし、人材登用の鍵となる場所は浙江省だ。同省はイデオロギー的に進歩的だとされ、民間企業の集中によって、経済改革の先頭に立つ場所とされている。

習氏の計画では、浙江省出身の役人を党や中央政府、軍の役職に就かせるのではなく、他の省に派遣するという。関係者は、習氏の支持者である夏宝龍・浙江省党委書記が、今年か来年あたりに新疆ウイグル自治区を担当する要職に就き、2017年には党中央政治局入りを果たす可能性が高いと語る。

また、習氏の最側近の1人、鐘紹軍氏(45)も浙江省出身。軍とつながりのある関係者によると、この鐘氏が中国人民解放軍でさらなる昇進を果たすとみられるという。

2012年11月に党のトップになり、翌13年3月に国家主席に就任した習氏は、汚職は党の存亡にかかわる脅威になると警告してきた。

習政権に近い関係筋は、この警告を受け、党や政府、軍幹部らは戦々恐々としていると話す。周氏の汚職疑惑では、調査の一環として副大臣クラス約10人も対象になっているという。

対象者には、国有の中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)や、その親会社である中国石油天然気集団(CNPC)の元幹部もいる。彼らは、周氏が石油業界にいた際につながりがあったとされている。

関係者の話では、昨年行われた党の内部調査では、党や政府、軍幹部の3割以上が何らかの形で汚職に関与していたことが判明。これは、習氏の汚職撲滅運動の成果が表れているとも言える。

汚職摘発に関し、関係者は党の重鎮らからの抵抗はあまりないと指摘。ただ、追放する人数には限界があるとし、「すべての汚職役人を摘発すれば政権がまひしてしまう」と述べた。

<軍にも調査のメス>

汚職摘発の動きが広がる中、230万人が所属する人民解放軍にも調査のメスが入った。

中国国営の新華社は31日、人民解放軍の谷俊山・元総後勤部副部長が汚職や収賄、公金流用、職権乱用の罪で軍事法廷に起訴されたと報じた。

関係者によると、中央軍事委員会副主席と共産党政治局委員を2012─13年に退任した徐才厚氏(70)が自宅軟禁状態にあり、谷氏に対する調査に協力している。

徐氏は谷氏が昇格する上で強力な後ろ盾となった1人で、谷氏が犯したとされる行為に目をつぶったり、少なくとも報告を怠ったりしたとされる。

習氏の指示により、人民解放軍は軍専用のナンバープレートの違法使用、軍官舎への違法入居、地位を売る行為の取り締まりを実施。関係者の話では、それでも習氏は、地位を買った兵士ら全員を罰することはせず、さらなる改革に同意させるための手段として利用する方針だという。

習氏は、周氏や徐氏を起訴するかについては、結論を下していない。

香港科技大学のデビッド・ツバイク氏は、「習氏が周氏のような人物を失脚させることができれば、ほぼすべての人に同様の措置を取ることが可能だということを示す」とコメントした。

習氏が周氏の調査を指示した理由について関係者らは、失脚した薄熙来・元重慶市共産党委員会書記の影響力を根絶させたいとの思いがあると語る。薄氏は収賄などの罪で無期懲役が確定し、服役している。

周氏は、その薄氏の追放に反対していた。シンガポール国立大学の薄智躍氏は、「反汚職キャンペーンは行き過ぎだと党の長老らが判断すれば、彼らから反発が起こる可能性がある」と指摘。「習氏にとっての課題は、自分の安全を確保しながら、すべてのキャンペーンを成し遂げることだ」と語った。

(Benjamin Kang Lim記者 Megha Rajagopalan記者、翻訳:野村宏之、編集:宮井伸明)

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