March 21, 2018 / 5:23 AM / 7 months ago

コラム:LIBORスプレッド急拡大の意味

[ロンドン 19日 ロイター] - 欧州銀行間市場で、ほぼリスクフリーのオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利と3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)のスプレッドが足元で大幅に拡大している。16日のスプレッドは53ベーシスポイント(bp)と2012年1月以来の高水準を記録した。

 3月19日、欧州銀行間市場で、ほぼリスクフリーのオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利と3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)のスプレッドが足元で大幅に拡大している。ブリュッセルで2011年撮影(2018年 ロイター/Francois Lenoir)

直近でこうした事態が起きたのは、ユーロ圏そのものが危機に見舞われていた局面だった。今回は銀行のシステミックリスクが反映されている形跡は見当たらないが、銀行にとっては、ターム物のドル調達により高いコストを支払うのが常態化することを甘受しなければならない可能性がうかがえる。

どの指標で見てもスプレッドの拡大ペースは驚くほど急速だ。昨年11月半ばは11bpまで縮小する場面もあった。

なぜ急拡大したかを説明できる単独の理由は存在しない。ただ専門家は(1)短期の政府債発行急増(2)短期の社債・銀行債に対する需要減退(3)米税制改革に伴う米国企業の資金本国還流加速の観測──を要因に挙げている。

今のところスプレッド拡大が銀行に及ぼしている影響は乏しい。拡大が本格化した昨年11月半ば以降で、S&P総合500種とダウ工業株30種は約7%上昇し、米銀行株指数の上昇率はそれをしのぐ12%に達した。

米国の事業会社がドル確保に殺到した結果としてスプレッドが拡大しているようにも見えない。そもそもドルは昨年11月から下落を続け、過去4カ月で主要通貨に対して4%下げている。

銀行間市場自体も、緊張が高まっている兆しはほとんどない。たとえば企業や金融機関が為替リスクなしに外貨をドルに転換するコストを示すクロスカレンシー・ベーシス・スプレッド(スワップ・スプレッド)は縮小してきた。

ユーロの3カ月物スワップ・スプレッドは現在マイナス31bp、円はマイナス27bpで、いずれも過去2カ月で最も小さなプレミアムにとどまっている。

つまり日本とユーロ圏の銀行はドル調達に何ら支障をきたしていないのだろう。ドル建て金融株の動きも日本は昨年11月15日以降で6%高、欧州は10%高でともに市場全般の指数をアウトパフォームしている。

また米連邦準備理事会(FRB)が他の主要中銀と締結している通貨スワップ協定に基づいてドルを供給する制度の影響も注目に値する。

他の中銀がFRBのドル供給を利用するには3カ月物OISプラス50bpの手数料を支払わなければならない。ただ7日間という期間は多くの海外銀行の調達ニーズに合わず、利用すればその国の銀行システムを巡る市場の懸念を高める恐れがあるため、実際には使われないかもしれない。

それでも50bpという基準が心理的な節目として機能し、LIBOR─OISスプレッドをそこから大きく上振れさせない役割を果たす可能性がある。

シティのアナリストチームは、今後の米政府による借り入れ所要額が変化することで、スプレッド拡大一服につながってもおかしくないとみている。彼らの試算では、4月は税収が入ってくるため短期国債の発行は差し引きでマイナス360億ドルとなり、短期の銀行債や短期市場ファンドにとっては当てにできる資金がずっと多くなる。

一方で同チームは、銀行がFRBの口座に保有する超過準備が減り始めれば、LIBOR─OISスプレッドが一段と拡大し、市場心理が悪化しかねないと警告する。そうなると通貨スワップで利用できる資金が直接的に目減りし、スワップ・スプレッドが広がってしまう。

シティのマット・キング氏らのチームは19日付ノートに「ドルLIBOR─OIS(スプレッド)の劇的な拡大は、リスク資産を巡る不安を全般的に高める働きをしている。われわれはこの流れがさらに進むと考えている」と記した。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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