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公的年金改革の最終報告、国債偏重からの投資分散を提言へ=関係筋
2013年11月19日 / 21:33 / 4年後

公的年金改革の最終報告、国債偏重からの投資分散を提言へ=関係筋

[東京 20日 ロイター] -公的年金の改革を議論している政府の有識者会議(座長:東京大学大学院教授・伊藤隆敏氏)が20日にとりまとめる最終報告書は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的年金に対し、インフラファンドや物価連動国債などに運用対象を広げるよう提案する見通しだ。

11月20日、公的年金の改革を議論している政府の有識者会議の最終報告書は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的年金に対し、インフラファンドや物価連動国債などに運用対象を広げるよう提案する見通しだ。2月撮影(2013年 ロイター/Shohei Miyano)

これにより、運用資産の約6割を国債に投資する現在の運用スタンスからリスク分散の姿勢を強める。有能な資産運用担当者を高額で雇用するなどGPIFの自由度を増すため、独立行政法人から認可法人のような新しい枠組みに移す組織改革も提言する。

抜本的な改革で法改正も想定しており、実現に向けて約2年の期間が必要になる見通し。マネーのリスク性資産への本格的なシフトにつながるまでには、なお時間がかかるとの見方も市場関係者の一部から出ている。

複数の関係筋によると、有識者会議の公的年金への提言の内容は、9月に発表された中間報告から、おおむね変わらず、1)運用の見直し(代替投資の実施、新株価指数のベンチマーク採用)、2)GPIFのガバナンス強化──が大きな柱となる見込み。「運用の見直しとガバナンスの強化は両輪。ガバナンスのしっかりした組織であれば、適切な運用ができる」(関係筋)との発想が背景にあるという。

また、GPIFだけで120兆円、他の公的年金を合わせ200兆円規模となる資産の運用の見直しでは、日本国債に偏重している現在のポートフォリオからリスク分散を促すよう提言する。国内株式や外国債券の比重を高めるだけでなく、たとえば不動産投資信託(REIT)、インフラファンドなどの代替(オルタナティブ)商品に対象を広げる提言を盛り込む。GPIFの組織改革が実施されたうえで、オルタナティブ投資を本格化するのが現実的だ。

オルタナティブ投資はこれまでも検討が重ねられた経緯がある。GPIFは今年10月に民間の生命保険会社からPE(プライベート・エクイティ)ファンド投資の専門家を採用した。PE投資の専門部隊をつくるため複数人の組織内異動も行うなど、準備に着手している。

提言では、高いリターンを生むことを目的とした、GPIF本体とは切り離したベビーファンドを立ち上げ、運用の検討を促す。

現行で比重の高い国内債券では、今後のインフレリスク抑制の観点や公的年金の運用が長期にわたることへの配慮から、10月に発行を再開した物価連動国債も運用対象の選択肢に加えるよう提言する。

国内株式や外貨建て債券など、国内債よりリスク性の高い資産にどのように投資配分を増やすのか、具体的な数値や文言は盛り込まれない見通し。これについて、市場関係者の一部からは「期待はずれ」(ファンドマネージャー)の声も漏れる。

ただ、政府は「安全資産に偏重したポートフォリオから、リスク性資産に分散を進める方向性を示すのが役割。具体的な運用は改革後の運用主体が決めることだ」(関係筋)との認識で、あえて報告書で言及する必要性はないと判断したもよう。

国内株式の運用上のベンチマークには、現行のTOPIX.TOPIXに加え、日本取引所グループ(8697.T)などが開発した新指数「JPX日経インデックス400」を採用するよう提言する。公的な年金が高ROEの企業へ投資することで、上場企業が資本効率を高めるインセンティブにつなげる狙いもある。

一方、ガバナンスの強化では、GPIFの独立行政法人から認可法人への転換を提言する見通し。現在は、GPIFの理事長(現在は三谷隆博氏)が世界最大の公的年金資産の責任を担う。歴代の理事長は日銀や所管官庁の出身者で、運用のプロではない。このため積極運用への転換にあたっては、ガバナンスの見直しの必要性が指摘されていた。

こうした改革を経た上で、リスク性資産へと本格的にマネーがシフトするのは「ずい分先の話になる」(証券会社幹部)と、市場では想定されている。

具体的な動きが出始めるのは、少なくとも来年度の次期中期運用目標の策定以降になる見通し。さらにGPIFの認可法人への移行に必要な法整備には、国会決議などを経る必要があり、施行までには2年近くかかるとみられる。

有識者会議は20日午後4時から5時まで会合を開き、伊藤座長が午後5時半から正式発表する予定。

程近文、平田紀之、江本恵美、取材協力:山口貴也、竹本能文 編集:田巻一彦

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