October 30, 2019 / 1:27 AM / 17 days ago

焦点:生保の運用難続く、19年度下期計画にみる「利回り探究」

[東京 30日 ロイター] - 国内主要生保の2019年度下期一般勘定運用計画が出そろった。金利水準は世界的に9月初旬の底から反転上昇してきているものの、絶対水準としては依然低く、運用難の環境に変わりはない。各社ともオープン外債を増やしたり為替ヘッジ付き外債を米国債から社債にシフトさせるなど、リスクを抱えながらの「サーチ・フォー・イールド(利回り探究)」に苦心している。

 10月30日、国内主要生保の2019年度下期一般勘定運用計画が出そろった。写真は2009年7月に都内の明治安田生命で撮影(2019年 ロイター)

<ヘッジ外債は米国債以外が中心>

一般的に使われる3カ月物のドルヘッジコストは足元で2.3%程度。3%を超えていた1年前と比べ低下しており、一部の生保は、下期にヘッジ付き外債を増やす方針を示している。

明治安田生命では、上期にヘッジ外債を5000億円弱増加させたが、下期もやや積み増す方針だ。メインの投資対象であるヘッジ付き米債について「ヘッジコストの低下で、他の資産と比べて投資妙味がある」と運用企画部長の中野康一氏は話す。

住友生命でも、ヘッジ外債を下期に増加させる。「ヘッジコストの低下により投資妙味が高まることが想定され、ドル建て事業債に投資していきたい」と藤村俊雄・運用企画部長は述べる。

円金利資産の代替として使われるヘッジ外債だが、かつての主力投資先だった米国債ではなく、社債や事業債(プロジェクト・ファイナンス)が中心になっている。

ヘッジコストの低下は金利低下が一因であり、ヘッジコストの低下とともに米国債の利回りも低下しているのが運用担当者の悩みの種だ。現在の米10年国債の利回りは1.8%台、30年債でも2.3%台と一時より上昇したものの、ヘッジコストを差し引くと十分な利回りを得られない。

一方、クレジット市場も、各運用会社の「イールド・ハンティング」による資金が流れ込んでおり、一部では過熱感も出ている。「昨年度に1%の利回りが確保できていたヘッジ付き米社債だが、直近ではゼロ%程度まで低下しており投資するのが難しい状況にある」(かんぽ生命保険(7181.T)の運用企画部長の浅井重明氏)との指摘も聞かれた。

<オープン外債は円高局面で>

オープン外債にシフトする生保もある。

かんぽ生命は景気に比較的強気な見方を示している。上期までは慎重な運用姿勢を続けていたが、下期については、非製造業の景況感に支えられ景気の底割れは回避されると予想、ドルも相対的に強い米経済を背景に強含むとみている。オープン外債など、徐々にリスクテークを行う方針だ。

ただ、円高警戒も残る。オープン外債に投資するのは、円高に進んだタイミングで機動的に、という声も多い。

日本生命も下期、オープン外債を増加させる方針だ。年度末のドル/円のレンジ予想は95円─115円。為替や金利水準次第でヘッジ外債との配分を変更する方針だが、「1ドル100円に近づけば投資妙味が出てくる」(理事財務企画部長の岡本慎一氏)とみる。

岡本氏は「足元のマーケットは良すぎる(リスクオンだ)。今年度下期は下振れリスクが残るだろう。 しかし、来年度は米中対立の緩和や予防的な米利下げ効果の顕在化が期待される。製造業の在庫循環的にも、来年の景気は上方向に向かう見通し」とし、「(マーケットプライスが)下がったところが(資産を)仕込むチャンス」との見方を示している。

<円債には依然慎重>

円債投資には引き続き慎重姿勢を示す生保が多い。

日銀は、国債買い入れオペの減額などを通じ超長期債金利を押し上げるスティープ化誘導を図ってきたが、「利回りはいまだ十分ではない」(大手生保の運用担当者)という。

生保がメインの投資対象とするのは、20年、30年の超長期債。新発20年債の利回りは9月初旬に付けた0.015%から0.2%台に上昇したとはいえ、1年前の0.6%台と比べると半分に満たない。

第一生命では、下期の円債投資について「社債への投資を大きくすることは考えて いない。国債に関しても、(利回りが)想定レンジ内で推移するのであれば積極投資は控えたい」(運用企画部長の甲斐章文氏)としている。円債全体の残高は横ばいとなる見込みだ。

<国内株は高い配当利回りに魅力>

今回、一部でみられたのが、国内株式への積極的姿勢。

各社の日経平均の下期予想レンジは上限の最高値が2万5000円、年度末予想の平均は2万1670円で、大きな株高局面を予想しているわけではない。むしろ一部生保では、レンジ上限を期初予想より若干引き下げている。

運用担当者を引き付けているのは配当利回りだ。日本国債の40年債でさえ0.5%に満たない低金利が続く債券に対し、株式の配当利回りは2.34%(東証1部上場企業、リフィニティブのデータ)と魅力的。

富国生命は、期初の年度計画では100億円の国内株積み増しを予定していたが、500億円に拡大する。世界経済鈍化による業績悪化懸念が根強いが、財務企画部長の小野寺勇介氏は「内需はそこまで悪いとみておらず、投資できる企業はある。企業収益の悪化で減配になったとしても、円債利回りと比較して国内株の配当利回りの方が高い」との見方を示す。

ただ、財務の健全性を測るソルベンシーマージン比率を計算するうえでのリスク係数が高く、価格下落の可能性もある高い株式をそう大きく積み増すわけにもいかない。

運用難の悩みは長引きそうだ。

*〔表〕主要生保の2019年度下期資産運用計画・市場見通し

編集:田中志保

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