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情報BOX:LIBOR、年末でほぼ全面廃止

[ニューヨーク 28日 ロイター] - LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は来年1月1日以降、新規のデリバティブ取引やローンの参照金利として使えなくなる。今年初め時点でLIBORを参照していた金融取引は世界全体で265兆ドルに達していたが、1999年のユーロ導入以来で最も大規模な市場改革を経て、ついにLIBORはほぼ廃止される。

 12月28日、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は来年1月1日以降、新規のデリバティブ取引やローンの参照金利として使えなくなる。写真はロンドン金融街。10月22日撮影(2021年 ロイター/Hannah McKay)

◎LIBORの性質と廃止される理由

かつて世界で最も重要な数値とされたLIBORは、各銀行が提示した短期金融市場の借り入れコストに基づく金利。発祥は1969年にさかのぼるが、正式な形になったのは1986年で、学生ローンからクレジットカード、企業融資、住宅ローンを含めたさまざまな金融商品の参照金利として使われてきた。2008年の金融危機後、トレーダーによる不正操作が発覚すると信頼性が薄れ、改革と最終的な廃止を求める声が広がった。不正操作問題では複数の世界的な大手銀行に罰金処分が科せられた。

◎代替金利

当局は来年から、ドル、ポンド、ユーロ、スイスフラン、円という5通貨建ての35種類のLIBORについて、それらを用いた新規ビジネスは認められないとしている。ただ、ドルに連動する一部期間のLIBORは2023年6月末まで使用が認められ、大半の既存契約が満期を迎えられるようになる。

LIBORは幾つかの代替金利に置き換えられる。いずれも中央銀行が実際の取引に基づいて推奨しており、不正操作がしにくい。

◎今後のリスク

ほとんどのLIBORは来年初めから公表されなくなる半面、一部のドルLIBORは23年6月まで存続する。これにより、そうしたドルLIBORと連動する債務を抱える企業に法的問題が生じかねない。

混乱を最小限にとどめる目的で、ニューヨーク州は23年6月より後に満期が到来する「タフ・レガシー契約(参照金利の移行が困難な契約)」の法的救済措置を導入した。これらの契約は、あらかじめ代替金利を指定する「フォールバック条項」がなく、米連邦準備理事会(FRB)が推奨する代替金利のSOFR(担保付翌日物調達金利)への切り替えができないためだ。米議会でも同趣旨の法案策定が進められている。

英国でも、規制当局が6種類のポンド建てと円建てLIBORは「シンセティック」形式で来年以降も1年間、公表を続ける方針を表明している。シンセティックLIBORは、イングランド銀行が算出するSONIA(ポンド翌日物平均金利)に固定のクレジットスプレッドを加えて算出。市場参加者が既存契約の参照先を代替金利に移す時間的猶予を拡大する。

◎LIBORの流動性

ドル建てデリバティブの大半は既にSOFRに移行した。ただユーロドル市場では、金利変動に対するヘッジや投機目的で利用される短期契約について、LIBORに基づく比較的大きなポジションが残っている。

これらの契約の流動性は縮小していく見通しで、投資家は既存のLIBORベースのポジションのヘッジは次第に難しくなる公算が大きい。将来の金利変動を予測してポジションを組む際に、代わりの手段を使う方向に順応することも迫られる。

◎ローン・プライシングの課題

LIBORからSOFRへの移行は、ローンの借り手と組成者にとってプライシング面の課題ももたらす。双方とも、信用市場の環境変更に応じて適宜調整される何らかの指標と連動させるのが好ましいと考えているからだ。

SOFRは米国のレポ市場に依拠しており、この市場は信用リスクが存在しない上に、緊張が発生すれば金利が低下する。対照的にLIBORは、銀行の借り入れコストを反映しており、緊張状態になると金利は上昇する。

貸し手側はSOFRに対するスプレッドを駆使してローンをプライシングする形で対応している。しかし想定外の緊張局面が訪れた場合、このスプレッドはリスクを過小評価する恐れが出てくる。

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