March 7, 2018 / 3:22 AM / 3 months ago

生保が海外事業融資を拡大、淡水化施設や高速鉄道線路にも

[東京 7日 ロイター] - 大手生命保険会社が海外プロジェクトファイナンス(PF)を積極化している。低金利下で伝統的な投資対象からの収益が減少するなか、競争相手の少ない分野に取り組んでいく必要があるからだ。長期資金の出し手として世界のPF市場で生保の存在感が高まりそうだ。

 3月7日、大手生命保険会社が海外プロジェクトファイナンス(PF)を積極化している。写真は第一生命のロゴ。都内で2010年3月撮影(2018年 ロイター/Yuriko Nakao)

「クレジットスプレッド(信用リスクを反映した利回り)がタイトな中で、皆がやっている分野ではないところ、どういった分野ならばまだ投資家は少ないか、というのを模索している」と、第一生命保険でPFを手掛ける債券部の西尾晃直部長は背景を説明する。

同社は2014年度から海外PFへの融資を開始。銀行などが持つローン債権を購入するセカンダリーに加え、17年度からはプロジェクトの組成段階から参加するプライマリー案件も始めた。ロンドンと英仏海峡を結ぶ高速鉄道線路のコンセッションプロジェクト(国などから運営権を得た民間事業者が公共施設等の運営を行う官民連携の形態)への投資もそのひとつだ。

「事務処理・案件決定までのスケジュール対応等は大変だが、アップフロントフィー(金融機関に支払われる手数料)も含めて、セカンダリーと比べて収益性の高さが魅力だ。PFに今後ともしっかり取り組んでいくうえで、プライマリー案件は必須だ」と西尾部長は語る。

同社は国内外のPF案件に10人弱の陣容で取り組んでいる。17年度に同社が公表している海外PFは4件、約250億円。さらに年度内に数件の投資を予定しているという。

17年10月に契約されたオーストラリア・ビクトリア州の海水淡水化プラント運営プロジェクトのシンジケートローンの借り換えには、国内外の金融機関に加えて、第一生命と日本生命保険が融資に参加、日本の生保の存在感を示す案件となった。

借り手企業の返済能力に基づいて資金を貸す企業向け融資に対し、PFは発電所などの事業から上がる収益が返済原資となる。融資にあたってはそれぞれの事業が抱える個別のリスクを把握する必要がある。

日本生命ストラクチャードファイナンス営業部の久下真司部長は「手間がかかるのは確か。ただ、リスクに対するリターンの効率性は良い」と語る。平均的な海外PFでは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に対する上乗せ金利は150から200ベーシスポイントになるという。

オーストラリアの淡水化プロジェクトの貸付期間は15年と、PFでは長い年数の融資が多い半面、地場銀行の融資は5年程度のものが多く、長期の資金の出し手として生保の存在感が今後も高まる可能性がある。生命保険は長期の保険契約への備えとして資産運用も長いものが必要だからだ。

特に顧客からの円預金が調達の多くを占める邦銀にとっては、ドルなどの外貨調達が課題になっており、従来のように自行だけで長期間にわたる巨額の融資をすることは難しくなっている。

三菱東京UFJ銀行・プロジェクトファイナンス室の宮川智紀次長は「商業銀行は調達は短期という構造を抱える。借り手がリファイナンンスリスクを減らしたい場合、われわれが長期で出そうとすると、どうしても金利が高くなってしまう」と説明する。

宮川氏は「プロジェクトファイナンスのような長い期間のものに対しては、運用期間の長い生保はマッチしているのでは」と生保のPF市場への参加を歓迎している。

浦中大我 佐藤和香子

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