March 27, 2014 / 9:07 AM / 6 years ago

日本株に「短い春」の兆し、なお残る消費増税への懸念

[東京 27日 ロイター] -実質新年度入りした日本株市場に春の兆しが訪れている。朝方は軟調だったが、売り一巡後切り返し、配当権利落ち分を即日埋める力強さをみせた。寒波の影響が薄らぎ米経済指標が好転すれば、円安の追い風が再び吹くとみられている。

3月27日、実質新年度入りした日本株市場に春の兆しが訪れている。ただ、国内では消費増税の影響もなお懸念されており、「短い春」となる可能性も大きい。都内で昨年10月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

ただ、利上げが意識される中では、米経済指標の改善と金融緩和期待は両立しにくい。国内では消費増税の影響もなお懸念されている。「短い春」となる可能性も大きい。

<新規マネーの流入期待>

米経済指標はまちまちで、寒波の影響や、それを除いた「実力」がどの程度かを測るのは現時点では難しい。ただ、米シカゴ地区連銀が毎月発表している全米活動指数(CFNAI)は2月にプラス0.14%となり、米国全体の経済活動が寒波による下押し圧力をこなし回復に向かっていることを示した。CFNAIは、85種類の経済指標を基に作成されており、米経済活動のおおよその方向性を表す。

3月以降の米経済は寒波の影響が軽減されていることから、4月以降に発表されるマクロ指標はさらに改善を示すと期待されている。米経済が堅調であれば、米国のテーパリング(量的緩和縮小)も粛々と続けられるとみられ、一時期より後退したとはいえ追加緩和期待がある日本との金融政策上のコントラストは強まりやすい。円安トレンドが回復すれば日本株には強い追い風となる。

実質新年度入りとなった27日の東京株式市場では、日経平均.N225は朝方一時200円安まで下落したが、後場は一気に切り返し、約100円とみられる配当権利落ち分を埋め、プラス圏に浮上した。特段、材料が出たわけではなく、相変わらずの先物主導の展開だったが、市場では「新年度入りで新規資金の流入も入りそうだ」(大手証券)と期待感も高まってきた。

3月から4月にかけては、日本では新規資金流入、米国では税申告に合わせた株式売却の一巡や、税還付などもあり、株高になりやすい需給的なアノマリーがある。「セル・イン・メイ(5月に株を売れ)」の格言は、その時点で株価がピークを付けていることが多いということを前提にしている。

さらに日本株は年初からの下落で、バリュエーション面では割安感も漂う。来期1割増益をベースにすれば、予想株価収益率(PER)は27日の日経平均終値で約13倍だ。「米経済回復に円安が加われば日本株にはダブルメリット。海外短期筋の売りで年初は押されたが、長期投資家は依然として日本株に興味を示している。割安感もあり、新年度は株高スタートが期待できる」(大和証券・投資戦略部チーフストラテジストの成瀬順也氏)という。

<根強い先行き警戒感>

ただ、「春」の期間は長くない可能性もある。消費増税の影響がなお読めないためだ。消費者態度指数や景気ウォッチャー調査の先行き判断DIの落ち込み度合いは大きく、単に反動減を警戒しているからと済ませられない厳しさがある。「デフレマインドが復活してしまえば、アベノミクスは水泡に帰す」(外資系証券)との危機感は海外投資家に少なくない。

春闘は大企業を中心にベースアップの動きが出たが、中小企業への広がりは限定的だった。信金中央金庫が中小企業1万5713社を対象にした調査(調査期間3月3─7日)では、今春の賃上げを実施したとの回答は16.6%にとどまった。賃上げがないままの物価上昇は消費者の懐を直撃する。

年初からの株価下落で、消費増税の悪影響はある程度、株価に織り込まれている可能性もある。消費税が5%に引き上げられた1997年。前半の株価の動きをみると、年初は軟調だったが、4月10日を底に切り返している。ただ当時は、その後、7月のアジア通貨危機や11月の拓銀・山一証券の破綻もあって、7月以降、大きく崩れた。当時と現在では金融環境は異なるが、今回もショックへの耐久力は増税により低下する可能性がある。

<米経済にも不安要素>

また、米経済にも不安要素がある。住宅市場は昨年からの金利上昇と住宅価格下落で変調を来している。2月の中古住宅販売戸数は1年7カ月ぶり、新築1戸建ては5カ月ぶり低水準に減少。住宅価格に先行するとして注目されている米中古住宅仮契約は寒波が訪れる前の昨年夏から低下基調に入っている。

「住宅を安く買って値上がりを待つという投機需要が低下してきた可能性がある。量的緩和策がこうした投機需要を押し上げていたとすれば、テーパリング開始で住宅市場はしばらく厳しい状態が続くかもしれない」と三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は指摘する。

また、米国で景気回復と金融緩和が共存し、株価を押し上げた昨年末と違い、現在は利上げ時期がまだ遠いとはいえ、意識されるようになってきた。経済指標が良くなれば利上げ観測が強まり、経済指標が悪ければ利上げ観測が後退というトレードオフの関係に変わってきている。米利上げ観測が強まれば、円安圧力は強まるが、リスクオフの株売りも出やすいだけに、日本株にとってはダブルメリットにはならない可能性がある。

伊賀大記 編集:宮崎大

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