July 27, 2013 / 6:07 AM / 7 years ago

焦点:激化する中国スマホ競争、アップルしのぐサムスンの「勝因」

[広州(中国)/ソウル 26日 ロイター] - 米アップル(AAPL.O)のティム・クック最高経営責任者(CEO)が「大きな機会」と位置づけた中国市場。しかし今のところは、アップルのはるか前から同国で事業を展開し、市場浸透率でも大きく上回るライバルの韓国サムスン電子(005930.KS)に分があるようだ。

7月26日、米アップルは中国市場を「大きな機会」と重視しているが、今のところは同国ではるか前から事業を展開し、市場浸透率でも大きく上回る韓国サムスン電子に分があるようだ。ボスニアのゼニツァで5月撮影(2013年 ロイター/Dado Ruvic)

アップルが23日に発表した第3・四半期(2013年4─6月)決算によると、香港と台湾を含めたグレーターチャイナの売上高は前期比43%減少、前年も14%下回る46億5000万ドル(約4570億円)になった。香港での大幅な販売減少が大きく影響したというが、クックCEOは「正確な理由は明らかになっていない」と述べた。

アップルとサムスンの両社が「21世紀で最も重要な市場」と認める中国市場では、サムスンが優位に立っている。調査会社IDCによると、800億ドル規模とされる中国のスマートフォン(多機能携帯電話)市場では、サムスンのシェアは19%。アップルは全体の5位に順位を下げている。

クックCEOはグレーターチャイナでの店舗数について、向こう2年間で倍増する方針を明らかにしている。同社は現在、中国で8店舗、香港で3店舗を展開。ただ、今後の店舗拡大については「質の高さを維持するため慎重に進める」としている。

サムスンは店舗数がアップルの3倍に上り、中国での顧客獲得や通信企業とのパートナーシップ強化にも、より積極的な姿勢を見せている。またアナリストや業界関係者によると、レノボ・グループ(聯想集団)(0992.HK)や華為技術(ファーウェイ)HWT.UL、中興通訊(ZTE)(000063.SZ)など中国企業からの攻勢をかわすという点でもサムスンは優位にあるとみられる。

<中国向けの機能が充実>

中国南部深センの電子機器を扱う市場では、サムスンの「ギャラクシー」とアップルの「iPhone(アイフォーン)」のさまざまな世代の機種が店頭に並ぶ。サムスンの機種はラインアップが豊富で、アイフォーン1台に対してギャラクシーは少なくとも4台という割合だ。

アップルが1年に1台、高価格のスマホを発売するのに対し、サムスンは中国でスペックや価格の異なるモデルを複数リリースする。アナリストは、サムスンのスマホは中国市場に特化した機能が満載だと指摘。ITコンサルタントコンサルタント企業レッドテック・アドバイザーズのマイケル・クレンデニン氏は、「アップルはこのような試みはしない。ただ、中国でシェア拡大を目指すのであれば、(多くの機能が揃った)スイスアーミーのナイフのような携帯電話を提供する必要がある」と述べた。

<ペースを支配>

アナリストは、アップルが廉価版や大型画面のアイフォーン開発を計画している背景にはサムスンの中国事業拡大があると指摘する。中国事業に詳しいサムスンの幹部は「(同国市場で)ペースを支配しているのはわれわれだ」と語る。

また、サムスンは低価格のスマホだけでなく、高価格帯の製品も投入し、アップルに対して直接的な攻勢を仕掛けている。共同CEOの申宗均氏はロイターに対し、「中国では高性能端末市場に注力している」とコメントした。

サムスンは中国電信(チャイナ・テレコム)(0728.HK)と共同で、中国市場向けに1台当たり1万2000人民元(約19万3000円)する高級スマホを販売。広告には人気俳優のジャッキー・チェンを起用した。IDCのアナリスト、TZ・ウォン氏は「重要なのは、サムスンは常に現地市場に適応するということだ」と語った。

<小売業界での存在感>

サムスンは1985年に中国の首都北京にオフィスを設置。一方、アップルが中国事業を強化し始めたのは、スマホの存在が拡大し始めた約5年前だ。

同社は中国の大手キャリア3社を通じた製品販売のほか、家電小売大手の国美電器(0493.HK)や蘇寧電器(002024.SZ)との提携や、直営店「エクスペリエンス」などにより小売業界での存在感を増している。

アップルも同様の販路を活用してはいるが、中国進出が比較的遅れたことから存在感は大きくない。また同社は、携帯電話大手の中国移動(チャイナ・モバイル)(0941.HK)と数年にわたり端末販売で交渉を続けているが、売り上げ配分などの点で合意に至ることができていない。

<中国最高指導部とのつながりも>

サムスンの幹部らは中国の国営通信企業のCEOだけでなく、政権トップとのつながりも深めている。今年4月には、李健熙会長の息子である李在鎔副会長が習近平国家主席と会談。李副会長は後に「最も驚いたことは、中国指導部がサムスンについて熟知しているということだ。専門の研究部門も存在する」と語った。

一方、中国の国営メディアは4月、アップルについて1年間の製品保証期間は不十分などとし、他に例を見ない「傲慢(ごうまん)さ」があると批判。同社は当初は批判をはねつけたものの、クックCEOは後に中国の消費者に謝罪した。

<低価格と高価格の両方で攻勢>

IDCによると、サムスンは中国スマホの低価格市場と高価格市場の両方で優勢を維持しているが、両端の市場で攻勢を強める理由は簡単だ。平均賃金が1カ月当たり640ドルとされる中国では、スマホに買い替えようとするユーザーの多くがアップル製品には手が届かない。

さまざまな価格の機種を多彩に用意することで、サムスンは消費者と深いつながりを築いている。調査結果によると、消費者の多くは年齢を増すごとに、より高価な機種に買い替える傾向にあるという。また、下位機種と上位機種を合わせて投入することは、レノボやファーウェイのほか、数百もの小規模企業の参入で激化する競争において、サムスンが優勢を保つことにもなる。

サムスンのグローバル戦略部門に6年勤務した経験のあるマーク・ニューマン氏は、「アップルが中国、そして世界に向けて新たな安価な製品を開発するかどうかに注目したい」と述べた。

(原文執筆:Melanie Lee記者 Miyoung Kim記者、翻訳:本田ももこ、編集:橋本俊樹)

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