March 23, 2015 / 5:27 AM / 5 years ago

コラム:シンガポール建国の父死去、試される「富と幸福」の両立

 3月23日、シンガポール建国の父リー・クアンユー元首相が残した遺産の真の評価は、同国が競争力ある国際都市と福祉国家をうまく両立できるかにかかっていると言えるだろう。写真は同氏が入院していた病院で撮影(2015年 ロイター/Edgar S)

[シンガポール 23日 ロイター] - シンガポールのリー・クアンユー元首相(91)が23日、入院先の病院で死去した。建国の父とされるリー氏は、資源の限られた島国を、金融や貿易の一大拠点に発展させた。しかし、こうした疑いようのない功績をもってしても、同氏が遺したシンガポールは幸福とはほど遠いと言える。

リー氏の最大の功績は、シンガポールを豊かな国にしたことだ。独立国家となった1965年から、同氏が政治の表舞台から引退した2011年までの間に、シンガポールの国民1人当たりの所得は米ドル換算で90倍にも跳ね上がった。同期間にこれほど所得を伸ばしたアジアの国はほかにない。香港さえも上回っている。

建国50年をまもなく迎えるシンガポールだが、国民の足並みがそろっているとは言い難い。シンガポール国籍保有者は現在330万人で、その多くはマレー系先住民や中国やインドからの移民の子孫。彼らはリー氏が体現した繁栄をひたすら追求する社会にますます懐疑的になっている。

リー氏の長男であるリー・シェンロン首相が率いる現政権は、野党などへの厳しい統制を緩めた一方、成長至上主義の副産物に頭を悩ませるようになった。それには、所得格差の拡大、外国人労働者と現地雇用者の賃金格差、人口過密化、不動産価格の高騰などが含まれる。

高等教育を受け裕福になったシンガポール人たちは、政府に支出を増やすよう求めるとともに、かつてリー氏が主張していた「国家は国民にとって何が有益かを一番よく分かっている」と主張するのをやめてもらいたいと思っている。リー氏が結成した与党・人民行動党(PAP)の力はもはや盤石ではなく、同党の議員たちですら、有権者の不満を鎮めるため、より穏やかな資本主義を求めている。

振り子が違う方向に行き過ぎてしまうリスクはある。高齢化が進み、労働人口は2020年までに縮小し始める。リー氏が残した遺産の真の評価は、競争力ある国際都市と福祉国家をうまく両立できるかにかかっていると言えるだろう。

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