April 22, 2014 / 3:52 AM / 6 years ago

焦点:ウクライナで長期戦仕掛けるプーチン氏、「再統合」へ布石

[モスクワ 21日 ロイター] -緊張が続くウクライナ東部をめぐり、ロシアは先週、米国と欧州連合(EU)およびウクライナ新政権との4者協議で事態鎮静化策に合意した。しかし、これでロシアが引き下がると考えるのは早計だ。プーチン大統領はむしろ、究極の目標に向けた準備を忍耐強く整えている。

4月21日、緊張が続くウクライナ東部をめぐり、ロシアは先週、米国とEUおよびウクライナ新政権との4者協議で事態鎮静化策に合意したが、これでロシアが引き下がると考えるのは早計だ。プーチン大統領はむしろ、究極の目標に向けた準備を忍耐強く整えている。17日撮影(2014年 ロイター/Alexei Nikolskyi/RIA Novosti/Kremlin)

プーチン大統領の狙いとは、いつの日か、ロシア語圏を「1つの祖国」として再統合するというもので、それにはウクライナの一部も含まれる。ただ、その目標に向けて拙速に動けばロシアの国益を損ねかねないことを、戦術に長けたプーチン大統領は知っている。実際、西側は対ロ制裁強化を示唆し、欧州はロシア産ガス依存からの脱却を急いでいる。

ジュネーブで17日開催された4者協議での合意は、ロシア側にも譲歩の用意があることを西側に示した格好だが、これはプーチン大統領の戦術としては理にかなっている。

プーチン大統領の任期はあと4年残っているが、次の大統領選でも勝利すれば、そこからさらに6年にわたって同国トップの座にとどまることができる。短期的な政策課題に追われる西側指導者に比べて時間は十二分にあり、そのことが外交交渉でプーチン大統領を有利にしている。

ロシアのラブロフ外相が編集委員に名を連ねる外交誌ロシア・イン・グローバル・アフェアーズ誌の編集者、FyodorLukyanov氏は「今重要なのは、ウクライナでの危機が長期化する事態に準備を整えておくことだ」と指摘。「合意は破られ、またなされるだろう。ロシアは守勢にはなく、前進している。つまり動揺する必要はない」と述べた。

プーチン大統領が見据えるのは長期戦であり、ロシアがウクライナをめぐる軍事衝突に今すぐ積極的に動く可能性は低い。ただ同時に、欧州各国は、今後続く経済制裁でロシアとの貿易関係が悪化し、ロシア産ガスの供給断絶も覚悟した長期戦を準備しなくてはならない。

<プーチン大統領の作戦>

ウクライナをめぐるロシア政府の公式な目標は限られている。ロシアの安全確保、北大西洋条約機構(NATO)拡大への対抗、そしウクライナでのロシア系住民の保護だ。ロシアは、ウクライナ侵攻のいかなる計画も否定している。

ジュネーブのインターコンチネンタルホテルで先週行われた先の4者協議では、「すべての違法な武装勢力は武装解除し、不法に占拠した建物を全て合法的な所有者に明け渡す必要がある」ことで合意された。

ただ、20日にはウクライナ東部の親ロシア派が設けた検問所で銃撃戦が起き、複数の死者が出るなど、早くも同合意は揺らいでいる。ロシア政府は、4者協議での合意をウクライナ側が実行に移していないと非難した。

一方、4者協議について欧州の外交筋からは、合意はロシア側の見せ掛けに過ぎないと懐疑的な意見も出ている。

ある外交官は匿名を条件に、ロシア側は譲歩の姿勢を見せることで外交的圧力をかわし、追加制裁までの時間を稼いだと指摘。「協議や譲歩はプーチン大統領の作戦の一部でしかない」と語り、個人的な見解と強調した上で「彼はウクライナを欲しがっている」と語った。

ロシア側からの譲歩の姿勢は、西側の対ロ政策の足並みの乱れを助長する可能性がある。すでに、制裁に向け強硬な姿勢を見せる米国と、高い代償は出来る限り回避したい欧州の間には温度差がある。

<共通の未来>

ウクライナをめぐるロシア政府の公式見解の裏側では、プーチン大統領の真意も垣間見えている。

17日にテレビ中継された質疑応答でプーチン大統領は、帝政ロシア時代にはウクライナ東部と南部の大部分はロシアに属しており、新ロシアを意味する「ノボロシア」と呼ばれていたとコメント。「これらはすべて、1920年代にソ連政府によってウクライナに譲渡されたものだ。なぜそうしたかは神のみぞ知る」と述べた。

この発言は、約4時間にわたって放送された番組内では一瞬のことだったが、ロシア政府ウォッチャーの間では、非常に重要視されている。

プーチン大統領の元経済顧問で、今は批判者に転じたアンドレイ・イラリオノフ氏は、自身のブログで「今や(プーチン大統領の)狙いはノボロシアだ。それはロシア人の歴史的使命だ」と述べた。

ロシアが人工的な国境で分断されているとの主張は、ロシア正教会モスクワ総主教キリル1世らも同調する。

キリル1世の最側近の1人、ロシア正教会モスクワ総主教座の対外教会部門責任者であるヒラリオン府主教は、教会のウェブサイトで「ウクライナには数百万人のロシア人が住み、これからも住み続ける。ロシアにも数百万人のウクライナ人が住み続ける」とコメント。「われわれには共通の言葉や文化、共通の過去があり、共通の未来もあると心から信じている」と語った。

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