September 4, 2013 / 6:58 AM / 6 years ago

コラム:対話なきシリア軍事介入、「オバマ外交」終止符か

[3日 ロイター] - By Trita Parsi

9月3日、対シリア軍事介入をめぐる米国の国民的議論では、根本的な問題がほとんど注目されていない。それは、他のすべての選択肢は検討し尽くしたのかという問題だ。写真はオバマ大統領。8月撮影(2013年 ロイター/Mike Theiler)

対シリア軍事介入をめぐる米国の国民的議論は、奇妙な性質を持ち合わせている。議会の承認を求めたオバマ大統領の決断を分析するのに多くの時間と労力が割かれている。賢明な選択か否か、軍事攻撃の影響、国連安全保障理事会の決議なしに行動することの正当性、爆撃の道義性などだ。

しかし、根本的な問題がほとんど注目されていない。それは、他のすべての選択肢は検討し尽くしたのかという問題だ。

オバマ大統領は国民に対し、1)軍事介入、2)何もしない、という見せ掛けの二者択一を提示した。

2008年の大統領選でオバマ大統領は、対話重視の外交への回帰を掲げたが、対シリア軍事介入をめぐる動きは、外交交渉が選択肢として議論されない時代を迎えたというサインなのかもしれない。

今回の問題の重要ポイントが、シリア市民の大量殺りくをやめさせるといった人道的なものであるならば、今より早い段階で、内戦の終結を促すための努力がもっとなされるべきだった。

これが容易な仕事ではないことは明らかだ。シリアのアサド大統領も反体制派のどちらも信頼の置ける交渉相手ではない。

ただ、内戦とはそういうものであり、理想的な交渉相手を得ることはまれだ。とはいえ、内戦の多くが交渉の末に終結してきた。待てば待つほど死者は増え、傷も深まり、問題解決のハードルも高くなっていく。

コフィ・アナン前国連事務総長は昨年、ファイナンシャル・タイムズ紙に「分裂するシリア社会では、交渉による政権交代のみが過去の弾圧統治を終わらせ、将来の宗派間戦争も防ぐことができる」と指摘した。

国際的なリーダーシップと自らの価値観のためにシリアに介入することが米国の責務であるなら、2年以上前に軍事的にではなく外交の場で介入を始めるべきだった。

オバマ政権の外交努力はこれまで、持続的な解決策を探るというよりも、アサド政権を非難するためロシアの支持を得ることに注力されてきた。

筆者が5月に記したように、シリア情勢における米政府の外交意欲が早い段階で失われていたのは、アサド政権が力不足で間もなく崩壊するとみられていたためだ。その状況下での対話は、アサド大統領に命綱を与える結果に過ぎなかったかもしれない。

しかし、かなり前から、アサド大統領が弱すぎて負けることも、逆に強すぎて簡単に勝つこともないことは明らかになっている。つまり、情勢はこう着状態にあり、永続的な停戦に持ち込むための交渉の余地は大いにある。当事者すべてが対話を追い求めなかったことから約12万人の命が奪われ、こう着状態だけが残ったのだ。

米国とロシアの両政府は、アナン氏や現在の国連シリア特別代表のブラヒミ氏に対し、任務を成功させるための政治的な支援を行わなかった。アナン氏は、外交プロセスは「とりわけプーチン、オバマ両大統領を含めた安保理常任理事国からの勇気とリーダーシップが必要だ」と語っていた。

また、特使辞任後にアナン氏はインタビューで、「当事者や安保理、国際社会が望むように私も平和を望んでいる。ただ、必要な支援は何も得られなかった」と悔やんだ。

ブラヒミ氏は同じような状況下に置かれている。そこには、妥協しないアサド政権、分裂する反体制派、調停よりも責任追及を優先する安保理、自らが設定したレッドラインに気を取られ、外交交渉への関心が薄れた米大統領がいる。

予想通りだが、ジュネーブ会議を通した対話の再開は、さらに先延ばしにされている。スイスの外交官は先週、反体制派内の分裂が進み、対話を拒否するグループも出てきており、事態は悪化していると話した。

その結果、内戦は継続し残虐行為も後を絶たず、死者が増えるとともに難民問題も深刻化している。シリアの子どもたちが、失われた世代になるのは時間の問題だ。

一方、オバマ大統領は「米国はダマスカスで起きていることに目を背けることはできず、背けてはいけない。国としてどうあるべきかの問題だ」として、軍事介入の必要性を強調する。

それにも関わらず、オバマ大統領が提示した計画が、シリア情勢に影響を与えると考える人はほとんどいないのが現状だ。軍事介入で米国のレッドラインへの「信頼」は回復するかもしれない。しかし、米国のリーダーシップへの信頼は、暴力の終結と政治的解決を目的とした外交プロセスを経てこそ回復する。

*筆者のトリタ・パルシ氏は全米イラン系アメリカ人評議会会長。著書に「A Single Roll of the Dice: Obama's Diplomacy with Iran(原題)」など。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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