April 7, 2018 / 12:28 AM / 8 months ago

焦点:市場開放進める中南米産油国、外資取り込み競争激化

[ヒューストン 2日 ロイター] - 中南米産油国の多くは過去何十年もの間、石油資源を政府と国営企業が厳しく管理し、外資への門戸を閉ざしてきた。石油部門の収入で財政資金を豊かにする狙いだったが、ブラジル国営会社ペトロブラスに見られるような汚職や大幅な債務負担、あるいはメキシコ国営会社ペメックスのような資金と専門知識の不足といった問題が続出し、目算が外れてしまった。

 4月2日、中南米諸国ではかつてないほどの規模でエネルギー市場の対外開放が進み、エクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルなどから多額の投資を呼び込むための競争を繰り広げている。写真は、メキシコ国営会社ペメックスの石油精製所。同国グアナフアト州で昨年9月撮影(2018年 ロイター/Edgard Garrido)

そこで今、これらの諸国ではかつてないほどの規模でエネルギー市場の対外開放が進み、エクソンモービル(XOM.N)やロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)などから多額の投資を呼び込むための競争を繰り広げている。

政府当局への取材やこれまでの発表に基づくと、中南米7カ国が今年実施する石油・天然ガス開発権益売却入札は少なくとも15件に上り、鉱区数は陸上と海底合わせて過去最高の1100カ所が提供される見通しだ。3月29日にブラジルが実施した直近の入札では、24億ドル相当の応募があり、68カ所のうち22カ所が実際に落札された。

エネルギーコンサルティング会社ウェリジェンスのバイスプレジデント、パブロ・メディナ氏は「今年は中南米諸国が歴史上最も多くの開発権益売却入札を開催するだろう」と話した。

中南米産油国が競って民間投資を求めている背景には、元手の資金とせっかくの資源を完全に開発できるだけの技術の双方を自分たちは持ち合わせていないと自覚していることが挙げられる。ブラジル、アルゼンチン、エクアドルの場合、中道もしくは中道右派政権の誕生が外資受け入れにつながった面もある。

またこうした動きからは、各国が開発からの取り分が従来より減少する事態を甘受する姿勢になっていることもうかがえる。投資獲得競争を制するには、税制優遇やロイヤルティ引き下げなどが必要になり、政府が得る利益は一段と細りかねない。

中南米では左派政権の下で国営石油会社が資源を牛耳ったままのベネズエラを例外として、他の国は市場改革に乗り出し、国際石油資本(メジャー)や独立系外資に最も豊かな資源の一部について開発を委ねる姿勢を見せている。

もっとも外資勢にとっては、政府が再び資源を国有化したり、改革に向けた政治的意欲を失うリスクにさらされている。原油価格が下落すれば、こうした長期開発がもたらす利益が損なわれてもおかしくない。

仏石油大手トタル(TOTF.PA)の開発・探査・生産担当シニアバイスプレジデント、ミシェル・ウルカール氏は先月ヒューストンで開かれた業界の会合で「われわれは今、中南米に対して賢くお金を使えるように万全を期す必要がある」と語った。

<好条件>

外資誘致に向けた中南米諸国の政策措置には、税制優遇やロイヤルティ引き下げ、契約長期化、投資撤退を今までより容易にする各種条件や履行義務の緩和などが含まれる。

ブラジルとコロンビアは、米国のように開発・生産の権益を恒久的に提供する仕組みも導入。エクアドルは、原油価格上昇の恩恵を得られない「フィー・フォー・サービス」方式よりも石油会社にとって魅力がある利益分有契約を結ぶことを提案している。

ウッド・マッケンジーのグローバル開発調査ディレクター、ジュリー・ウィルソン氏は、入札参加を促すために各国は十分に魅力的な条件を提示しなければならないと説明した。

ただ最近のメキシコとブラジルの入札では、合計でおよそ1100億ドル相当もの応募があり、中南米の石油開発に新時代が訪れていることを物語る。

ブラジルは実は20年前から外資の取り込みを画策していたが、開放鉱区が少なすぎたことや、一部プロジェクトの質の低さ、ペトロブラスの権限が圧倒的な点などが障害となり、期待された成果が出なかった。このため現在は入札ルールを緩和し、地元企業や中小の外資に参加資格を与え、サブソルト層開発で一定の基盤を築いている大手に合流することを奨励している。

メキシコの場合は、7月の大統領選に向けて足元で支持率がトップの野党候補がエネルギー市場開放見直しを公約に掲げており、政治リスクが高まった。

それでも何人かの業界首脳は、メキシコが開発から精製、小売りに至るエネルギー市場の全部門を開放する方針は変わらないと考えている。複数の入札には米国や欧州、アジアから幅広い企業の参加が見られ、メキシコ市場の再生が改めて示されたとの声も聞かれる。

各国がお互いの取り組みを模倣し合っている状況も見られる。アルゼンチンは、石油企業が入札を希望する鉱区を具体的に推薦できるというメキシコが過去に導入した制度を採用。メキシコはブラジルにならって、向こう3年の入札日程を定め、石油会社が投資計画を予め策定する時間を増やせるようにしている。

メキシコ国家炭化水素委員会のセペダ委員長は、一部の国は他国と競争するために政策の調整が不可欠だと認識していると指摘。「われわれは近隣諸国の創造性を受け入れられる十分な柔軟性を備えている」と述べた。

(Marianna Parraga記者)

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