March 31, 2014 / 6:14 AM / 6 years ago

新年度の相場見通し、緩やかな円安・株高に:識者はこうみる

[東京 31日 ロイター] -新年度の相場見通しを為替、株式、金利の各市場関係者に聞いたところ、緩やかな円安・株高を予想する声が多かった。昨年ほどの円安・株高は期待できないものの、日米経済は底堅く、ファンダメンタルズの改善を評価したリスクオンになるとの声が広がっている。

3月31日、新年度の相場見通しを為替、株式、金利の各市場関係者に聞いたところ、緩やかな円安・株高を予想する声が多かった。都内で昨年2月撮影(2014年 ロイター/Shohei Miyano)

焦点は日銀の追加緩和の有無。市場の期待感が大きいだけに、景気が順調に回復しても、緩和が遠退いたとの見方が浮上すれば、失望感を誘う恐れもあるという。

識者の見方は以下の通り。

●中長期的な円安基調継続

<JPモルガン・チェース銀行 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏>

中長期的には、貿易収支赤字、経常収支の悪化、インフレ率の上昇など、円のファンダメンタルズ悪化による円安基調が継続するとみている。年後半には、米国経済の回復基調の強まりを受けた米金利上昇が予想され、日米金利差の拡大が明確化すれば、ドル高/円安のトレンドもはっきりするだろう。

一方で、証拠金取引や海外短期筋などによる円のショート・ポジションは相当程度積み上がっており、これらの巻き戻しによって、一時的にドルが100円を割り込むリスクがあるとみている。

目先のリスクは、日銀による緩和見送りだ。昨年11、12月にかけて進行した円安は、海外勢による日銀の早期緩和期待がけん引した。緩和が見送られれば、円売りポジションの巻き戻しが起きるだろう。

また、海外投資家のリスク回避姿勢が全般に強まるようなイベント、たとえばウクライナ情勢の緊迫化や中国のシャドーバンキング(影の銀行)問題の深刻化、米景気回復の腰折れなどもポジションの巻き戻しにつながり得る要因だ。

各期末の予想レートは、6月末100円、9月末102円、12月末106円、2015年3月末107円。

●消費増税後の補正予算や追加緩和、サプライズはない

<ブラウン・ブラザーズ・ハリマン シニア通貨ストラテジスト 村田雅志氏>

ドル/円は年度前半は105円に向かってドル買い優勢となるが、後半はこれまでの円売りポジションが巻き戻されるだろう。米景気は底堅く、米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和の縮小を続けると予想される。年度前半は2015年の利上げ期待が強まるとみている。

一方、アベノミクスへの期待は今後後退し、日本景気に対する慎重な見方が強まってくるとみる。消費増税後、7―9月以降も成長率は高まらないと予想している。安倍政権は補正予算を打つだろうし、日銀の追加緩和の可能性も高いが、マーケットのサプライズとなるようなものは出せないとみる。むしろ当局がカバーできないくらい景気が下押される展開が、年度後半は強まるのではないか。となるとドル/円は下方向に行きやすい。

ただ、米国要因によるドル買いは続き、極端な下落は予想していない。ドル/円の予想レンジは101―105円。

●ドル98─111円、「放っておけば円安」

<みずほ銀行 マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

ドル/円は「放っておけば円安」というのが基本シナリオだ。金利面、需給面からみてドル買い/円売りを示唆している。金利面では、先般のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の「6カ月」発言を出すまでもなく、追加緩和の時期を模索する日銀と、量的緩和の出口が注目されているFRBでは、金融政策の隔たりが大きい。日米金利差の拡大が円安を誘発する可能性がある。

需給面でも年度ベースの経常赤字転落が視野に入る日本と、経常赤字の減少が顕著となっている米国という構図を踏まえれば、円の先安観を予想せざるを得ない。予測期間中、ウクライナ情勢や新興国不安といった「事故的なイベント」により円買いを誘う場面もあろうが、そのような場面は押し目買いのチャンスだと発想の転換をしておきたい。ドル/円の予想レンジは98─111円とみている。

●年央株高へ、4―6月は消費増税の影響見極め

<岡三オンライン証券チーフストラテジスト 伊藤嘉洋氏>

4―6月は消費税増税の影響を見極める時期であり、高値を取りに行く展開にはならないだろう。海外勢の処分売りが残るほか、個人投資家の信用取引に伴う需給整理も続くと予想される。

6月から夏場にかけては昨年12月30日高値(1万6320円22銭)を上回る可能性がある。7―9月期かけて国内で追加金融緩和や経済対策が実施される可能性が高いほか、米国の景気回復基調が鮮明になるとみられるからだ。海外投資家の復活が株価をけん引する。国内年金なども買いに転じると予想される。

年末にかけては消費税10%への引き上げ議論が株価の上値を抑え、1万5000円付近までの調整を見込んでいる。日経平均の予想レンジ1万4000―1万7000円。

●日銀追加緩和は6月、消費税10%への布石

<SBI証券 シニアマーケットアナリスト 藤本誠之氏>

新年度相場は前半勝負になるだろう。政府は2015年10月に消費税を10%へと引き上げたいとしているが、逆算すると今年の年末までには方針を決めなければいけない。そうすると、ポイントになるのは今年7─9月の国内総生産(GDP)であり、日銀の追加緩和は6月、遅くとも7月には実施されるとみている。

このほか今年4─6月には財政出動やさらなる成長戦略も打ち出される可能性があり、株価は消費増税後の4月にやや落ち込む恐れがあるにせよ、下値は限られている。

日経平均の予想レンジは、下値が株価収益率(PER)14倍水準の1万4370円付近、高値は6月までに1万6500─1万7000円を付けるだろう。

●7─9月以降は金利上昇を想定

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

足元で不透明感が強まっていた米国の景気が3月から回復するとの見通しが、今後確認されると考えている。米国景気の下振れ懸念は後退するだろう。国内景気に関しては、消費増税を越えないと分からない部分があったと思われるが、早ければ5月、遅くとも6月には生産、消費がボトムを打って、戻ることが7─9月には確認できるだろう。

4─6月は現状の金利水準で狭いレンジで推移しそうだが、7─9月以降は10年最長期国債利回りで1─1.5%のレンジにジャンプするとみている。

円安により、価格上昇圧力が強まる期待感も出てくるだろう。賃金に関しては、4月以降にベアの数字が反映されることに加え、公務員の給与が復興特別措置で下げていたのが戻るため、賃金が明確にプラスに転じてくる可能性が高い。インフレ率が実際に上昇すれば、円債マーケットの中で、年末あたりにはテーパリング(量的金融緩和の縮小)の観測が浮上しやすい。10年最長期国債利回りの予想レンジは0.5%─1.5%。

●日銀国債買い入れに累積効果、低位横ばい続く

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 債券ストラテジスト 稲留克俊氏>

新年度の10年債長期国債利回りは、低位横ばいを見込んでいる。アベノミクスが多少なりとも寄与し、景気や物価が上向いていく流れは金利上昇要因となるが、日銀の国債買い入れ策が累積的に効いて、金利を押し下げようとする圧力が強まりやすい。

特に金利低下が見込まれるのは年度後半だ。投資家の例年のパターンとして、年度前半に益出し売りが広がりやすい一方、後半にかけては買い戻しが入りやすい。日銀の追加緩和時期は、消費増税による景気の落ち込みが表れる6─7月が市場コンセンサスだが、当社では物価の見通しと現実の水準とのギャップが意識される10月ごろとみている。

10長期国債利回りの予想レンジは0.5%─0.8%。

(INVESTMENTVIEWS)

ロイターニュース 金融マーケットチーム

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