July 29, 2013 / 6:57 AM / in 6 years

楽観ムード後退し株安・円高加速、消費増税の行方が焦点に浮上

[東京 29日 ロイター] - 週明けの東京市場では、短期筋中心の荒い値動きが続き、株安・円高が加速している。日米のファンダメンタルズは堅調で、あくまでポジション調整の範囲内とみられているが、中国の地方政府が抱える財政問題や期待に満たない日本の企業決算などが懸念材料となって楽観ムードは後退し、日本株やドル/円の買い方には様子見が広がっている。

7月29日、週明けの東京市場では、短期筋中心の荒い値動きが続き、株安・円高が加速している。写真は都内の外為トレーダー。2010年9月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

円債は堅調で、消費増税をめぐる不透明感を本格的に嫌気する動きには至っていないが、その先行きは日本市場全体を左右する新たな焦点として浮上してきた。

<ヘッジファンドなどの巻き戻し加速>

株安と円高の連鎖が再び市場に広がっている。株安を材料に円高が進み、円高で株安がさらに進むという展開だ。日経平均.N225は450円を超える下落となり1万3700円を割り込んで約1カ月ぶりの水準に下落。ドル/円も一時97.63円と約1カ月ぶりの安値水準を付けた。

中国国家審計署(監査院)が国務院(内閣)の要請を受けて全ての政府債務について監査を行うとしたことでリスクオフムードが高まった。やや期待はずれが多い4─6月期国内企業決算も嫌気されている。しかし、トレードの中心はあくまでポジション調整との見方が多い。「参院選をターゲットにして円売り・日本株買いポジションを組んでいたイベントドリブン型ヘッジファンドの巻き戻しが続いている」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏)という。

日経平均.N225は7月19日に1万4953円の直近高値を付けた後、参院選前の19日から売りが出始め、すでに約1300円の下落。ドル/円も101円台から97円台まで調整した。投機筋の円ショートポジションはIMM通貨先物の取組でみて、7月23日までの週に8万7496枚とピーク9万9769枚(5月28日までの週)の87%まで再び積み上がっていた。

日本の6月の小売業販売額や7月の米ミシガン大消費者信頼感指数など、日米の経済指標は堅調が続いており、ファンダメンタルズへの懸念によるリスクオフの動きが出ているわけではない。ただ、株安・円高は消費マインドにも大きな影響を及ぼすだけにオーバーシュートには警戒感もある。30─31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や2日の7月米雇用統計など重要インベントを控え、買い手は様子見となっている中で、株売り・円買いに勢いがついている。

<市場の見方分かれる消費増税>

さらに、大きな焦点として浮上してきたのが消費税増税の行方だ。市場は来年4月の8%への引き上げをほぼ織り込んでいたが、ここにきて緩やかな引き上げや延期などの複数案が検討される可能性が出てきた。

消費増税についてマーケットでは見方が二分されている。一つは消費増税は断行すべきとの意見だ。国際公約であり、財政再建への姿勢を示さなければ日本への信認を失ってしまうという。増税を先送りすれば、その点は景気にポジティブだが、財政規律の緩みとして金利が上昇してしまえば、逆効果だ。「投資家の信認を失えば財政破たんしたギリシャのようになりかねない」(国内証券ストラテジスト)。

「万が一にも延期が決まった場合は長期金利への影響は免れない。日銀が異次元緩和に踏み切った影響で、国債市場は値が振れやすくなっている。財政再建への懸念が強まれば、想定以上にボラタイルな動きになる可能性がある」とJPモルガン証券チーフ債券ストラテジストの山脇貴史氏は指摘する。

消費増税見送りで円債金利が跳ね上がれば、金利面では円高要因だが、日本の信認低下につながれば円売り要因になる。その際の円安は日本株も好感しないだろう。また景気腰折れの可能性がなくなったと好感して日本株が上昇すれば円安材料だが、日本株の買い主体である外国人投資家が失望して売りに転じればリスクオフ方向の円高材料になりかねない。

一方、マーケットでは、消費増税を先送りすべきという意見も少なくない。1997年4月に消費税を3%から5%に引き上げた後、景気が減速したように、性急な増税はようやく立ち直ってきたばかりの日本経済の腰を折ってしまう懸念があるという。「たとえ補正予算などで国内総生産(GDP)自体の成長率を下支えたとしても、消費マインドが再び冷え込んでしまえば、デフレ脱却を困難にする」(外資系証券エコノミスト)。

BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏は「市場では消費増税を延期した場合に金利高・株安を指摘する声もあるが、延期した場合には一段の景気回復が見込めるうえ、日銀が金利上昇を抑えるため更なる追加緩和を実施すると想定され、短期的な動きにとどまるだろう」との見方を示す。

増税を断行するか、見送るか。そのいずれにせよ、市場の信頼感を維持することが不可欠の条件だ。市場にそっぽを向かれ、期待に働きかける力を失えば「アベノミクス」の神通力は消える。安倍晋三首相の正念場だといえよう。

(伊賀 大記 編集:北松 克朗)

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