Reuters logo
焦点:東電の持ち株会社化、一般担保付債券が「空洞化」の恐れ
2013年11月19日 / 12:21 / 4年後

焦点:東電の持ち株会社化、一般担保付債券が「空洞化」の恐れ

[東京 19日 ロイター] -東京電力(9501.T)や原子力損害賠償機構が計画している同社の持ち株会社化に対して、金融機関から懸念の声が出ている。

11月19日、東京電力や原子力損害賠償機構が計画している同社の持ち株会社化に対して、金融機関から懸念の声が出ている。写真は同社のロゴマーク。都内で2012年7月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

持ち株会社に移行し、その傘下の事業会社に資産が移転することになれば、持ち株会社自体の資産価値が低下し、同社が発行している社債や、銀行貸出から振り替えられている私募債に設定されている「一般担保」が、空洞化する恐れがあるためだ。

電力会社が発行する「電力債」は、発電所などの電力事業の全資産を担保にした「一般担保付社債」と呼ばれ、通常の融資や賠償金などより優先して返済される仕組みだ。東電に融資している金融機関が貸出債権から入れ替えを進めている私募債も「一般担保」を付与することで、電力債と同列の返済順位にした。

私募債の発行総額は13年9月末時点で8155億円。東電が金融機関から借り入れている借入金約4兆円のうち、4分の1弱を占める規模に膨れ上がっている。昨年、三井住友銀行や旧みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行などが実施した既存債権の借り換え分1700億円や、同時期に実行した新規2000億円を私募債スキームとしたのを皮切りに、残高が積み上がっている。

メガバンク幹部は「社債が発行できない会社に、さすがに無担保では融資できない。せめて社債と返済順位を同列にしてほしいということで、一般担保付私募債にしている」と話す。

3メガ銀行や日本政策投資銀行は、総額5000億円を年末に貸し出す方針を固めているが、三井住友など民間銀行団が融資する2000億円にも私募債スキームを適用する。

ただ、持ち株会社化によって「一般担保」の中身が「空洞化」する恐れがある。現在、社債の発行体は東電本体で、一般担保には電力事業を担う発電所や、送配電設備などの全資産が含まれている。

しかし、社債の発行会社が「持ち株会社」となれば、発電設備はそれぞれの子会社に移管される。「持ち株会社が発行体となれば、社債の償還義務や担保があいまいにされる可能性がある」(大手行幹部)というわけだ。

東電支援に国が全面的な関与する方向が強まる中で、東電の株主や債権者に対して「応分の負担」を求める声が政府・与党内でくすぶり続ける中、融資している金融機関にとって債権の保全策は死活問題。取引金融機関は「持ち株会社化に当たっては、資金調達に支障を来さないような枠組みが望ましい」と、東電や原子力損害賠償機構などに要請し始めている。

布施太郎 編集:田巻一彦

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below